普天間移設先はヤマトを前提にすべきだ

 米軍普天間飛行場の移設問題が争点になった沖縄県名護市長選は24日の投開票の結果、名護市辺野古地区に移設する現行計画への反対を訴えた新人の稲嶺進氏が、計画を容認してきた現職の島袋吉和氏を破り初当選しました。普天間飛行場の移設問題がどうなるか、共同通信は以下のような見通しを報じています。おそらく各マスメディアとも、現行計画の実施が事実上不可能になったという点では、一致した見通しを伝えるのだろうと思います。
名護市長に反対派の稲嶺氏初当選 普天間移設、現計画断念へ(47news=共同通信
 http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012401000405.html

 米国側が早期実現を求めてきた辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部への移設計画は、過去の市長選で得てきた「地元の同意」を失ったことになり、鳩山内閣は断念せざるを得ない状況となった。今後、5月までの移設先決定に向けて、新たな候補地の選定作業を急ぐとみられる。
 ただ、政府、与党内で浮上している県内・県外移設案にはいずれも地元から反発が出ており、社民党が求めるグアム全面移転も米国側が応じる姿勢を見せていない。候補地選定の難航は必至で、協議が行き詰まれば普天間飛行場の固定化につながる可能性もある。

 個人的な意見ですが、今こそ普天間飛行場の移設先は「沖縄県以外の日本国内」を前提に選定を進めるべきだと思います。わたしは昨年末、移転先に沖縄県下地島空港が浮上したと報道された際のエントリーで次のように書きました。

 もう一つ残念だったのは、大阪府橋下徹知事が表明した「関西受け入れ論」が全国的な広がりに至らなかったことです。これもマスメディアの報道のありようの問題だとわたしは考えています。そもそも在日米軍基地は日本が国家意思として日本に受け入れています。米軍専用施設の7割以上が沖縄に集中していることには何ら合理的な理由はつきません。ならば、米軍基地が日本に必要だと考えている他の地域の人たちが、自分の地元に誘致するという議論は当然あってしかるべきです。そうなると「基地は必要ない」と考えている人たちとの間で激しく賛否が分かれるでしょう。その議論こそが民主主義だと思うのです。その議論の果てに、日米関係のありよう、日本の憲法9条と軍事同盟の関係などにも、社会的に広範な議論が起こるのではないでしょうか。

下地島案と「屋良覚書」〜普天間移設報道に足りない視点(2009年12月31日)
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20091231/1262244516
 今一度「米軍基地が日本に必要だと考えている他の地域の人たちが、自分の地元に誘致するという議論は当然あってしかるべき」だと強調しておきたいと思います。
 現行案が2005年に日米両政府間で合意される前の案も、辺野古地区への移転でした。海上飛行場が沿岸飛行場に変わりました。新聞労連の活動で現地を訪れた際に、「ポスト辺野古はやっぱり辺野古だった」と聞きました。今回こそは「ポスト辺野古は日本本土」でなければならないと思います。それも、必ず実現させなければなりません。「ポスト辺野古普天間(固定)」にならないように。米国の反対が分かりきっているグアムなど国外移転よりも、国内移転の方がずっとスムーズに進むはずです。日米安保条約という軍事同盟が必要だという国策がある限り、米軍基地は日本ないしは近隣に必要だということを否定できません。その国策がある限り、移転先を沖縄県外の国内とすることに何らおかしな点はありません。沖縄でなければならない必然性はありません。
 その国策が果たしてみじんの疑いもない所与の前提なのか、という疑いの視点を今までヤマト(ここでは沖縄との対比で日本本土をあえてこう呼びます)のマスメディアは持とうとしなかったように思えます。そのことを考え直す機会の到来でもあると思います。