ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

オーマイニュース閉鎖は対岸の火事ではない

 「市民みんなが記者」を掲げてインターネット上に開設された「オーマイニュース」日本版サイト(現在は「オーマイライフ」)が、来月24日をもって閉鎖されるそうです。同サイト上に今月25日、告知がアップされました。
 「ノ・ムヒョン政権誕生の立役者」という評価とともに語られる本家韓国での成功は日本でもよく知られ、2006年8月の運営開始当初のころは、既存のマスメディアも大きく取り上げていました。ソフトバンクが出資し、編集長に毎日新聞出身の著名人鳥越俊太郎さんを迎えたこともあって、まさに鳴り物入りでの日本上陸と言ってよかったと思います。私見ですが、当時のマスメディア内部の「オーマイニュース」に対する受け止めを思い起こすと、「もしかしたら自分たちの地位を脅かすかもしれない」との「敵視」が8割、「お手並み拝見」といったあえて言えば「好奇心」が2割だったかな、と思います。
 しかし、半年も経ったころには警戒感も薄らぎ、「オーマイライフ」に装いを変えてニュースサイトから路線を転換して以降は、既存マスメディアが同サイトを意識することはまったくと言っていいほどなくなっていたと思います。今回の閉鎖告知もJ−CASTなどインターネットメディアは即座に大きく取り上げましたが、新聞では載ってもせいぜい20行程度の短信の扱いで、それも朝日新聞や読売新聞は26日になってからでした。「もはや閉鎖はニュースですらない」という新聞側の判断がうかがえますが、単に告知のアップに気付くのが遅れただけかもしれません。
 告知には「この度、世界的な経済状況の悪化から、サイトの閉鎖を決定いたしましたが、今後の市民記者メディアの発展には大きな期待をしております」とあるだけで、この時期の閉鎖になった理由はよく分かりません。ネット上での情報発信に対する理解そのもの、市民記者の位置づけ、コンテンツの質等々、失敗の原因は様々指摘できるのかもしれませんが、既存のマスメディアは教訓を学び取るべきだと思います。新聞社や放送局の経営環境も、紙面や番組のジャーナリズムへの評価もまた3年前に比べて一段と厳しさを増しているからです。「対岸の火事」とは思えません。

 4月25日以降はサイトへのアクセスそのものができなくなるようです。記録の意味で、以下のリンク先にある告知を全文引用しておきます。
 「Oh!MyLife」「OhmyNews」のサイト閉鎖について
 http://www.ohmylife.jp/life/topics/ohmylife_topics/352

 この度、2009年4月24日(金)をもちまして弊社の運営するインターネットメディア「Oh!MyLife」ならびに「OhmyNews」を閉鎖させていただくこととなりました。
 2006年に創刊した「OhmyNews」は、“市民みんなが記者”をスローガンに、日本最大級の市民メディアへと成長を遂げました。2008年9月からは「Oh!MyLife」と名称を変え、より生活に密着した、信頼性の高い消費者生成型メディアの創出に取り組んでまいりました。
 この度、世界的な経済状況の悪化から、サイトの閉鎖を決定いたしましたが、今後の市民記者メディアの発展には大きな期待をしております。
 2006年8月の開設以来、約2年半にわたり多くのみなさまに投稿、閲覧いただき、本当にありがとうございました。

2009年3月25日オーマイニュース株式会社