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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

毎日社説「与党議員は良心に照らし考えよ」神戸社説「全て白紙委任したわけではない」〜秘密保護法案、強行可決控えた5日付各紙 ※追記:東京新聞・「たちかぜ」訴訟遺族の危惧

 特定秘密保護法案は12月5日午後、多々問題を残したまま、参院国家安全保障特別委員会で自民、公明両党の賛成多数によって可決されました。そのまま5日中に本会議で採決強行との見通しも一時は伝えられましたが、この記事を書いている5日6日未明の時点の見通しでは、自民、公明が参院本会議での採決を強行するのは6日になるようです。
 国会での採決強行―同法成立を控えて緊迫しているためか、大阪で手にする新聞各紙の紙面(朝日、毎日、読売、産経、日経、京都新聞神戸新聞の7紙)も、4日付夕刊から5日朝刊にかけては、ここまで消極さが目についた読売新聞、産経新聞も含めて、関連の記事が目立ちました。5日付朝刊では各紙とも社説で取り上げています。毎日新聞は2本を掲載。うち1本目の「急ぐ自公、これで採決は許されず」では、自公の参院議員に対し、以下のように呼び掛けているのが目を引きました。

 本会議で採決にのぞむその他の与党議員にも言いたい。一連の拙速審議が妥当なのか改めて個々の良心に照らして考えてほしい。特に、自民党リベラル派には今一度党内論議を活性化してもらいたい。政権のけん制役を自任する公明党にも世論動向を踏まえた新たな対応を求める。

 もう一つ、共感を覚えたのは、神戸新聞の社説「異論に耳を貸さないのか」が4日の党首討論での安倍晋三首相の言動を以下のように論評している点です。

 違和感を覚えたのは、安倍首相が「私は『日本を取り戻す』と約束して政権を得た」と衆参両院選での自民党圧勝を振り返り、法案成立への決意を語った場面だ。
 有権者が安倍政権に期待したのは、デフレ脱却に向けた経済対策を実行し、成果を挙げることである。
 法案成立は首相の悲願ではあっても、国民は全てを白紙委任したわけではない。支持率の高さと数の力で押し通す手法はおごりでしかない。

 朝日、毎日、京都、神戸各紙が与党の強硬姿勢を批判する一方で、同法の成立を支持する立場の読売新聞は社説「『監視委』の実効性が問われる」を掲載。結びで「政府・与党は、法案が市民生活を脅かすかのような極論を払拭するためにも、法案内容について、丁寧かつ分かりやすく説明する努力を倍加させるべきだろう」と指摘しています。法案をめぐってさまざまに指摘されている幾多の危険を「市民生活を脅かすかのような極論」と捉えるのは、あまりに楽観に過ぎるように思えます。
 読売新聞とともにもう一紙、同法の成立を求めている産経新聞の社説(「主張」)は、秘密保護法案に触れてはいますが、党首討論が年に2回なのは少なすぎるとの論旨で他紙とは趣が異なっています。
 以下に各紙の社説の一部を引用します。

朝日新聞
「秘密保護法案 採決強行は許されない」

 「良識の府」はどこにいってしまったのか。このまま採決を強行するなら、この看板は返上してもらうしかない。
 自民、公明両党は、きょうの参院特別委員会で特定秘密保護法案を採決する構えだ。
 与党は採決の前提として、きのう安倍首相が出席した委員会審議を委員長の職権で決め、さいたま市での地方公聴会も強引に開いた。
 参院での審議時間は、まだ衆院の半分ほどだ。あまりに乱暴な運びというしかない。これでは「衆院カーボンコピー」にすらなっていない。


毎日新聞
「秘密保護法案 参院審議を問う 急ぐ自公 これで採決は許されず」

これで成熟した民主主義国家といえるのだろうか。
 国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案について、自民、公明両党が4日、会期末の6日に参院本会議で可決・成立させる方針を確認した、という。国民の知る権利や人権にかかわるこれほど重要な法案である。しかも、日々新たな問題点が指摘される中での審議打ち切りはとても容認できるものではない。
(中略)
 本会議で採決にのぞむその他の与党議員にも言いたい。一連の拙速審議が妥当なのか改めて個々の良心に照らして考えてほしい。特に、自民党リベラル派には今一度党内論議を活性化してもらいたい。政権のけん制役を自任する公明党にも世論動向を踏まえた新たな対応を求める。
 最後に安倍首相に目的を見失わないよう要望したい。この国会の本来の目的は、ようやく軌道に乗りかけたアベノミクスを補強するための経済立法ではなかったのか。このままでは、かえって国民の不安、懸念が増し、せっかくの経済政策の効果が減殺されることにならないか。むしろそちらを危惧する。

「秘密保護法案 参院審議を問う 第三者のチェック 唐突で泥縄的な新提案」

 特定秘密保護法案をめぐっては、官僚による恣意(しい)的な指定をどう防ぐのかが、ポイントの一つだ。
 4日の参院国家安全保障特別委員会で、安倍晋三首相は、新たな組織やポストの設置に言及した。
 有識者による情報保全諮問会議(仮称)と、省庁の事務次官級を中核とする保全監視委員会(同)を法施行前に設ける。また、政府内に公文書の廃棄を判断する独立公文書管理監のポストを作る。みんなの党との修正協議で持ち上がった「首相の第三者機関的観点からの関与」を具体的に担保する新提案とみられる。
 だが、委員会や党首討論での安倍首相の説明によると、特定秘密の指定が適切に実施されているのか個別具体的にチェックする組織ではない。採決日程を固めた上で、その直前に提案したのは、唐突で泥縄的だ。


▼読売新聞
「秘密保護法案 『監視委』の実効性が問われる」

 国民の「知る権利」を守るうえで、一定の前進と評価できよう。
 安倍首相が特定秘密保護法案の国会審議で、秘密指定の妥当性を検証する機関として、内閣官房に「保全監視委員会」を法施行前に設置する方針を表明した。
 秘密指定の運用基準の策定時に意見具申する有識者会議「情報保全諮問会議」や、秘密文書の廃棄の可否を判断する「独立公文書管理監」の新設と合わせて、「三重のチェック」を行うという。
 安全保障に関する機密保全と、報道の自由などを両立させるには秘密指定の対象が安易に広がることを防ぐ仕組みが欠かせない。保全監視委などには、各省庁による恣意(しい)的な秘密指定への「歯止め」の役割が期待される。
 肝心なのは、各組織やポストの実効性を確保することである。
(中略)
 秘密保護法案は、党首討論でも中心的なテーマとなった。
 安倍首相は、「現在は秘密の指定・解除の規則がない」と述べ、秘密保護法案によって、情報保全の基準やルールが明確化される意義を強調した。
(中略)
 政府・与党は、法案が市民生活を脅かすかのような極論を払拭するためにも、法案内容について、丁寧かつ分かりやすく説明する努力を倍加させるべきだろう。


産経新聞
党首討論 1年間でたった2回とは」

 会期末を控え、今国会では最初で最後となる党首討論が開かれた。前回の4月から半年以上も間があいており、「原則として毎週」という本来の開催ルールを考えれば、あまりにも少ない。
 討論では、民主党海江田万里代表が特定秘密保護法案のさらなる審議を主張し、審議は十分とする安倍晋三首相とすれ違い、議論は深まらなかった。
 党首討論の活性化は、国会改革の一環として課題に上っていたはずだが、どうなったのか。
 回数、時間を増やし、内容も充実させる見直し策をまとめ、新年から実施に移してほしい。
 政権を争う政党のトップ同士が、国のありようを正面から論じ合うのが党首討論の醍醐味(だいごみ)だ。年に2回程度、形ばかり開かれるような現状を、これ以上放置しておくことは許されない。


日経新聞
「秘密保護の新提案、議論尽くせ 」

 今国会初の与野党党首討論特定秘密保護法案にやりとりが集中した。安倍晋三首相は秘密の指定基準を論じる「情報保全諮問会議」設置などを約束したが、具体像はあいまいだった。新たな提案の是非を判断する時間が必要だ。
 「どこかの段階で(採決時期を)判断しなければいけない」。首相は情報保全のための法制は国家安全保障会議(日本版NSC)の運用に不可欠であり、秘密保護法案の成立を急ぎたいとの考えを繰り返し強調した。
 議論を尽くせば採決するのが原則だ。ただ、首相の新提案は党首討論に先立つ参院国家安全保障特別委員会で初めて聞いた話だ。
(中略)
 国会の会期末が6日に迫っているからといって、こうした懸念を払拭することなく、参院での採決に踏み切るべきではない。


京都新聞
「秘密法案の審議  与党のごり押し許せぬ」

 そこまでしてなぜ、特定秘密保護法案を今、成立させねばならないのか。民意と民主主義の基本ルールを無視し、参院での採決強行に突き進む与党の態度は異様と言うほかない。
 怒号の中、参院国家安全保障特別委員会は3日夜、委員長職権で審議日程を決め、さいたま市で翌日、地方公聴会を開くと決めた。
 強引な議事運営は目に余る。地方公聴会は多様な国民の意見を法案や政策に反映させる貴重な機会だ。それを突然、明日開催すると言われても、意見を表明する公述人は十分な準備をできまい。
 しかも与党は6日の本会議で可決させる構えだ。公聴会での意見を法案に反映させる気など、はなからない。野党が批判するように公聴会は「国民の声を聴いたというアリバイ作り」でしかない。
(中略)
 多くの国民はまだ複雑な法案の中身を十分理解できていない。憲法が保障する自由と人権を制限しうるからこそ、幅広い国民が中身を理解して是非を判断することが重要だ。それには周知を徹底し、問題点を洗い出す時間が要る。


神戸新聞
党首討論/異論に耳を貸さないのか」

 会期末が迫った臨時国会で、初の党首討論が行われた。
 丁寧な議論を求めると言いながら異論に耳を貸さない。特定秘密保護法案の会期内成立に脇目もふらず突き進む。そんな安倍晋三首相の強硬姿勢があらわになったといえる。
 法案に対する抗議の輪は、日増しに広がっている。国民の「知る権利」や「表現の自由」は侵されないか、恣意(しい)的な秘密指定を防ぐ仕組みは十分なのか。この日の討論を通じて、懸念はより一層深まったと言わざるを得ない。
(中略)
 違和感を覚えたのは、安倍首相が「私は『日本を取り戻す』と約束して政権を得た」と衆参両院選での自民党圧勝を振り返り、法案成立への決意を語った場面だ。
 有権者が安倍政権に期待したのは、デフレ脱却に向けた経済対策を実行し、成果を挙げることである。
 法案成立は首相の悲願ではあっても、国民は全てを白紙委任したわけではない。支持率の高さと数の力で押し通す手法はおごりでしかない。


 以下は12月5日の各紙朝夕刊の主な記事と見出しの記録です。全国紙5紙は大阪本社発行の最終版です。
 京都新聞が「こう見る 特定秘密保護法案」のインタビュー企画を掲載しており、この日は聖護院門主・宮城泰年さん「戦時の再来を思わせる」でした。かつて国家神道のもとで、危険思想のレッテルが張られた宗教が弾圧を受けた歴史を踏まえ「この法案は思想や表現の自由の領域まで踏み込もうとしている」と看破しています。決して極論ではありません。

朝日新聞
▼5日付朝刊
1面トップ「参院委きょう採決強行」「秘密保護法案 野党、抵抗の構え」写真2枚「あきらめない」永田町国会周辺の約6千人の「人間の輪」・大阪市の約800人参加のデモ
1面「民主主義への軽蔑だ」大野博人・論説主幹
1面「拉致被害 報道が頼み」拉致被害者家族 蓮池徹さん:ワッペン「異議あり 特定秘密保護法案」
2面「名ばかり第三者機関」「首相、新しいチェック組織言及」/「身内で後世 独立性疑問」/「唐突な提案 維・み反発」
2面「おごり自民にはびこる」担当記者はこう見た
2面「なぜ逮捕?裁判でも秘密」:ワッペン「秘密保護法案 条文解説ここが問題」10条1項1号ロ 行政機関の長が特定秘密を提供できる対象
3面「存在意義問われる公明」担当記者はこう見た
4面「公聴会 懸念解消できず」「参院 出席与党・共産のみ」
4面「自分の声さえ届けば、か」担当記者はこう見た
4面「6日まで 無理ある 民主・海江田氏」「どこかで終局判断する 安倍首相」党首討論4日/「『イケイケで強権的では機密守れない』亀井静香氏」
社会面トップ「国民の声 聞いたのか」「公聴会2回だけ」「『アリバイにもならないほど強引』」大阪、京都、愛媛/「『権力のおごりだ』埼玉の会場」写真・参院特別委の公聴会会場に向かって抗議する人々=さいたま市大宮区
社会面準トップ「重苦しく暗い国でいいのか」映画監督 山田洋次さん/「廃案求める意見書可決 高知・須崎市議会」/「写真家も反対」
▼5日夕刊
1面トップ「参院委 午後に強行可決」「秘密保護法案 与党、維・みと協議」「内閣府に監察機関案」表・法案に反対・懸念を表明した主な団体など
社会面トップ「過去に学べ」「『国民が検証できるべきだ』沖縄密約認めた吉野さん」「『秘密拡大取り締まり怖い』横浜事件の犠牲者遺族」


毎日新聞
▼5日付朝刊
1面トップ「首相『強行』譲らず」「きょう参院委採決」「党首討論、野党反発」写真・人間の鎖で国会を取り囲み反対の意思表示をする人たち
2面「独立性に課題」「特定秘密監視機関 『お手盛り』懸念」
5面「みんなの延長要求 与党幹部『党内事情だろう』」/「共産・大門氏『強引な開催に厳重抗議』」/「『PKO法案も反対あった』世論慎重でも首相強気」
5面「多くの国民が反対 海江田氏」「重層的チェックする 首相」党首討論(詳報)
12〜13面・法案全文
社会面トップ「不完全な姿あらわ」「混迷の国会審議」「首相が突然『新機関』/「知事はかやの外か」※国民保護法/「秘密会開催も疑問」
社会面「『公聴会も秘密か』」「さいたま 市民入れず、響く怒号」写真・公聴会場前で法案への反対を訴える人たち=さいたま市大宮区
第2社会面「国民のためにならぬ」「『60年後』は無責任」武村・元官房長官訴え
第2社会面「知らず知らず戦争に」フリーアナウンサー大沢悠里さん:ワッペン「特定秘密保護法案に言いたい」
▼5日夕刊
1面トップ「与党 今夕強行採決」「参院委 新監視機関を提示」
1面「俺は何をしたんや!」「おばちゃん党が法案風刺動画」
7面(総合面)「野党2委員長解任」「参院 与党がポスト奪う」/「秘密保護穂運の慎重審議を要求 沖縄県議会決議」
社会面トップ「司法の役割 阻害の恐れ」「元最高裁判事『官僚は吟味せず文書隠す』」/「全52弁護士会が廃案など求める」


【読売新聞】
▼5日付朝刊
1面準トップ「参院委きょう採決」「今国会で成立見通し 秘密保護法案」図解・特定秘密保護法の運用をチェックする仕組み
2面「秘密法案 野党が遅延戦術」「与党、会期延長も検討」
4面「秘密法案へ三者三様」「維新『反対はヒステリー。頑張って』※石原慎太郎氏」「みんな『石破氏が大失言』」「民主『欠格法案だ』」
10面「首相 NSCに秘密法案必要」「海江田代表 国会でじっくり議論」党首討論の詳報
▼5日夕刊
1面準トップ「秘密保護法案 国会緊迫」「参院委、午後にも採決」
3面「第三者機関 内閣府に」「与党提案 維新に配慮」/4党実務者の確認事項


産経新聞
▼5日付朝刊
5面(政治面)「首相、今国会譲らず」「みんな、強行なら反対示唆」
5面「割れる野党 民主漂う孤立感」「強気与党 遅延封じへ“荒業”」
5面「特定秘密 メディアの二重基準」阿比留瑠比の極限御免
▼5日夕刊
1面トップ「秘密保護法案 攻防大詰め」「自公、午後にも参院委採決」
1面「参院、民主2委員長解任」


日経新聞
▼5日付朝刊
1面「自公、きょう採決へ」「秘密保護法案 参院委で」
2面「身内の点検 客観性疑問」「『情報隠し』野党反発」「特定秘密監視 政府に3機関」
4面「終盤国会、未明の攻防」「与党、2委員長解任へ」「野党、審議引き延ばし」/「維新・みんな、民主と差」「党首討論 石原氏、首相にエール」
▼5日夕刊
1面「参院委で午後可決」「秘密保護法案 会期末控え緊迫」
2面「民主2委員長を解任」「参院、後任に自民・山東氏ら」/「3年ぶり徹夜国会」「議事終了は朝4時直前」


京都新聞
▼4日夕刊
1面トップ「監視委、設置は政府内」「首相表明 次官級 中核に」「客観性 担保せず」
1面「自公6日成立確認」「参院、あす特別委採決」
▼5日付朝刊
1面肩「きょう参院委採決」「与党方針 本会議開催も」
1面「京滋でも反対根強く」「100人アンケート過半数
3面・表層深層「強気の首相、焦りも」「強まる反発 読み甘く」「世論追い風 民主抗戦」「特定秘密法案 党首対決」
3面「テロ 拡大解釈の恐れ」「石破氏発言、『規定』に注目」
3面「戦時の再来を思わせる」聖護院門主・宮城泰年さん:ワッペン「こう見る 特定秘密保護法案」
5面「『数の力』背景に着々 特定秘密法案」(動く・京滋の議員)
5面「海江田氏 情報隠しの法案だ」「首相 重層的にチェック」党首討論詳報/論戦のポイント・参院特別委4日
6面・地方公聴会の意見要旨
社会面トップ「『何でも秘密』募る不安」「強行採決抗議多く『もっと内容説明を』」「京滋100人アンケート」/「市民入れず公聴会終了 さいたま市
社会面「『窒息国家生まれる』京都市内で1000人デモ」写真


神戸新聞
▼4日夕刊
1面トップ「秘密法案あす採決確認」「自公 会期1日延長視野」
1面「政府内に保全監視委」
▼5日付朝刊
1面トップ「与党きょう参院委採決」「本会議で即日成立も」/「第三者機関、実質見送り」
2面「党首討論 互いに強気」「首相『しっかり議論された』」「海江田氏『多くの国民反対』」/「地方公聴会 野党出席 共産のみ」
5面「『官僚政治』強める恐れ」「元経企庁長官・田中秀征氏が警鐘」
5面・党首討論の詳報/地方公聴会の意見要旨/参院特別委・論戦のポイント
社会面トップ「怒りの声 渦巻く」/「意見ができず息苦しい世に」版画家岩田健三郎さん/「強硬なやり方理解できない」鶴林寺長老、幹栄盛さん/「『自らを監視』権力者の論理」作家、鈴木創士さん/「憲法9条改正前段階のよう」神戸学院大大学院教授上脇博之さん
第2社会面「“人間の鎖”国会囲む」「6000人がシュプレヒコール」/「『公聴会は見せかけだ』」「さいたま 市民、傍聴できず憤り」/「川西市議会が慎重審議要望 意見書可決」


※追記 2013年12月6日7時20分
 東京に住んでいたころには東京新聞を購読していました。同紙の5日夕刊に、良記事が掲載されたようです。ネットで読めますので紹介します。護衛艦「たちかぜ」訴訟は、自衛官の働き方の観点からわたしもわたしなりに注目していた事例でした。特定秘密保護法が施行されれば、護衛艦乗組員というだけで関係資料は秘密扱いの恐れはぬぐえませんし、何より秘密に指定されているかが分からず、自衛官が萎縮して告発も期待できなくなるだろうことは容易に想像できます。石井記者の記事は、その危険を具体的に指摘しています。
東京新聞「『内部告発もなくなる』 資料隠ぺい 3等海佐の告白で判明」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013120502000254.html

(一部引用)
 九年前に海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」でのいじめを苦に自殺した一等海士=当時(21)=の母親(59)の手元には、一冊の分厚いファイルがある。自殺をめぐる海自のアンケートだ。海自は当初存在を否定していたが、内部告発がきっかけで明るみに。特定秘密保護法案の審議が国会で進むが、母親は「法が成立すれば内部告発もなくなるのでは」と危機感を募らせる。 (石井紀代美)
 「自衛隊は何も信じられない」。母親は宇都宮市の自宅で、静かに語り始めた。
 二〇〇四年に長男の一等海士が、東京都内の駅で電車に飛び込み自ら命を絶った。遺書には、暴行や恐喝を働いた先輩隊員の名前が記され「紙クズ以下だ」と書かれていた。
 にもかかわらず、海自の調査結果は「借金を苦にした自殺」。納得できない母親は、長男の同僚に話を聞き、海自が実態を把握するため、乗組員にアンケートを行っていたことを知った。
 自殺の翌年、国にアンケートの情報公開を請求したが、回答は「破棄した」。虚偽と判明するまでに、長い月日を要した。