ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

現場取材の皆さんへ〜声を掛け合おう

 今月11日に東北地方を中心に東日本を襲ったマグニチュード9・0の巨大地震は、発生から6日目の16日を迎えても、なお被害の全容がはっきりしません。激しい揺れもさることながら、何もかも押しつぶし飲み込んでいった津波被害には言葉もありません。福島第一原発では原子炉建屋が相次いで爆発するなど、未曾有の事態が続いています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 東北地方を中心に、被災地各地に多くの取材記者らが入り、連日報道が続いています。過酷な条件下での取材は、身の回りの安全ばかりでなく、メンタル面での配慮も必要になります。新聞社の労働組合などでつくる新聞労連日本新聞労働組合連合)が、筑波大学の松井豊教授ら「報道人ストレス研究会」がまとめたメッセージを紹介し、注意を呼び掛けていますので転載します。現場取材に当たっている取材陣の皆さんだけでなく、後方に控えているデスクや同僚記者の皆さんにも参考になるかと思います。要は互いに声を掛け合うことです。新聞社や放送局の記者やスタッフの身内の間に限らず、フリーランスの方々とも取材者同士として声掛けを。

 今回の地震で取材や報道に携わる方々の心身の健康が懸念されますので、私どもの立場から現場の方々に向けたメッセージを作成いたしました。もし現場の方々にご連絡される機会がありましたら、ご転送いただければ幸いです。(中略)
1)少しでも休憩や休養をとって下さい。
 皆さんは今、使命感や伝えたいという強い気持ちから睡眠も十分にとれないで状態ではないでしょうか。この災害報道は中長期化します。現場を知る皆様が倒れたら、今後の活動に大きく影響します。中長期の活動に耐えられるように、少しでも休憩や休養をとって下さい。
2)仲間と声をかけあって下さい。
 ミーティングなどをする時間的ゆとりはないかもしれません。でも、他社の方とでも、ちょっと声をかけ、励まし合うことによって、心にゆとりが生まれます。心にゆとりがないと、取材対象者を不用意に傷つける報道になりかねません。強い興奮状態や極度の疲労から、声をかけ合うのも面倒になるかと思いますが、ぜひ支え合って下さい。
3)少し落ち着いたら、仲間や上司と話し合ってください。
 飲み会でも結構です。1週間後でも2週間後でも、現場に行った仲間や理解ある上司と話し合う機会を作って下さい。取材時や報道後に感じたストレスを、胸にしまい込まず、率直に話し合ってください。

 関連する情報が下記サイトにあります。ジャーナリストを支援する国際的な組織であるダートセンター(Dart Center for Journalism and Trauma http://dartcenter.org// )のHPの一部です(※下記の部分は日本語)。よろしければご参照ください。 ジャーナリストの皆様が無事で、こころおききなくご活躍できることを祈っております。(中略)

報道人ストレス研究会松井豊・安藤清志・井上果子・福岡欣治・畑中美穂・高橋尚也・張綺

※報道人ストレス研究会については
http://www.human.tsukuba.ac.jp/~ymatsui/index.html
「惨事ストレスマニュアル」より詳しい心理反応などが記載されています
http://www.human.tsukuba.ac.jp/~ymatsui/disaster_manual3.html