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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

続・大飯再稼働と首相会見 ※追記あり

 関西電力大飯原発の再稼働問題をめぐって野田佳彦首相が8日に行った記者会見と、それを報じた新聞各紙に触れた前回のエントリーの続きです。
 ※参考過去エントリー
 「大飯再稼働を超える首相会見の意味〜社会の意思はどう代表されればいいのか」=2012年6月10日
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20120610/1339289716
 
 首相会見については、京都新聞神戸新聞も9日付朝刊で共同通信の配信記事をそれぞれ1面トップに掲載しました。共同の記事は、首相が16日に関係3閣僚との会合を開いて再稼働を正式決定する方向で調整していることを前面に据えており、主見出しも「大飯再稼働16日にも決定」(京都新聞)「大飯再稼働16日決定へ」(神戸新聞)となっています。
 両紙とも社説でも取り上げています。京都新聞は「強引な論理承服できぬ」との見出しで、強く首相を批判。京都府山田啓二知事と滋賀県嘉田由紀子知事が共同歩調を取って、再稼働に慎重な姿勢を取ってきていることもあるのでしょうか。首相の考える「地元」に京都と滋賀が含まれないことに異を唱える内容になっています。また、福井県に対して「政権から再稼働のお墨付きを得た形の福井県も判断が問われる。県内にさまざまな声があることは分かるが、県民の命が本当に守れるのか。ここは熟慮が必要だ」と厳しく問いかけていることも目を引きました。
 神戸新聞の社説は「首相の脱原発方針どこへ」との見出しで、京都新聞との比較では抑制的なトーンですが、「首相が国民にどう説明しようと『見切り発車』の印象は免れない」と批判しています。
 ※京都新聞9日付朝刊社説「首相再稼働決断  強引な論理承服できぬ」
  http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20120609_4.html
 ※神戸新聞9日付朝刊社説「再稼働表明 首相の脱原発方針どこへ」
  http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0005121798.shtml

 前回のエントリーでは、福井と関西以外の地域、とりわけ福島県の首長や住民の受け止め方は、福井と関西の双方の住民にとっていろいろな意味で参考になる情報だと書きました。京都新聞は社会面に福島の人たちの反応を伝える共同通信の配信記事を見出し3段(「福島県民は『論外』」「3・11から何も学んでいない」)で40行余り掲載しました。こうした記事は、どの新聞であるかを問わず増えてほしいと思います。機会が増えればそれだけ広く、多様なものの見方、考え方が社会に紹介されていくことになります。

【追記】2012年6月13日午前1時30分
 ▽毎日新聞が12日付朝刊の社説で野田首相の8日の記者会見を取り上げました。見出しからも分かるように、首相に批判的です。
 社説:大飯再稼働会見「『安全神話』への逆戻り」=2012年6月12日午前2時31分アップ
 http://mainichi.jp/opinion/news/20120612k0000m070095000c.html
 ▽福井県の地元紙、福井新聞は9日付朝刊(朝刊単独紙ですが)の社説で取り上げていました。福井県知事を支持する内容です。
 「大飯再稼働 首相会見 ぶれない原子力政策必要」【論説】
 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/35131.html