「反対」を表明している新聞は情報が多い〜特定秘密保護法案審議入りを伝える関西各紙の比較

 外交や安全保障、テロなどの情報を指定し、公務員が漏えいした場合の罰則を強化する内容の特定秘密保護法案が11月7日、衆院で審議入りしました。本会議で趣旨説明と各党の質疑が行われ「安倍晋三首相は秘密解除のルールについて『一定期間の後に一律に秘密指定を解除するのは困難』と述べ、期限を切った一律の公開に否定的な考えを表明。個々の秘密指定のあり方についても『行政機関以外のものが行うのは適当ではない』と述べ、第三者がチェックする仕組みの導入に消極的な姿勢を示した」(毎日新聞)などと伝えられています。
 わたしが身を置く大阪では、このニュースに対する8日付の朝刊各紙の扱いは大きく分かれました。引用した毎日新聞朝日新聞、関西の有力な地方紙である京都新聞神戸新聞の計4紙は1面トップで報じました。対して読売新聞、産経新聞日経新聞の3紙は1面に記事はなく、2面か3面でした。1面トップで扱った4紙は2面以降にも関連記事を豊富に掲載し、中でも朝日新聞は第1社会面に大きなスペースを割いて戦前の軍機保護法を取り上げています。一方、読売、産経、日経の3紙は本記以外には関連記事はほとんど見当たりません。このブログの前回の記事で紹介したように、朝日、毎日、京都、神戸の4紙はそれぞれ、これまでに社説でこの法案への反対を直接明言するか、別の表現ながら事実上の反対を表明しています。対して産経新聞は条件付きながら成立を求め、読売新聞は秘密保護の法整備の必要性は明言しつつこの法案には慎重審議を要求、日経も慎重審議を求めつつ、読売よりもさらに消極的であるように私は読み取りました。
 この日のこの7紙の比較の上でに限定してのことですが、法案に反対の姿勢を明確にしている新聞ほど法案審議に関連した情報量も多い、という傾向が明らかにみてとれました。この傾向は今後も続くのか、注視していこうと思います。
 備忘を兼ねて今回も、8日付朝刊各紙の主な記事の見出しを書き留めておきます。

※参考過去記事「地方紙は『反対』『慎重姿勢』が圧倒〜秘密保護法案国会提出に対する新聞各紙社説」=2013年11月3日
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20131103/1383434562


▽8日付の朝刊各紙の主な記事の見出し。全国紙は大阪本社発行の最終版紙面
朝日新聞
1面トップ「拉致・原発警備は特定秘密」「秘密保護法案審議入り」「首相ら答弁」
1面「社会に不安、廃案にすべきだ」=大野博人・論説主幹
2面「『知る権利』論戦入り口」「何が不当?見えず 報道・取材の自由」「『恣意入らぬ』首相強調 特定秘密の指定」「民主硬化 セット扱い難航 情報公開法改正」
4面「通常の取材『処罰対象ではない』」ワッペン・秘密保護法案 国会論戦7日(主なやりとり)
4面「具体性なき議論は混乱招く」(担当記者はこう見た)
社会面トップ「軍機保護法 戦前からの警鐘」「1941年、逮捕された兄 スパイの汚名着せられ」(軍機保護法とレーン・宮沢事件)
社会面「当時の国会も懸念したが」「国『危険な運用しない』 結局増えた摘発」
社会面「内部告発者を守れない」ワッペン・秘密保護法案 体験から問う:ヒューマン・ライツ・ウオッチ土井香苗・日本代表
社説「特定秘密保護法案 市民の自由をむしばむ」


毎日新聞
1面トップ「首相『一律開示は困難』」「秘密法案質疑 原則公開否定」/法案骨子
3面クローズアップ「疑念残る政府答弁」「拡大防ぐ手段不十分 秘密の範囲」「反映しても実害なし 民主案の扱い」「調査権の制約も懸念 国会提示条件」/主な論点を巡る与野党質問と政府答弁
3面「民主主義とのジレンマ」村田晃嗣同志社大学長/「公文書国民の共有財産」吉田裕・一橋大大学院教授
5面「衆院本会議 主なやりとり」
26面:特定秘密保護法案(抜粋)
社会面トップ「『情報隠し』に懸念」「市民運動家ら『国の思うまま』」/「大阪弁護士会も反対デモを計画」
社会面「与党内にも反対論」
社説「秘密保護法案を問う 審議入り 重ねて廃案を求める」


京都新聞
1面トップ「首相、会期内成立求める」「指定件数は公表へ」「秘密保護法案審議入り」/法案のポイント
3面・表層深層「『知る権利』攻防」「野党 懸念前面に抗戦」「政権 理念実現へ全力」
3面「特定秘密の範囲 焦点」「知る権利 指定範囲 情報提供」(主な論点)
5面「秘密指定『なし崩し』恐れ」「政府、40万件見通し」
5面・衆院本会議質疑の詳報
5面「情報アクセス 市民萎縮」ワッペン・問う 秘密保護法案−ここが論点①OurPlanet-TV代表・白石草さん
13面(文化)「『この国の言論は窒息』危惧も」「憲法の基本原理への反動」ノンフィクション作家沢地久枝さん
第3社会面「秘密保護法 廃案求める」「学者や市民団体『憲法ないがしろ』」


神戸新聞
1面トップ「首相『知る権利十分尊重』」「秘密保護法案が審議入り」/法案のポイント
2面「秘密保護 米の意向強く」「邦人人質事件を機に加速」「安易な拡大解釈を懸念」「取材活動制約の可能性」
4面「機密『独占』政権まい進」「野党抵抗 担当相狙い撃ち」「大安は足並みそろわず」
5面「特定秘密保護法案は本当に必要か」識者インタビュー/「行政の暴走止められない」「『情報は国民のもの』原則守れ」江藤洋一・日弁連秘密保全法制対策本部長代行/「『報道の自由』守られない」「『どうでもいい』が政府の本音」大石泰彦・青山学院大教授
5面「『拉致対応』も特定秘密指定の対象に」「自民が党ホームページに具体例」
5面・衆院本会議での質疑


【読売新聞】
2面「特定秘密 官房と4省庁」「法案審議入り 政府、対象限定の方針」
社説「秘密保護法案 後世の検証が可能な仕組みに 国民の懸念払拭へ審議を尽くせ」
※1面トップは「集団自衛権見直し先送り」「政府、来夏に 公明・法制局が慎重」


産経新聞
3面「首相『知る権利 バランス考慮』」「秘密保護法案 衆院審議入り NSC法案は通過」「『通常の取材 処罰対象外』」「今国会での成立焦点」
3面「自民『特定秘密』例示」(自民党ホームページ)
※1面トップは「外食メニューも法規制」「食品表示法 偽装相次ぎ検討」
※社説(主張)「NSC法案通過 超党派にこそ意義がある」


日経新聞
2面「『秘密』線引き なお見えず」「原発警備…対象/原発事故…対象外」「40万件、問われる妥当性」
※1面トップは「東電持ち株会社に」「16年度にも 初の発送電分離