目取真俊さんが指摘する「沖縄差別」の論理

 鳩山由紀夫首相が2日、辞意を表明しました。就任以来、内閣支持率が一本調子で下がり続け、この週明けに出揃った新聞各社の世論調査では20%を切る結果も報じられていました。小沢一郎民主党幹事長らとの会談で、鳩山首相が辞任を渋ったとも伝えられていましたが、2日午前の党両院議員総会での辞意表明演説や午後の報道陣のぶら下がり取材では、首相は1日には辞意を固め、むしろ小沢氏にも身を引くよう自分から迫ったと明らかにしました。真相を探ろうと、マスメディアの政治報道では様々に取材が展開されています。
 だれが政権を引き継ごうと、わたしがいちばん気がかりなのは米軍普天間飛行場の移設問題と沖縄のことです。以前のエントリーで触れたとおり、移設先は三たび、沖縄県名護市辺野古となりましたが、すんなり進むべくもありません。結果的に鳩山首相が自らの政治生命と引き換えに日米合意を残した形となりましたが、決して決着ではありません。本土(ヤマト)のマスメディアにとっては、これから起こることの何をどう伝えていくのかが問われるのだと思います。
 ※参考過去エントリー
 「『なぜ沖縄』の疑問に応えていく報道を〜ヤマトメディアに起きた無自覚の変化」(2010年5月30日)
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20100530/1275180587

 この過去エントリーで少し触れた名護市在住の作家目取真俊さんが自身のブログ「海鳴りの島から」で、「沖縄差別」について書かれています。少し長くなりますが引用します。
 ※海鳴りの島から「産経新聞による事実歪曲」(2010年6月2日)
 http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/49bfb4a890835a53a106538721b7a977

 いま、沖縄では差別ということがしきりに言われるようになっている。自公政権が進めた現行計画に鳩山政権が「回帰」したことは、沖縄に米軍基地を集中、固定化するという点で、民主党もしょせんは自民党公明党と違わないことを示した。それは、日本本土=ヤマトゥの利益のためには沖縄を犠牲にしてもかまわない、という差別の論理が、日本人=ヤマトゥンチューの内にどれだけ広く深く根を張っているかを見せつけた。
 仲井真知事が現行計画の沖合移動という考えを持っているのは、いまも変わらないだろう。しかし、沖縄差別が問題とされることによって、仮に政府が知事の求めていた「微修正」を提示しても、それを受け入れるハードルはずっと高くなった。それは県経済界が振興策というアメを受け入れるときも同じだ。「微修正」や「振興策」を受け入れることは、沖縄差別を受け入れ、容認することである。そうやってこの先もウチナンチュー自らが沖縄差別を継続させ、子や孫の世代に苦しみを追わせていいのか。そのような追及が沖縄の中からなされるであろう。
(中略)
 結局、「最低でも県外」と言った公約を投げ捨て、辺野古「移設」で日米間の合意を結び、4・25県民大会に示された沖縄県民の要求を踏みにじった鳩山首相は、退陣に追い込まれた。自業自得だが、沖縄と全面対決して辺野古「移設」=新基地建設を強行しようとすれば、追い詰められるのは政府の方だということだ。
 それは新たに誰が首相になろうと変わらない。沖縄側が自ら沖縄への米軍基地集中、固定化という差別政策の継続を認めることはあり得ない。

 「移設先はなぜ沖縄でなければならないのか」と疑問に思い始めた人は本土でも少なくありません。本土メディアの報道が無自覚にせよ4〜5年前と変わったことも要因だと思います。沖縄をめぐり、これから起こる出来事を伝えるに際して、報道に当たる側は「沖縄差別」をどう考えるかのかを直接、間接に問われることになるでしょう。「日米関係」とか「国益」に自縄自縛とならず、価値観や歴史観を相対化して臨むことができるかどうかの問題でもあるのだろうと考えています。