「与党強行」か、「首相答弁」か、割れるニュース価値判断〜緊迫する秘密保護法案審議、4日付各紙

 特定秘密保護法案をめぐる参院の審議が緊迫しています。政府、与党は5日の国家安全保障特別委の質疑終了後に採決する方針で、採決強行も辞さず、5日中に本会議で採決し成立させることもありうると伝えられています。
※「秘密法案きょう参院委採決 成立強行へ本会議開催も」(47news=共同通信
 http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013120401001466.html

 大阪で手にする新聞各紙は、依然として法案に反対の朝日、毎日、京都、神戸各紙と、法案成立を支持する読売、産経両紙との間で、関連記事の掲載に差が目立つ状況が続いています。ただ、4日夕刊は少し違う状況で、全国紙5紙とも関連記事を1面に掲載しました。
 4日は午前中、参院特別委に安倍晋三首相が出席し、「特定秘密」指定などの妥当性をチェックする「保全監視委員会」と、秘密指定の基準を策定する「情報保全諮問会議」を政府内に設置する方針を表明しました。読売、産経両紙は、安倍首相のこの答弁の内容を見出しに取って、そろって4日夕刊の1面に大きく掲載しました。読売の見出しは「秘密保護『三重チェック』」「首相表明 次官級で第三者機関」、産経は1面トップで「政府内に次官級機関」「情報保全監視委/諮問会議」です。対して朝日、毎日両紙は「与党、採決へ審議強行」(朝日)、「秘密保護6日強行可決」(毎日)と政府、与党の「強行」が主見出しでした。ともに1面トップです。
 安倍首相と政府、与党は日を追うごとに強硬姿勢を強めているように感じます。国会内だけでなく、全国各地でも集会やデモで法案への危惧が示され、マスメディアの世論調査によっても、法案への不安が解消されたとは言えない中で、巨大与党があたかも有権者からあらゆる政治テーマに対して白紙委任を受けているかの如くに振る舞うこの状況は、歴史の一コマとしてまず報道が記録に刻み、後世に伝えていくべきものだと思います。このブログでは引き続き、新聞各紙が、同時代への発信とともに後世への歴史の第一章たるべく、どのようにこの大変な事態を報じるのか、書き留めていこうと思います。

※4日の新聞各紙の主な関連記事と見出し。全国紙は大阪本社発行の最終版
朝日新聞
▼4日付朝刊
1面トップ「参院委 あす採決強行も」「秘密保護法案 野党は反発」
1面「他国の間違い 学ぶべき」NYタイムズ東京支局長マーティン・ファクラーさん:ワッペン「異議あり 特定秘密保護法案」
2面「なんでもいいから秘密指定」図解:ワッペン「秘密保護法案 条文解説ここが問題」付則第3条・施行後5年を経過した日の翌日以降の行政機関
3面「参院委 全参考人が疑念」「拙速な採決 批判」表・参考人から相次いだ法案への懸念
3面「強行策の一手 失敗招く」担当記者はこう見た
4面「野党7党 抗議集会」「与党に慎重審議要求」/「基地報道の記者弾圧、可能」「チェックに第三者性欠落」国会論戦3日/「造反議員処分 みんな先送り 参院採決後に」
社会面「キャンパスにも影」「学生新聞作る若者ら懸念」「外交取材は?基地は…?」/「戦中の党勢 苦い経験」/「萎縮は社会の損失」フリージャーナリスト集団「アジアプレス」で共同代表を務める石丸次郎さん
社会面「映画界『反対』」「吉永小百合さん・宮崎駿監督ら269人が会」/著作者5団体が声明
社会面「『調査報道つぶし法』」「外国人特派員ら危惧」
社説「秘密保護法案 国会が崩す三権分立
▼4日夕刊
1面トップ「与党、採決へ審議強行」「秘密保護法案 公聴会、4党欠席」
社会面肩「黒塗り記事 出るかも…」「『虚構新聞』ネットで風刺」


毎日新聞
▼4日付朝刊
1面トップ「自公きょう公聴会強行」「秘密保護法案 駆け込み狙う」/「4野党欠席へ」
1面「104歳 戦争が見える」「『希望持ち死にたい』廃案訴え」「治安維持法下 2度の逮捕」※社会面へ続く
5面「造反の井出氏『迷惑かけた…役職は自重』」「みんな 処分先送り」
社会面トップ「暗い時代 再び足音」「特高の弾圧80年 うずく足の痛み」「104歳 西川さん」/とはもの「治安維持法」※1面からの続き
社会面「研究話せば 罪人か」地球物理学者 上田誠也さん(84):ワッペン「特定秘密保護法案に言いたい」/「自民担当者が『テロ』 反対グループに」
社会面「先人の悔悟胸に・芸術を 科学を守りたい」/「映画人も 高畑監督、小百合さんら」/「作家たちも 著作者5団体」/「学者の会も 反対2006人」
社説「秘密保護法案参院審議を問う 前知事の懸念 危機情報を共有できぬ」
▼4日夕刊
1面トップ「秘密保護6日強行可決」「自公確認 野党『数の横暴』」「内閣官房に監視委 首相」


【読売新聞】
▼4日付朝刊
4面(政治面)「『江田新党』にみんな警戒」「処分 参院採決後に」/「特定秘密保護法案 きょう地方公聴会
▼4日夕刊
1面準トップ「秘密保護『三重チェック』」「首相表明 次官級で第三者機関」/「自公幹事長ら6日採決方針」


産経新聞
▼4日付朝刊
5面(政治面)「与野党 駆け引き熾烈」「秘密保護法案きょう地方公聴会
▼4日夕刊
1面トップ「政府内に次官級機関」「情報保全監視委/諮問会議」「首相表明」「6日 参院本会議で採決 自公確認」


日経新聞
▼4日付朝刊
4面(政治面)「秘密保護 攻防大詰め」「地方公聴会 与党が押し切る」「野党、特区法案で抵抗」
▼4日夕刊
1面「政府内に監視委設置」「秘密保護法案で首相 次官級で構成」


京都新聞
▼4日付朝刊
1面「秘密法案 また強行も」「野党反発 与党、6日採決構え」
3面「こう見る 特定秘密保護法案」/「完全な『秘密国家』になる」元毎日新聞記者 西山太吉さん/「チェック機関の権限強く」元海上保安官 一色正春さん
5面「『テロと言われるくらい暴力的』」「デモ市民団体に自民担当者発言」
社会面「秘密法案『人権脅かす』」「“デモをテロと同一視、危険だ”」「学者、劇作家ら」/「『映画ファンは反対を』」「高畑勲監督や吉永小百合さん」
社説「石破氏テロ発言 危険な見解、看過できぬ」


神戸新聞
▼4日付朝刊
1面トップ「秘密法案 6日成立の構え」「与党 再び強行採決にらむ」
2面「巨大与党 成立へ引かず」「抗戦野党、街頭で支持訴え」
2面「欧米、強い権限で監視」「日本は議論置き去り」「『秘密』チェックの第三者機関」
4面「実質的な『9条』改正に」「奥平康弘 東大名誉教授に聞く」
4面・秘密保護法案参考人発言要旨
第2社会面「『真実求める意志失う』」「県内、抗議行動広がる」/「学者、NGO相次ぎ表明」/「自民担当者『テロ』発言」
第2社会面「映画愛する皆さん反対を」「高畑監督ら呼びかけ」