筑後川と久留米駅のクジャク〜続・新幹線

 東北新幹線の全線開業に続いて、来年3月には九州新幹線鹿児島ルートの博多〜新八代間が開業し、新青森から鹿児島中央までをつなぐ新幹線「大動脈」が完成します。東北でも九州でも、地元自治体などはこのことを強く意識してPRしているようで、八戸〜新青森開業の際には、鹿児島市長が青森市長を表敬訪問したことなども報じられました。実は、博多から2番目の停車駅が設けられる福岡県久留米市には高校時代の3年間、住んでいました。寮生活で、週末には北九州市の自宅とを往復していました。博多以南は東京との直通運転はないようですが、青森とともに個人的に思い出深い街が、相次いで新幹線で結ばれることに感慨があります。
 わたしが高校生だった当時、新幹線は既に博多までは開通していました。熊本・鹿児島・佐賀・長崎方面への鹿児島線長崎線の特急・急行はほとんどが博多駅発着になっていました。小倉から大分・宮崎方面へ分岐する日豊線はともかくとして、北九州市から九州各地へ向かうには、いったん博多まで行って乗り換えなければならず、いかにも面倒でした。新幹線開通以前は、北九州市からも各地へ直通列車が走っており、特に特急よりも料金が安かった急行は、九州内の移動には重宝していたのではないかと思います。新幹線が、そうした流れを変えてしまいました。
 小倉から博多、博多から久留米へと特急料金を2回払うのももったいないくらいの距離でしたし、高校生では贅沢でした。自宅への帰省には、北九州から久留米まで直通で走っていた快速電車を使っていましたが、時間帯によっては博多で乗り継がなければならないなど、面倒くさかったことを覚えています。博多を出ていったん佐賀県鳥栖に入った後、筑後川の長い鉄橋をゴトゴトと渡ればじきに久留米の駅でした。筑後川の広い河原には時折、散歩に行きました。将来は何になるか、いろいろなことを考え、生意気にも何にでもなれそうな気がしていました。その筑後川の上にも間もなく高架橋の新幹線が走るのかと思えば、やはり感慨があります。
 久留米駅はユニークなことに、駅構内でクジャクを飼っていました。ネットで検索してみると、ちょっと驚いたことに比較的最近まで飼われており、新幹線開通に伴う駅工事でいなくなったようです。新しい駅舎になって、戻ってこないのでしょうか。

 九州新幹線には現在の「つばめ」に加えて、山陽新幹線に乗り入れ新大阪と直通する「さくら」「みずほ」が走ります。東北新幹線では来年3月に新型車両E5系が登場し「はやぶさ」として走ります。いずれの列車名もわたしが子どものころ、九州に乗り入れていた長距離特急でした。特に「さくら」「みずほ」「はやぶさ」は、「あさかぜ」「富士」とともに東京と九州各地を結ぶ寝台特急ブルートレインとして、北九州の街を走っていました。青い車両を見かけては、まだ行ったことのない東京の街に思いをはせていた、いずれも懐かしい名前です。1960年代から70年代のことです。子ども心に、将来とは明るい未来のことだということに、何の疑問も抱いていませんでした。日本の社会全体が前向きに、上を見ながら歩いていた時代だったのだと思います。