有権者から見ると「大阪都構想」の優先順位は低い:大阪ダブル選挙の各紙世論調査

 週明けの21日付朝刊で、朝日、毎日、読売、日経各紙がそろって1面に大阪市長選、大阪府知事選のダブル選挙に関する世論調査結果を掲載しました。1日早く20日付朝刊に載せた産経新聞を含めて、大阪で紙面を発行する大手紙5紙の調査結果が出そろいました。各紙の主な記事と主な見出しを、世論調査と選挙戦情勢の記事に絞って書き留めておきます。ふだんは大阪市内版は対象にしていないのですが、いくつか目に留まったデータもありますので、今回は一部の新聞の大阪市内版も対象にします。

▼11月20日付朝刊
【産経】
▽1面トップ4段
「橋下氏と平松氏 接戦」
「知事選も競り合う」
「維新vs反維新 争点鮮明」
▽3面・グラフ6枚(「関心度」「現状認識」「説くんでほしい政策」の3つに対する大阪市民、府民それぞれの回答)
「ダブル選『関心』90%」
「教育条例案 賛否分かれる」

▼11月21日付朝刊
【朝日】
▽1面トップ4段
「橋下氏、一歩リード」
「平松氏、追う展開」
「知事選 松井・倉田氏競る」
▽3面・グラフ2枚(「大阪都構想に賛成か反対か」「何を一番重視して投票するか」)
「都構想『賛成』3割台」
「橋下氏手法『評価』54%」

【毎日】
▽1面トップ5段
「橋下氏、平松氏をリード」
「知事選 松井氏追う倉田氏」
▽3面「クローズアップ」・グラフ2枚(大阪都構想、教育基本条例への賛否と支持候補)
「都構想賛否と連動」
「7割 投票『行った』『必ず行く』」
「カギ握る公明票の行方」
大阪市内版・グラフ2枚(「最も重視する投票基準は?」「最も取り組んでほしい政策は?」)
「投票基準『政策』44%」
「『市長候補と連携』17%」
「新知事へ『景気対策』最多」

【読売】
▽1面トップ4段・グラフ1枚(大阪都構想の賛否)
「橋下氏先行、平松氏追う」
「知事選 松井氏ややリード、倉田氏猛追」
大阪都構想『賛成』55%」
▽2面全2段・質問と回答
▽2社面3段・グラフ2枚(「大阪府知事選の主な立候補者の支持政党割合」「大阪市長選の立候補者の支持政党割合」)
「維新vs反維新 鮮明に」
「ダブル選『関心』90%」
大阪市内版・グラフ2枚(「争点として特に重視したい政策」「投票に行くか」)
「『必ず投票』大阪市内8割」
「『経済・雇用対策』問いたい」

【日経】
▽1面準トップ4段
「橋下氏、一歩リード」
「平松氏、追う展開」
「大阪知事選 松井・倉田氏が接戦」
▽1社面・グラフ3枚(「大阪が発展するために必要な政策」「橋下前府知事の実績を評価するか」「平松市長の実績を評価するか」)
「政策、雇用や医療を重視」
「都構想 賛成43%、反対22%」

 注目の大阪市長選では産経が「接戦」としたほかは、4紙とも橋下氏が先行・リードの結論になりました。産経の調査実施が18〜19日と金〜土にまたがったのに対し、他4紙は実施が土〜日だったことが理由かもしれませんが、よく分かりません。
 個人的には、橋下徹氏と「大阪維新の会」が掲げている「大阪都構想」に、有権者がどんな意見を持っているかに関心がありました。構想そのものへの賛否だけではなく、今回の選挙で争点とされていることを是としているかどうか、という観点からです。
 もともと、今回のダブル選を仕掛けたのは橋下氏でした。自ら大阪市長となって「大阪都構想」実現のために大阪市を解体する、との狙いからです。再選を目指して出馬している現職大阪市長平松邦夫氏は「都構想」には反対です。これらの事情から、「都構想」が最大の争点と目され、マスメディアがそう報じることは分からないではありません。同じように、世論調査で新聞各紙が「都構想」への賛否を尋ねるのも、最大争点であるなら当たり前のことでしょう。ただ、せっかくの世論調査なら、もう一つ明らかにしてほしい要因があります。有権者自身も、「都構想」を今回のダブル選で問うべき重要な問題、喫緊のテーマと考えているのか否かです。「都構想」自体への賛否と、「都構想」を今、選挙の最大争点として問うことは、本来は別の問題のはずです。「都構想」には賛成だが、府知事ポストを空席にしてまでただちに選挙で問うべき課題とは思わない、と考える有権者はどれぐらいいるのか。マスメディアにとっては、選挙後の府政、市政をどう報じるかを考える上でも、無視できない観点だと思います。
 そうした目で各紙の世論調査の関連記事を見ていったときに、読売新聞が第2社会面に掲載した分析記事に目が留まりました。重要な指摘をしていると感じた部分を引用します。
 「重視する問題で都構想を挙げた人は選択肢中の最下位だったが、上位の経済活性化や医療・福祉政策などは候補者ごとの主張の対立が見えにくいため、都構想が有権者の有力な判断基準になっているようだ。」
 大阪市内版のページには、さらに詳しい調査結果が載っており、それによると「争点として特に重視したい政策」の回答(複数可)はトップが「経済活性化や雇用対策」で82%の人が挙げており、「医療や福祉政策」(78%)、「府や大阪市行財政改革」(73%)と続き、「大阪都構想」は49%と回答者の半数に届きません。
 同じ傾向は、産経新聞世論調査結果からもうかがえます。新しい知事、市長に取り組んでほしい政策を8つの選択肢から2つまで選ぶ設問では、やはり景気・雇用対策が最多で、「医療・福祉」「教育・子育て」と続き、「大都市制度改革」を挙げた人は1割にも満たず、優先順位としては低い結果になったと、同紙は伝えています。
 これらの調査結果から何を読み取るべきでしょうか。橋下氏が知事職の任期を全うすることなくダブル選挙に突き進んだのは何のためかと言えば、「大阪都構想」実現のためでしょう。しかし、都構想については、有権者の大多数が「優先度が高い」と考えているとは言えないようです。マスメディアの報道はどこに焦点を合わせるのか。選挙後の府政や市政をどう報じるかにまで頭を巡らせながら、残り1週間を切った選挙戦報道に、時には試行錯誤も交えながらでも変化をつけていけばいいと思います。