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秘密保護法は成立したが、これで終わりではない〜6日付各紙の記録

 特定秘密保護法案は12月6日夜、参院本会議で与党が採決を強行しました。自民、公明両党の賛成多数で可決。特定秘密保護法が成立しました。

特定秘密保護法が成立 与党、採決強行」(47news=共同通信
 http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013120601002724.html

 機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法は6日深夜の参院本会議で採決され、自民、公明両党の賛成多数で成立した。野党は「審議打ち切りは民主主義の破壊」と反発したが、与党が採決に踏み切った。安倍政権は、官僚機構の情報隠しや国民の「知る権利」侵害への懸念を残したまま、成立を強行。賛成130票、反対82票。
 法律は(1)防衛(2)外交(3)スパイ行為など特定有害活動防止(4)テロ活動防止―に関する事項のうち、漏えいすると国の安全保障に著しく支障を与える情報を閣僚ら行政機関の長が「特定秘密」に指定する内容。

 当初から指摘されていた問題は何一つまともに改善されないままです。個人的にもとても残念ですが、これで終わりではなく、むしろ新しいステージの始まりだと考えています。安倍晋三首相の目標は憲法改正。その前に、集団的自衛権行使の容認などが次々にやってくるでしょう。まずは今自分自身の中に持っている熱を保っていたいと思います。
 この間、わたしの立場でできることとして、関西の新聞各紙の紙面を記録したり、各地の地方紙の社説をネットで検索したりしてきて、まとめ記事をこのブログにアップしてきました。多くの新聞が法案の廃案を主張したり慎重審議を求めたりする中で、全国紙で読売新聞と産経新聞は安倍政権と与党に理解を示し、条件付きながらも早期の可決・成立を支持してきました。このことには少なくない意味があったと考えています。安倍首相が敬愛してやまない祖父、岸信介氏も首相時代、国会や首相官邸をデモ隊に取り囲まれる体験をしています。言うまでもない60年安保闘争で、岸氏は「私には声なき声が聞こえる」という“名言”を残しています。その祖父に比べれば安倍晋三氏は、支持を表明してくれる新聞があったのですから心強かったのではないかと思います。この間の新聞各紙の報道ぶりに対しての考えを整理して、いずれこのブログで書いてみたいと思います。

 以下は12月6日付の各紙の主な記事と見出しの記録です。全国紙5紙(朝日、毎日、読売、産経、日経)は大阪本社発行の最終版です。
 

朝日新聞
▼6日付朝刊
1面トップ「秘密保護法案 強行可決」「自公、参院委員会でも」「本会議採決 維・み棄権へ」
1面「被害受けるのは子ども」教育研究者・大田尭さん:ワッペン「異議あり 特定秘密保護法案」
2面「暴走 1強国会」「首相不在、雑な審議」/「維新・みんなも戸惑い」/「見えぬ第三者機関」表・反対、懸念を表明した主な団体など、表・安倍政権、強行の軌跡
2面「幻に終わった『王道』政治」担当記者はこう見た
3面「規制の鎖 あなたにも」ワッペン「条文解説ここが問題」/「懲役10年 民間人でも厳罰」特定秘密を漏らした民間人や公務員への罰則、23条1項/「適正評価で病歴まで探る」行政機関の長による適正評価の実施、12条4項
4面「公約に法案の文字なし」「修正合意4党 今夏の参院選」「有権者に争点示さず」
4面「石破氏 デモとテロ同一視 白氏」「一般のデモ活動該当せず 森氏」国会論戦5日/「『拉致隠蔽なら保護法逆効果』失踪者調査会の荒木氏」表・第三者機関に関する4党合意(要旨)
8面(経済面)「『非公開60年』懸念の声も」「経済界、法整備には理解」
社会面見開き見出し・1社「数の横暴 許せぬ」「強行採決 民主主義の姿か」2社「声上げ続ける」「私たちの責任 次世代まで」
1社「国会前は抗議一色」「怒りの渦 各地で」写真2枚:夜になっても法案に抗議する人が増えていった永田町、京都市中京区のデモ
1社「あきらめず闘う」評論家・佐高信さん/「もの言う人育む」東本願寺宗務総長・里雄康意さん
2社「不安 戦時中の記憶」「不信 情報隠すのか」顔写真6枚:被爆者や原発と向き合う人たち、消費者団体、医師、ものづくりの中小企業
社説「特定秘密保護法案 民主主義に禍根を残すな」「1強のおごり極まる/行政府に突出した力/知る権利を取り戻せ」
▼6日夕刊
1面トップ「与党、会期2日延長へ」「秘密保護法案 今国会成立を確認」「森氏の不信任案提出 民主」
1面「『保存期間中に廃棄も』」「特定秘密 政府が答弁書
11面「『中身を見られる制度に』」「秘密法案 担当相、保全監察室巡り」
社会面トップ「『早すぎ』数字くっきり」/「委員会審議67時間 過去の法案に及ばず」/「反対意見77% パブコメ反映 不透明」/「衆院2・43倍 参院4・77倍 一票の格差は放置」表・法案をめぐる主な動き(時系列)
社会面「街で国会で『声を聴け』」/「数で押し切るな」小林良彰・慶応大教授(政治学



毎日新聞
▼6日付朝刊
1面トップ「秘密保護法 きょう成立」「参院委も強行採決」「観察室設置で合意」/「野党 解任決議案提出」
2面「数の力 首相強気」「避けたい来春審議」
2面「審議時間、十分でしょ/おかしいですね、前のめりで」12・5ドキュメント
3面・クローズアップ「チェック機関乱造」/「権限・機能あいまい」「民間人処罰、秘密有効期間など 問題点解消されず」/「秘密保護法 きょう成立」
5面「首相周辺…維新が賛成しなければ『合意全部ほごと脅せ』」「自民・城内氏『国連人権弁務官に謝罪させよ』」「秘密保護法 きょう成立」/「衆院賛成 参院は退席」「みんな、分裂回避へ苦慮」
社会面見開き見出し・1社「この声 応えぬまま」2社「議論 尽くさぬまま」
1社「与党 怒号の中強行」「参院特別委 質問時間残し」
1社「『恥を知れ』国会前騒然」/「各地で抗議行動」/「性急さに不信 市民ら」
2社「スクープ報道 危機に」ジャーナリスト原寿雄さん(88)/各団体が反対声明
1社〜2社:ワッペン「特定秘密保護法案に言いたい」11人/半藤一利さん、香山リカさん、浅田次郎さん、菅原文太さん、宮崎駿さん、佐和隆光さん、高村薫さん、玄月さん、西川のりおさん、高畑勲さん
社説「秘密保護法案参院審議を問う 強行可決 議会政治を壊す暴挙だ」
  「秘密保護法案参院審議を問う 反対の声を無視 民主主義と人権の危機」
▼6日夕刊
1面トップ「自公 会期を2日延長」「秘密保護法案 成立強行へ攻防」
社会面トップ「『不適正』評価で解雇も」「公務員と契約業者 保護規定消える」/「適正評価」とはもの


【読売新聞】
▼6日付朝刊
1面トップ「秘密保護法案 参院委可決」「野党抵抗 本会議採決持ち越し」「数日間の延長も」
2面「第三者『監察室』設置」「内閣府に 秘密指定の運用検証」
3面スキャナー「『秘密』会期末の攻防」「参院自民が延長論」「『強引』批判 回避狙う」/「重要法案 着々成立」「NSC、産業強化…」表・特定秘密保護法案に対する民主党日本維新の会みんなの党のスタンス、表・今国会の重要法案の成否
4面「参院委 大荒れ」/「審議遅らせ時間稼ぎだ」「いいかげんなことするな」ドキュメント
4面「民主主義 誰が『破壊』?」「多数決の否定はおかしい」松永宏朗・政治部次長
第2社会面「大声飛び交う中 採決」「国会周辺では市民らデモ」「秘密保護法案 参院委可決」写真なし
▼6日夕刊
1面トップ「国会会期2日延長へ」「秘密保護 今夜にも採決」
3面・ドキュメント


産経新聞
▼6日向け朝刊
1面トップ「秘密保護法 成立へ」「本会議採決きょう以降に」「与党、会期1〜3日延長方針」表・特定秘密保護法案のポイント
1面「NSCに不可欠/米英と情報共有拡大」
3面「第三者機関『公正』に配慮」「残る不安 払拭急務」図解・特定秘密のチェック機能、写真・国会前に集まった法案に反対の人たち
3面「情報漏洩の抑止力になる」初代内閣安全保障室長・佐々淳行氏/「官僚が情報独占する恐れ」元外務省主任分析官
5面「国会対決ドタバタ終始」「自民『場外』にらぬ」/「野党『お家事情』優先」
5面特定秘密保護法案 要旨
社会面「『辞めろ』響く怒号」「参院委、混乱の採決」
社説(「主張」)「秘密保護法 残念な会期末攻防の混乱」
▼6日夕刊
1面準トップ「秘密保護法『きょう成立』」「与党、会期延長も確認」


日経新聞
▼6日付朝刊
1面「秘密保護法案 参院委で可決」
3面「維新・みんな棄権」「野党の賛同得られず」
4面「20人規模で『監察室』」「チェック機関巡り官房長官
社会面「『反対の声にも耳を』」「強行採決に抗議デモ」
▼6日夕刊
1面準トップ「秘密保護法 今夜にも成立」「自公、会期2日延長で一致」


京都新聞
▼5日夕刊
1面トップ「秘密法案 今夜成立視野」「与党、採決強行構え」
1面「野党委員長 初の解任」
社会面「『強行採決許さぬ』」「市民集まり国会緊迫」
▼6日付朝刊
1面トップ「秘密法案 参院委可決」「会期末迫り強行策」「きょう本会議採決か」/「新たな監察機関 内閣府に設置へ 官房長官表明」
総合面見開き見出し・2面「審議尽くさぬまま」3面「開き直り 採決強行」
2面「監視機関 急造否めず」図解・政府が示した秘密指定チェックの仕組み
2面「揺らいだ政府答弁」「制度設計の不備露呈」
3面・表層深層「土壇場攻防ピーク」「『チキンレースだ』」
4〜5面・法案全文
4面「半永久的 秘密指定も」「独立性確保 監視機関も見送り」法案の問題点、表
4面「国会統制なく憲法上疑義」高見勝利上智大教授(憲法)/「暴力を受けているようだ」作家の北原みのりさん
5面「『知る権利メルトダウン』」作家の落合恵子さん
5面「元官僚『過剰な秘密指定助長』」「自らの経験から批判的な目」
7面「怒りで体が震える」「良識の府 自殺行為」「強行に野党猛反発」/「議論尽くした 与党」/論戦の焦点 5日・参院特別委
社会面見開き見出し・1社「暴走与党 声を聞け」2社「廃案要求 諦めない」
1社「京の識者ら 広がる怒り 批判」/「戦前にそっくり」作家・瀬戸内寂聴さん/「公開がプラスに」京産大教授・益川敏英さん/「必ずしっぺ返し」立命大特別招聘教授・上野千鶴子さん/「選挙勝利おごり」安斎科学・平和事務所、安斎育郎さん/「憲法と相いれず」京大原子力実験所助教小出裕章さん
1社「京滋市民も抗議」/「『人権侵害許せない』」「大津 弁護士ら街頭で訴え」/「『未来のため阻止しよう』」「京で集会やデモ」
2社「『自由守れ』市民叫び 国会周辺」
社説「秘密保護法案 民主主義壊す道を進むのか」「国会に危機感足りぬ/担保できぬ知る権利/自由を窒息させる」


神戸新聞
▼5日夕刊
1面トップ「秘密法案 今夜成立も」「与党 採決強行の構え」「新『第三者機関』を調整」
社会面トップ「熟議の参院 与党暴走」「野党委員長ポストを“強奪”」
社会面「会期末、本会議大荒れ」「徹夜国会 午前4時前、お開き」
社会面「市民ら『採決なぜ急ぐ』」/尼崎市長が反対を表明
▼6日付朝刊
1面トップ「秘密法案きょう強行成立」「与党、参院委で可決」「本会議 野党、問責で抵抗」表・法案のポイント
1面「新たな監察機関提示 政府」
2面「土壇場 攻防持ち越し」「野党 引き延ばし戦術」「本会議採決 維新、みんな退席へ」
2面「監視体制 急ごしらえ」「監察室/文書管理監/諮問会議」図解・政府が示した秘密指定チェックの仕組み
2面「『怒りで震える』海江田氏」「『議論尽くした』石破氏」
4面「政府の隠蔽体質さらに進む」「思想の自由に介入、拡大解釈を危惧」作家・落合恵子さん/「必要だが問題点多い」川上高司・拓殖大教授(安全保障論)
4面「『知る権利』空洞化」「半永久的な指定可能」「第三者機関 実効性は未知数」表・法案をめぐる問題点/「政府答弁は二転三転」「制度設計の不備あらわ」/「『既存の体制で十分』」「米国との情報共有は詭弁」「元官僚も批判の声」
4面・参院特別委論戦のポイント
5面・法案全文
社会面見開き見出し・1社「『民意無視 数の横暴』」2社「審議置き去り『汚点』」
1社「憤り国会取り巻く」「市民続々、緊迫度増す」/「非核神戸方式“骨抜き”に 市民グループが懸念」
1社「廃案訴え姫路でデモ」「『戦前に戻す悪法』」写真・姫路の商店街デモ
2社「委員長席 詰め寄る野党」/「アイヌ民族も反対、抗議声明」
2社「統制なく憲法上疑義」高見勝利上智大教授(憲法)/「暴力を受けているよう」作家の北原みのりさん
社説「秘密法案採決 審議は尽くされていない」