ジャーナリズムとジャーナリストの未来像を探る〜明治学院大での非常勤講師が始まりました

 ことし最初のエントリーで少しだけお知らせしていましたが、明治学院大学社会学部で2年ぶりに非常勤講師を務めることになり、10日が第1回の講義でした。7月まで毎週土曜日の午前中、東京・白金のキャンパスに通います。
 2年前は新聞ジャーナリズムがテーマでした。わたしが「教える」ことに不慣れだったこともあり、新聞に日ごろなじみのない学生たちには実感を得にくい内容だったのではないかとの反省が残りました。今回は、シラバスの「授業概要」を以下のようにしました。

 インターネットの普及によって誰もが情報発信できるようになり、ジャーナリズムは新聞や放送など既存マスメディアの専有ではなくなっている。同時にマスメディアの取材活動が可視化され、社会から「見られている」ようになった。昨年の政権交代後に高まっている記者クラブを舞台にした閣僚記者会見の開放の要請や、小沢一郎民主党幹事長の政治資金収支報告をめぐる事件での「検察リーク」批判などは、情報発信をマスメディアが独占していた時代にはありえない出来事だった。マスメディアに起きている変化を検証し、ジャーナリズムの再定義を試みる。

 「学習目標」は次の通りです。

 今日の社会でなお新聞や放送など既存のマスメディアが果たしている役割を理解し、SNSやブログ、ツイッターなどのソーシャルメディアを経由して得る情報と、マスメディアから得る情報とを総合的に判断して、情報の取捨選択を的確かつ主体的に行うスキルを身につけることが重要であることを理解する。

 この非常勤講師職は「現場で働いている人が務める」という点が特色とのことです。わたしの場合で言えば、新聞産業の編集職場で働いている、という点が講義の最大の特色ということになります。従って、新聞というメディアから離れてしまうことはせず、なおかつソーシャルメディアが普及しつつある社会の中で新聞が培ってきたジャーナリズムがこれからどうなっていくのか、ジャーナリズムがもはや新聞や放送などマスメディアの占有ではなくなっている中で、プロとして新聞記者はどんな風に取材してどんな記事を書いていけばいいのかをわたし自身が考えながら、さまざまに語っていきたいと考えています。いわば、ジャーナリズムとジャーナリストの未来像を探るわたし自身の試みです。「『教える』は『学ぶ』に通じる」のスタンスで、学生たちにもなるべく意見や感想を言ってもらいながら進めていこうと思います。
 初回の講義では、これからの講義で話していこうと考えている内容を概観的に大雑把に紹介しました。だれもが情報発信できるようになってマスメディアの取材が可視化されていること、ソーシャルメディアの普及で社会の情報流通は複雑になり「マス」は崩壊していること、などです。先日の鳩山由紀夫首相の記者会見にフリーランス・ジャーナリストやネット媒体の記者が参加したことも紹介し、これをニュースとして報じた新聞と一行も報じなかった新聞とがあることをどういう風に考えたらいいか、といったことも話しました。
 せっかくの機会なので、毎回少し時間を割いて、新聞の読み方や、複数の新聞の読み比べなども話していこうと思います。


※2年前の講義についてはカテゴリー「非常勤講師」で、当時のエントリーをご参照ください。