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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

宮古毎日新聞労組が全面勝利〜契約社員の雇い止め撤回(追記:動画あり)

 以前のエントリーで紹介した沖縄県宮古島宮古毎日新聞労働組合が、契約社員の組合員の雇い止めを撤回させました。会社が3月31日に行った雇い止めは無効として、この組合員は6月、那覇地裁労働審判を申し立てていましたが、10月5日の第3回審理の結果、調停が成立しました。争議を全面支援した新聞労連の関係者が知らせてくれました。
 調停内容は、4月1日以降の雇用契約上の権利のほか10月1日から1年間の雇用契約が更新されたことを確認することや、未払い賃金の一定額を支払うことなどで、組合側の全面勝利と評価できるとのことです。
 この争議の経過は、宮古毎日新聞労組のブログにも紹介されています。労働審判の申し立てに当たって組合・契約社員側は(1)契約が複数回更新されており、実質的に期間の定めのない雇用形態であった(2)会社が雇い止めの理由としている業務量減少と当事者の仕事量の関係が説明されていない(3)雇い止め回避の努力がなされていない(4)人選に合理性がない―などとして、雇い止めは解雇権の濫用に当たると主張していました。結局のところ、納得できる理由のない雇い止めは、当該の契約社員が組合員であったためとしか考えようがなく、組合員を狙い撃ちにした不当な行為だったとの心証を労働審判官(裁判官)や労働審判員も持ったのではないのでしょうか。
 今回のケースは、背景に会社の組合敵視がある点が固有の事情と言えば言えますが、それにしても非正規労働者の雇い止めが争議を経て撤回されたケースとして、宮古島沖縄県という一地域のみならず、さらには新聞産業のみならず、大きな意義を持っていると思います。正社員と同等、時にはそれ以上に働きながら、そして担当している業務は一時的なものではないのに、人件費抑制のためにいつまでも非正規雇用のままという人たちは、日本の社会では決して少なくありません。宮古毎日新聞労組は、そうした非正規雇用の人たちの正社員化を重点目標に掲げています。今回の「勝利解決」が広く知られることで、同労組の運動にも弾みがつくでしょうし、ひいては非正規雇用の人たちの働き方・働かされ方を見直す機運が社会に広がるだろうと期待しています。

※参考
労働審判手続」
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/minzi/minzi_02_03.html


【追記】2009年10月8日午前1時45分
 5日の調停結果を伝える宮古島のケーブルテレビ「宮古テレビ」のニュースの動画がネット上にアップされています。
 「091006 宮古テレビNews 宮古毎日新聞 契約社員が職場復帰」

 宮古テレビのサイト
 http://media.miyako-ma.jp/mtv/content/view/3400/57/

 元新聞労連副委員長の「今だけ委員長」さんも自身のブログで、宮古毎日労組と一橋出版=マイスタッフ争議を取り上げています。
 http://minihanroblog.seesaa.net/article/129707677.html