ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

閉館する交通科学博物館の展示「戦争と鉄道」

 わたしが大阪を去るのと前後して、大阪の交通科学博物館が4月6日、閉館します。大阪市のJR大阪環状線、弁天町に隣接。「交通科学館」として1962年に開業し、鉄道に特化せず車や航空機まで広く交通をテーマにしていました。何より実物の鉄道車両の保存が充実していました。収蔵物は京都・梅小路蒸気機関車館と一体で2016年春にオープンする「京都鉄道博物館」に引き継がれるとのことです。
※交通科学博物館トップ http://www.mtm.or.jp/
 ことし1月、訪ねてみました。初めて来たのは、北九州市に住んでいた小学校の5年生か6年生のころ。大阪に住む親戚の元を訪ねた折でした。3年前に大阪に転居して間もなく再訪しています。3度目となる今回、館内に「戦争と鉄道」のコーナーがあるのに気付きました。第2次大戦中のものらしいポスターには、鉄兜姿で小銃を手にした兵士が口に手を当て何事か叫んでいる様子が描かれています。「飛行機も軍艦も弾丸も石炭からだ!」「たのむぞ石炭」の文字。発行元は「軍需省」と「石炭統制会」。列車内で乗客に回覧されたというプリントもありました。「一機でも一発でも、これを一刻も速く前線に送りつけること―これが今日ほど急を告げているときはありません」との書き出し。軍事物資の輸送を最優先とするために、旅行の自粛を呼びかけています。「旅行申請書」「旅行証明書」の用紙も並んでいました。

 蒸気機関車などの実物車両の展示に目を奪われて、うっかりすれば見過ごすところでした。そう、近代国家日本は戦争をする国でした。鉄道は国力の象徴であり、戦争遂行に重要な役割を担っていました。そのことを思い出させる貴重な展示でした。ぜひ、京都でも展示を引き継いでほしいと思います。


 先週、大阪から東京に無事引っ越ししました。3年余の大阪在勤中、お世話になりながらきちんとしたあいさつもできないままだった方も少なくありません。この場を借りて、あらためておわびとお礼を申し上げます。このブログも引き続き、コツコツと続けていこうと思います。よろしくお願いいたします。


※追記=2014年4月9日10時
 交通科学博物館は6日、予定通りに閉館しました。来館者は延べ1800万人以上とのことです。
 「大阪の交通科学博物館、歴史に幕 『52年間ありがとう』」(47news=共同通信)
 http://www.47news.jp/CN/201404/CN2014040601001150.html