ニュース・ワーカー2

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青少年ネット環境整備法案が成立へ〜やっぱり既に?落とし所?は終わったニュース

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。 http://newswork2.exblog.jp/8063256/
 前回のエントリの続きになります。
 子どもの保護のためのインターネット規制法案が6日、衆議院で可決されました。事実上、審議なしの状態だったようです。参院でも同じように可決され、成立する見通しと伝えられています。「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」という名称です。新聞協会メディア開発委員会は同日、声明を発表しました。一部を引用します。

 有害情報かどうかの定義・判断については、憲法21条が保障する表現の自由の観点から、直接、間接を問わず国は関与すべきではない。「例示」といえども、有害情報がいったん法律で規定されれば、事実上の情報規制を招く根拠ともなりかねない。また、有害情報を実質的に判断するフィルタリング推進機関を国への「登録制」とすることについても、公的関与の余地を残す懸念がある。

 7日付朝刊の新聞各紙(東京都内版)の扱いですが、法案の衆院通過をごく短く伝え、新聞協会の声明も簡単に紹介したところが多い、との印象を持ちました。やはり既に?落とし所?は終わっており、相対的なニュースバリューは低い、という判断でしょうか。その中で、読売新聞が社説「有害情報から子どもを守れ」を掲載していること、毎日新聞が新聞協会の声明の全文を掲載(第3社会面に見出し3段)していることが目を引きました。
 新聞協会の声明は有害情報の「例示」が法案に盛り込まれていることに危惧を表明していますが、その声明を紹介している紙面には、法案の「例示」部分の紹介がありません(チェックした限りでは、読売新聞が4日付の朝刊で「法案の全文が判明」として概要を報じるなど、5日以前に紙面で紹介した例はあったようですが)。読者の側に立ってみると、新聞協会に「『例示』といえども、有害情報がいったん法律で規定されれば、事実上の情報規制を招く根拠ともなりかねない」と言われても、「例示」がどのような内容なのか分からないのでは、判断の材料としては不十分ではないでしょうか。原典を当たろうにも、週末の金曜日の6日に提案され即日可決されたためか、衆議院のホームページにも8日現在、法案全文は見当たりません。
 6日の動きについては、インターネット上のニュースサイトが一番詳しいようです(たとえばITmedia Newsの楠正憲さんの分析・解説記事)。