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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

今なお先進性が色あせない宮古毎日新聞労組〜祝結成5周年

 21日から22日にかけて、1泊2日で沖縄県の宮古島を訪ねました。このブログでも何回か紹介しましたが、この島の地域紙の労働組合、宮古毎日新聞労働組合が21日で結成から丸5年となり、その記念式典とお祝いの会に出席しました。
 結成当時、わたしは新聞労連委員長で2カ月後には退任でした。結成大会、経営者への労働組合結成の通告、第一回の団体交渉のいずれにも同席しました。当初は職場の従業員の8割が加盟してのスタートでしたが、その後の歩みは「苛烈」のひと言に尽きます。もう2年前のことになりますが、週刊誌「アエラ」が「珊瑚礁の島の労組つぶし」とのタイトルで、宮古毎日新聞労組のリポートを掲載しました。その折にこのブログに書いたエントリーを紹介します。宮古毎日労組のことを初めて知った方は、こちらをご参照ください。
※「先進性が色あせない宮古毎日新聞労組〜アエラ『珊瑚礁の島の労組つぶし』掲載」2009年7月20日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20090720/1248028676

 09年10月には那覇地裁の労働審判で契約社員の雇い止め撤回で調停が成立するなど、画期的な成果も納めていますが、昨年12月には新たな不当労働行為の救済を申し立てており、今も争議状態は続いています。正社員であるか否かを問わず働く仲間として団結し、会社に対して一歩も引かずに戦い続けている姿は、今もなお先進性が色あせていないと思います。
 宮古島へは、組合結成1年の折り以来、4年ぶりの訪問でした。私は「元新聞労連委員長」という個人での参加でしたが、労働組合関係では新聞労連の加盟組合や沖縄のマスメディア関連労組、宮古島の地域労組などから多数の参加者があり盛況でした。新聞労連はこれまで何度か、全国の組合員に呼び掛けて宮古島現地で支援総行動を組んできました。お祝いの会で、参加者の祝辞に共通していたのは「支援するつもりで島に来た自分たちの方が、団結の尊さや、権利を勝ち取ることの大変さを教えられた―」ということでした。
 宮古毎日労組の皆さんのあいさつにも印象的なものが多かったのですが、委員長の垣花尚さんが、宮古島という「地域の一員」として働く者の権利の擁護や地位向上に取り組んでいく、という趣旨の話をされたことがとても強く印象に残っています。団結は働く者の権利であり、権利は権利として正当に行使しなければ、権利として輝くことはありません。そしてまた団結は、同じ職場や同じ企業、同じ産業だけのことではありません。
 わたし自身は今、どの労働組合にも属していません。それでもなお宮古毎日新聞労組から、働き方、働かされ方について、働く者の権利について、多くのことを教えてもらった、そんな気がした宮古島訪問でした。
※5周年記念誌は230ページ。戦いの記録がぎっしり詰まっています。「アララガマ」とは宮古島の言葉で、どんな困難に突き当たっても決してくじけない不屈の精神、という意味です。宮古毎日新聞労組の争議ニュースの題号にもなっています。