- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 1/19号 [雑誌]
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経済誌のダイヤモンドの特集はプロローグ「崖っ縁でもがく二大メディア」に続いてパート1「衰退する新聞の壮絶バトル」、パート2「追い込まれるテレビの瀬戸際」、パート3「通信・IT『新参者』の逆襲」の構成。新聞については朝日、毎日、読売、日経、産経の大手5紙が中心ですが、売上高の半減年数シミュレーションをグラフで見せたり、朝日のブランド力の低下を指摘したり、さらには毎日や産経、時事通信を「瀬戸際メディア」と呼んだりと、大胆に切り込んだレポートが並んでいます。今後は電子版の有料化が大きな流れになりそうですが、その点も含めて、わたし自身が身を置く新聞産業の現状と将来予測をあらためてコンパクトに俯瞰できました。日本テレビの賃金カットをめぐる日本テレビ労組の争議を、冷静な筆致で紹介しているのも印象に残りました。
ちなみにダイヤモンドのライバルの週刊東洋経済も、新聞・テレビ産業のレポートは熱心です。両誌のこの2年ほどの主なカバータイトルを並べると次の通りです。外からはこのように見えている産業だということは、意識しておこうと思います。
- 「新聞・テレビ複合不況」 (2008年12月ダイヤモンド)
- 「テレビ・新聞陥落!」 (2009年1月東洋経済)
- 「新聞・テレビ断末魔」 (2010年2月東洋経済)
- 「激烈!メディア覇権戦争」 (2010年7月東洋経済)
- 「新聞・テレビ勝者なき消耗戦」(2011年1月ダイヤモンド)
ニューズウイークの特集は、新聞社勤務の知人のmixi日記で知りました。新聞産業の関係者に読まれているようで、twitterやmixiなどのソーシャルメディアで感想をよく目にします。しかも「記事の内容はおかしい」との感想は見かけません。書かれていることの大半は「その通り」と受け止められているということなのでしょう。だから問題は「これからどうするのか」だと思います。
記事が指摘しているのは突き詰めれば「『シンブンキシャ』という人種の多くが思考停止していること」であり、その原因は「失敗を過度に恐れる文化や硬直化した企業体質」「現場主義と客観報道の盲信」となります。「現場主義の落とし穴」という言い方に最初は違和感がありましたが、読んでみて「なるほど、そういうことか」と感じました。
日本の新聞記者の働き方はわたし自身の10年来の大きな考察テーマです。批判が多い記者クラブも含めて、新聞記者の働き方は新聞製作への最適化の追求を重ねた結果であり、キーワードは「縦割り」であると考え着くに至りました。昨年、明治学院大社会学部の非常勤講師の授業の準備でまとめたことを過去エントリーに残しています。お読みいただければ幸いです。
※参考過去エントリー
「紙面、取材組織、記者クラブの『三位一体』的な縦割り〜ネット以前と同じ新聞メディア」2010年4月30日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20100430/1272560053
「これからどうするのか」ですが、まずは新聞記者の仕事はだれに対して責任を負うのかを自覚すること、その実践に日々努めることだと思います。そういう方向へ新聞記者たちの背中を押してやれる、そういう組織のありようをどう担保していくのかがその先の課題です。