続「ミサイル防衛を嗤う」

 北朝鮮が「人工衛星を打ち上げる」として予告している期間の初日の4日午後、日本政府が「発射」の誤情報を公表する失態がありました。陸上自衛隊では午前中、やはり「発射」の誤情報メールが、自治体に派遣されている連絡官ら約900カ所に送信されるミス。秋田県の対策本部にいた自衛官が県に伝え、住民に伝達されてしまう実害もありました。政府の誤情報は航空自衛隊内の情報伝達の課程での「伝言ミス」と、陸上自衛隊の誤送信はシステム上の不具合が原因と説明されていますが、北朝鮮の発射そのものはなかったのに政府や自衛隊自らが社会に混乱を引き起こす結果となりました。
 わたしは前回のエントリーで、北朝鮮のミサイル問題に軍事力で対処することの危うさを書きましたが、4日の事態を踏まえてみると、果たして危機の実態があったかどうか疑わしいところに政府が危機を作り出して自衛隊を動かし、挙句の果てに危機管理能力の稚拙さをさらけ出した、と感じます。国際的に見てもお粗末としか言いようのない失態ですし、自衛隊の実力の程がよく分かったという意味で皮肉な事態なのかもしれません。また、技量未熟な自衛隊を政治が振り回しているのだとすれは、シビリアンコントロールのあり方としても問題だと思います。
 それでもミサイル防衛(MD)の必要性や、北朝鮮のミサイル問題へ自衛隊が対処することを当然とする意見はあるでしょう。わたしはそうした意見があること自体には異論はありません。問題は、軍事を前面に出した強圧的な対応と、軍事力によらず外交努力を重ねていくやり方では、どちらが住民の安全確保の観点からみて実効性が高いか、ということです。これを機会に、社会で議論が高まることを期待しています。
【追記】4月5日午後1時
エントリーのタイトルの「ミサイル防衛を嗤う」をカギかっこ付きに変えました。もともとは鎌田慧さんの言葉だからです。