ヤマトメディアの論調に差異も〜沖縄知事選の大手紙社説

 前回のエントリーでも予想していましたが、28日の沖縄県知事選を取り上げた本土(ヤマト)の大手紙社説は、それぞれのメディアのスタンスを反映させた内容になっているように思えます。29日午前のネット上での検索がベースですが、各紙の社説の見出しを書き留めておきます。

【朝日】重い問いにどう答えるか
【毎日】首相は普天間現実策を
【読売】普天間移設の前進を追求せよ
【日経】宙に浮く普天間問題をどう打開するか
※産経、東京は見当たらず

 見出しからはどのような主張になっているのか、分かりにくいことが共通しています。その中で、対照的なのが朝日と読売のように思えます。
 朝日の社説は「普通の首長選とは意味合いが大きく異なる選挙戦だった。県政の課題を超え、『沖縄対ヤマト』という険しい対立構図が色濃く打ち出されたからだ」と指摘し「日米両政府と本土のすべての国民は沖縄が突きつける重い問いに今度こそ真剣に向き合わなければならない」としています。ただ、米軍普天間飛行場の移設問題をめぐっては、では沖縄以外に移設先を見出すべきなのかなど、具体的な方向性には触れていません。この、言ってみれば「政府は選挙結果と真摯に向き合い、逃げずに誠実に対応すべきである」というスタンスは毎日や日経にも共通しているように思います。朝日については、為政者のみならず「本土のすべての国民」をも含めた点に、他紙にない視点があります。
 対して読売は「仲井真知事は昨年まで辺野古移設を支持し、今も県内移設への反対は明言していない。政府との協議に応じる意向も示している」「菅政権は、仲井真知事との対話を重ね、日米合意へ理解を得るよう最大限の努力をすべきだ」と、普天間飛行場移設については明確に現行の日米合意案、すなわち沖縄県名護市辺野古崎への移設を主張しています。この選挙結果を踏まえてもなお、とのメディアとしてのスタンスと理解していますが、個人的には違和感をぬぐえません。
 あらためて各紙の社説をながめてみると、在日米軍の存在自体への疑問は見当たらないことが共通しています。尖閣諸島沖の中国漁船と巡視船の衝突事件や北朝鮮による韓国砲撃などを引き合いに、日米安保体制(日米同盟)の重要性を強調する点は、各紙とも従来通りです。この点は、自社特派員をワシントンに送り、米議会での海兵隊不要論などを積極的に紹介している琉球新報など沖縄メディアと大きく異なる点です。

 ヤマトの大手マスメディアの間では、従来通りの日米同盟重視が共通する一方、沖縄の基地負担の問題ではそれぞれのスタンスに差異も生じてきていると感じます。ヤマトのメディアの論調が多様化し、幅に広がりが出ることは悪いことではないと思います。