「日の丸・君が代」最高裁判決は大阪への牽制〜水島朝穂さんの視点

 ひとつ前のエントリーで触れた日の丸・君が代の起立斉唱の強制をめぐる最高裁判決について、憲法学者水島朝穂さんが自身のサイトで取り上げています。

平和憲法のメッセージ「今週の直言」:「最高裁は変わったか―『君が代訴訟』判決と裁量統制」 2012年1月23日
 http://www.asaho.com/jpn/bkno/2012/0123.html

 憲法判断に消極的とされてきた最高裁に変化の兆しが生まれているとして、昨年3月の定数是正訴訟判決を例に、「近年の最高裁は、違憲判断を正面から打ち出すというわけではないものの、個々の施策に対して立法府の裁量に丸投げせずに、細かな注文をつけるようになった」と指摘。今回の日の丸・君が代訴訟の判決も、そうした流れの延長にあると位置付けています。かなり長文の解説記事なのですが、分かりやすい内容で、参考になりました。
 印象に残るのは、最後に橋下徹大阪市長大阪維新の会に触れたくだりです。引用して紹介します。

 ところで、「大阪維新の会」は、君が代を起立斉唱しない教員に対して、同一の職務命令違反を3回繰り返した場合、分限免職の対象とする「教育基本条例案」を府議会に提出している。今回の判決について、「維新の会」の橋下徹大阪市長松井一郎大阪府知事は、言い渡しの翌日、条例案の当該規定を見直し、処分前に指導研修の機会を設ける考えを示した(『朝日新聞』1月17日付夕刊)。免職は停職よりもずっと重いので、「処分の選択が重きに失するものとして社会通念上著しく妥当を欠き」違法とされる可能性が高いため、こうした対応になったものと思われる。
 最高裁判決を報ずる各紙一面の見出しは、「重い教員処分慎重に」(『朝日新聞』1月17日付)、「不起立で停職・減給違法――『都の処分重すぎる』」(『読売新聞』同)、「君が代訴訟『減給以上慎重に』」(『毎日新聞』同)というものだったが、政治面、社会面では一様に、大阪府の条例案への影響に言及していた。逆に言えば、「処分3回、即免職」という極端な条例案がなければ、最高裁がここまで処分の選択にまで細かく立ち入っただろうか。東京都の「10.23通達」の「戒告→減給×2→停職」という加重を懲戒権者の裁量権の範囲だと認めれば、大阪の条例案への法的歯止めにならないと考え、「減給以上」というよりゆるやかなところに「防波堤」を設けて、大阪の動きを牽制したと言えなくもない。いずれにせよ、この判決もまた、「最高裁が変わってきた」という流れのなかに位置づけられることは間違いないだろう。

 最高裁が橋下市長と維新の会を牽制しようとした、とのとらえ方には「なるほどなあ」と思いました。