沸騰、ヒートアップ、大将戦―:14日の大阪ダブル選挙紙面

 大阪府知事から大阪市長への転身を図る橋下徹氏と、市長再選を目指す平松邦夫氏の一騎打ちが確定した13日の大阪市長選告示について、大阪発行の新聞各紙は14日の夕刊で一斉に大きく報じました。朝日、毎日、読売、産経の4紙はいずれも1面トップ、社会面見開きで展開。特に社会面は各紙それぞれに迫力のあるレイアウトで、大きな紙のメディアとしての新聞に、ビジュアル面でまだまだ可能性があることを思わせる迫力ある紙面です。それぞれ、実際に手に取ってもらうのがいちばんなのですが、上記4紙に日経新聞を加えた5紙について、大阪市内発行の最終版の主な見出しを書き留めておきます。

【朝日】
▽1面トップ「大阪の顔『私が』」「平松邦夫氏 『反独裁』を一貫強調」「橋下徹氏『既成政党打破』訴え」
▽2社面「税のムダ解消・市民サービス不安」「都構想 どうみる」/「平松氏 改革に実績」「橋下氏 斬新な発想」「対決2氏 有権者の評価は」/表「あなたが考える争点は?」大阪市民に聞いた(6人)
▽1社面「東奔西走 議論沸騰」「両候補の告示日の動き」/識者4人▼精神科医香山リカさん「競争よりも長所伸ばそう」▼北海道大准教授中島岳志さん「現制度で知恵絞る方が得」▼放送プロデューサーデーブ・スペクターさん「止まった大阪進化生もう」▼「大阪維新の会」政策顧問・慶応大教授上山信一さん「都構想主眼は府民所得増」/街頭演説▼古賀伸明・連合会長「大阪の民主主義守ろう」▼大村秀章・愛知県知事「3大都市圏で元気出す」

【毎日】
▽1面トップ「大阪ダブル選ヒートアップ」「平松氏『市民一筋に』」「橋下氏『区に権限を』」/表・平松氏と橋下氏の主な主張(項目は大都市制度、区長の選び方、区の予算編成、教育基本条例案)
▽2社面「じっくり改革平松流か」写真8段「『歴史も文化も伝統もある街から日本変える』」遊説写真5枚
▽1社面「スピード維新橋下流か」写真8段「『体制変えられたくない勢力孟抵抗している』」遊説写真5枚

【読売】
▽1面トップ「平松、橋下氏一騎打ち」「大阪市長選告示 頂上決戦」/「トップダウンvs対話・協調」
▽2面4段「平松氏『街の長所見つけ伸ばす』」「橋下氏『府庁、市役所守らない』」(両候補の第一声)/2段「既成政党と地域政党激突」
▽2社面「都構想 大将戦」/「『お兄さん』と『紳士』」「話し方、服装も好対照」/平松氏支持・山口二郎氏「憎しみの政治不要」▼橋下氏支持・古賀茂明氏「日本変わる分水嶺
▽1社面「大阪真っ二つ」/「平松氏 街壊す人に略奪させず」「橋下氏 市民と既存勢力の勝負」/表・平松・橋下両候補の公約比較(項目は大都市制度、教育改革、交通政策、エネルギー政策、行財政改革、中小企業政策)

【産経】
▽1面トップ「大阪再生『協調』か『強さ』か」「方法論と手法 真っ向対立」/図表・大阪市長マニフェストの比較(項目は大都市制度、首長、市役所改革、教育、市営地下鉄)
▽2社面「『野心のみのひと』」「平松氏、市民よりアピール」写真2段
▽1社面「『生きるか死ぬか』」「橋下氏、商店街で握手攻め」写真2段

【日経】
▽1面4段「平松・橋下氏一騎打ち」「大阪市長選告示 本格論戦火ぶた」
▽2社面2段「主張の違い鮮明」「大都市制度を巡り論戦」
▽1社面トップ「商都再興 連携か変革か」「平松氏『市民協働、積み重ね』」「橋下氏『強い大阪、都で実現』」/全4段「区のあり方議論白熱」

 もっとも目を引かれたのは、毎日新聞産経新聞の社会面です。ともに社会面見開きのうち、右側のページの第2社会面に平松氏、左側の第1社会面に橋下氏の記事と写真を置き、2人が向かい合う形の紙面となりました。毎日新聞は両候補の街頭演説風景などの写真もふんだんに掲載しています。2人以外には立候補者がいない、文字通りの一騎打ちだからこそのレイアウトでしょう。
 朝日新聞は第1社会面で、長めの識者や応援演説の著名人を計6人分、ずらりと並べました。多様なものの見方、価値観を紹介する、という意味では、有権者にとって有益な情報でしょう。
 読売新聞は第2社会面の「都構想 大将戦」の見出しと1社面の「大阪真っ二つ」の見出しが向き合うレイアウト。「大将戦」とは、一足早く始まった大阪知事選を意識してのことでしょうか。
 気になるのは、各紙の争点の取り上げ方です。各紙とも主な争点としては、まず「大都市制度」として、橋下氏が主張する「大阪都構想」を取り上げています。今回のダブル選挙が、大阪都構想に平松市長が賛同しないのに郷を煮やした橋下氏が仕掛けたことを考えるなら、最大の争点になるのは当たり前のことかもしれません。しかし、そうした大都市制度をめぐる市民の意思表示が今、本当に必要なのかどうか、という観点もありうると思います。大都市の制度問題が、市民生活にとってどんな意味があるのか、と言ってもいいでしょう。次々に批判すべき敵を作り出し、そうすることで自らへの支持を高める手法を繰り返してきた橋下氏が、今回は大阪市と平松市長を敵視し、結果的にダブル選にまで行き着いたとみるのは皮相的でしょうか。この争点の報じ方の問題は、またあらためて考えてみたいと思います。