京品ホテルはだれのものか?

 破綻したリーマン・ブラザーズ系企業の関与が指摘されたこともあって大きな話題になっていましたが、東京のJR品川駅前の老舗「京浜京品ホテル」の廃業と売却に反対し、従業員らが労働組合を結成して自主営業を続けている問題で、東京地裁が15日、労組側敗訴の決定を出しました。共同通信記事(47news)の一部を引用します。

 経営難で解雇された元従業員らが自主営業を続ける東京・JR品川駅前の京品ホテルを経営してきた京品実業(廃業)が、元従業員らの立ち退きと建物の明け渡しを求めた仮処分申し立てについて、東京地裁は15日、立ち退きと明け渡しを命じる決定をした。(中略)
 決定によると、同地裁は「従業員は解雇の効力を争うことはできるが、事業の決定は使用者が自由に行えるもので、事業を廃止した場合に再開を要求する権限は従業員にはない」と判断、会社側の主張を全面的に認めた。

 [http://keihinhotel.blog49.fc2.com/blog-entry-27.html:title=ブログ「京浜京品ホテル、自主営業中!」のエントリー]は「偽装倒産や不正な手法での会社解散などでもいっさい労働者の生存権を認めないというに等しい内容である」として、「不当決定」だとしています。労組側は即日、東京地裁に異議を申し立てました。
 労組側の主張は「京浜京品ホテル、自主営業中!」の過去エントリー「裁判所およびリーマン子会社(民事再生中)監督弁護士に提出した要望書」に詳しく紹介されています。東京地裁の決定の全文は承知していませんが、労組側の主張を読む限りでは「廃業=従業員の解雇」であり、地裁決定が「従業員は解雇の効力を争うことはできる」とする一方で、「事業の決定は使用者が自由に行えるもので、事業を廃止した場合に再開を要求する権限は従業員にはない」とし、「廃業」と「解雇」を切り分けて判断したのはあまりに杓子定規に過ぎるとの印象を受けます。
 労組側の主張の根幹は、実質的な経営権は京浜京品実業ではなくリーマン系(とされる)債権者にあり、全従業員の解雇も債権者の意思である、ということのようです。言葉を変えれば従業員の雇用に対する責任も債権者が負って然るべき、ということにもなります。全員解雇の合理的な理由の説明が会社からなく、債権者も団体交渉に応じないとなれば「廃業=解雇」は受け入れられない、との労組側の主張はわたしには十分理解できます。そこで現に働いている人々がいるのに、あたかも機械設備や備品を廃棄するのと同じように扱うことまでもが、経営の専権事項として容認されてしまうのか。つまるところは「会社はだれのものか」が問われているのだと思います。
 法的にも実体的にも、決着までにはさらに曲折が予想されますが、法廷闘争は争議のすべてではありません。争議の帰すうを決めるのは最後は運動の力、当事者たちの団結と支援する人たちの連帯の力です。京浜京品ホテルの争議が、働く人たちにとって納得できる形で決着できるよう願っています。
※参考
旧ブログ「ニュース・ワーカー」のカテゴリー「全下野新聞労組の闘争」
わたし自身が体験した争議支援の記録です(リンク切れが多数あります)。

※追記 2009年1月17日午前9時40分
東京地裁決定に対する労組側の声明がブログ「京浜京品ホテル、自主営業中!」にアップされました。
東京地方裁判所の決定に対する声明

※追記 2009年1月25日午前0時40分
ブログ「京浜京品ホテル、自主営業中!」によると、東京地裁決定を受けた強制執行がきょう未明から早朝にも行われるとの情報があるようです。
「25日未明〜早朝、立ち退き強制執行の可能性濃厚!!」

※追記 2009年1月25日午前10時30分
東京地裁強制執行が25日午前、行われました。速報の新しいエントリーをたてました。併せて、本エントリーの誤字「京浜ホテル」を訂正しました。