次の敵は「国」と宣言〜橋下徹氏が大阪市長就任

 12月19日は、大阪市の新市長に11月27日の大阪ダブル選挙で圧勝した橋下徹氏が就任し、市役所に初登庁した日でした。午前11時からの記者会見を、わたしは職場で民放テレビの中継で見ました。橋下氏は選挙公約だった「大阪都」構想の実現に意欲を見せる一方で、生活保護制度をめぐって「地方から口を出せないなら受給認定業務はしない」「国の政治が変わらないなら最後は政治闘争だ」などと、自らが代表の地域政党大阪維新の会」からの衆院選候補擁立も口にして、国を厳しく批判しました。やや意外だったのは、一貫していた〝公務員バッシング〟が表向きなかったことです。市職員については「面従腹背でも何でもいい」「民意に向かって一致団結して頑張っていく」と述べましたが、大阪府知事時代の激しい口調に比べれば随分と穏当に聞こえました。総じて市政への抱負と言うよりは、国政マターに関して国を批判する内容が多く、「統治機構を変えることが重要」「このままでは日本は沈没」と強調。「次の敵は『国』だ」と宣言したようにも受け取れる会見でした。
 本来ならこのニュースは大阪発行の新聞各紙の夕刊では間違いなく1面トップだったはずです。NHKも正午の全国ニュースのトップで流し始めたその最中に、北朝鮮金正日総書記死去の大ニュースが飛び込んできて、紙面展開は大きく変わりました。橋下氏の市長就任は、各紙とも最終版1面に残りはしましたが見出しは3段止まり。社会面も、金総書記関連の記事が大きなスペースを占め、橋下氏の記事は脇に押しやられた観があります。大阪をはじめ関西は在日コリアンが多く住む地域であり、それも金総書記死去が大きく報道される要因になるのだと感じています。北朝鮮情勢が今後どうなるのかによって、日本社会にも少なくない影響が出るはずで、マスメディアの重要な取材テーマです。
 ここでは、橋下氏の市長就任について、大阪発行の各紙夕刊最終版の扱いと、主な見出しを書き留めておきます。
 以前から指摘している通り、政治家の公約は選挙期間中だけのものではありません。検証はマスメディアの責務です。

【朝日】
▽1面:本記、最下段に横組み、見出し幅が1・5段相当「橋下市政スタート」「初登庁『大阪市、一から作る』」
▽第2社会面:3段「橋下劇場 開演」/「面従腹背は大歓迎」/「24区長公募開始」
【毎日】
▽1面:本記3段「橋下新市長が初登庁」「『大阪の統治機構変える』」
▽第1社会面:下6段分「面従腹背 大歓迎」「橋下新市長 橋下初登庁」「巨大タンカーの船長」
▽第2社会面:下7段分「市議会 どう対応」「選挙後は軟化も」「維新少数与党、他会派けん制」
【読売】
▽1面:本記2段「橋下・大阪市長が初登庁」
▽第2社会面:4段「橋下流 いきなり全速」「初日から戦略会議」
【産経】
▽1面:本記3段「橋下市長『統治機構帰る変える』」「大阪市役所初登庁 幹部ら89人異動」
▽第2社会面:3段「『橋下劇場』第2幕」「初日人事『報復?』職員戸惑い」
【日経】
▽1面:本記3段「橋下市政スタート」「国動かなければ『衆院選で大勝負』」
▽第1社会面:4段「『新しい大阪 万全の体制で』」「橋下氏、人事固めに着手」