福島元判事の東京新聞インタビュー記事〜憲法記念日と新聞、マスメディア

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/7827207/
 きょう(5月3日)は憲法記念日日本国憲法は施行から61年になりました。新聞もそれぞれに憲法を取り上げています。その中で東京新聞が特報面で、「長沼ナイキ訴訟」で1973年に自衛隊憲法9条違反とする札幌地裁判決を出した元判事で弁護士の福島重雄さんに取材した長文の記事を掲載しているのが目を引きました。
 前回のエントリーで、朝日新聞が掲載した福島元判事の寄稿に触れましたが、きょうの東京新聞の記事も読み応えがあります。航空自衛隊イラクでの武装兵空輸活動を違憲と判断した先日の名古屋高裁判決に関心がある方は、ぜひ手にとって読むことをお勧めします。
 以下に、記事の一部を引用します。

 「そんなの関係ねえ」(田母神俊雄航空幕僚長)発言に代表される司法軽視に憤る一方、司法自身の政治追従、憲法判断回避を「怠慢、不作為」と嘆く。ナイキ判決は、憲法判断回避が続けば「違憲状態の拡大を認めたのと同じ結果を招き、違憲審査権の行使も次第に困難にし、公務員の憲法擁護の義務も空虚にする」と?予言?していた。判決は、裁判所は政治的な判断をせず、ただ憲法に合うか否かだけを審査するものだと強調したが、多くの裁判官はついてこなかった。
 最高裁の長官や判事は、内閣に指名、任命される。「その最高裁が下級審を操る。どうしても政府の意向に沿うような流れになります。誰だって冷や飯を食うのは嫌だし、流れに乗って所長にでもなったほうがいいと思う。そういう裁判所の体制にしちゃったのがね…。本来もっと和気あいあいとした所だったが、司法行政がそういうふうにつくってしまった」
 ナイキ判決に対する自信は今も揺るぎない。「おかしな判決を書いたとは思いません」

 福島元判事の指摘は、マスメディアの組織ジャーナリズムにもあてはまる一面があるかもしれません。
 今回に限らず東京新聞の特報面は、テーマ設定自体からも取材した記者、担当したデスクの顔が見える、という意味で、わたしは共感を抱いています。

 けさの朝刊各紙は自宅で購読している朝日新聞東京新聞以外はネットでざっと読んだだけですが、東京の大手紙各紙の社説の中では、「憲法記念日 論議を休止してはならない」とする読売新聞と、「憲法施行61年 不法な暴力座視するな 海賊抑止の国際連携参加を」とする産経新聞の両紙を興味深く読みました。
 4月8日に読売新聞が掲載した同紙の世論調査では、改憲に「反対」が43・1%と「賛成」の42・5%を上回る結果が出ており、これを受けてきょうの社説にどのような論調を掲げるのか、興味がありましたが、意外感はなく「やはりそうきたか」と感じる内容でした。
 少し驚きを感じたのは産経新聞です。見出しにもあるように、中東での日本船籍タンカーの海賊被害を取り上げ「これでは日本は国際社会の平和と安定に寄与することはむろん、国の安全を保っていくことも難しい。憲法守って国滅ぶである」と説きました。直接的に「改憲せよ」というような表現を前面に出すことはせず、読みようによっては(うがった見方かもしれませんが)一層の解釈改憲を主張しているようにも感じました。

 きょう一日、各地で憲法をめぐるさまざまな動きがあるでしょう。表現の自由が問われた映画「靖国 YASUKUNI」の一般公開も始まります。その一日をマスメディアはそれぞれにどんな風に伝えようとするのか。きょうは祝日で大学の授業は休講ですが、仮に授業があったとしたら、わたしは学生たちとそんな話をしたいと考えています。