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集団的自衛権の行使容認、評価せずが多数〜閣議決定後の世論調査

 集団的自衛権の行使容認へ憲法解釈を変更した7月1日の安倍晋三内閣の閣議決定後に行われた共同通信、読売新聞、朝日新聞世論調査の結果が報じられています。各調査それぞれに設問のたてかた、設問の文言も異なるのですが、それでも大きな共通点として、内閣支持率過半数を割り、集団的自衛権の行使容認を決めたことに対しても、評価しないとの趣旨の回答が半数以上を占めています。
 備忘を兼ねて記録しておきます。

内閣支持率
共同通信(7月1〜2日実施)支持47・8% 不支持40・6%
※前回(6月21〜22日)から支持は4・3ポイント下がり、不支持は7・6ポイント上昇
▽読売新聞(7月2〜3日実施)支持48%   不支持40%
※前回(5月30日〜6月1日)から支持は9ポイント下がり、不支持は9ポイント上昇
朝日新聞(7月4〜5日実施)支持44%   不支持33%
※前回(6月21〜22日)から支持は1ポイント上昇、不支持は変わらず

集団的自衛権の行使容認】
共同通信:「賛成」34・6%、「反対」54・4%
※質問:日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、日本が攻撃されたとみなして一緒に反撃する「集団的自衛権」について、政府はこれまで「憲法解釈上、行使できない」としてきましたが、安倍内閣憲法解釈を変更して行使を容認する閣議決定をしました。あなたは、この行使容認に賛成ですか、反対ですか。
▽読売新聞:「評価する」36%、「評価しない」51%
※質問:日本と密接な関係にある国が攻撃を受けたとき、日本への攻撃とみなして反撃する権利、「集団的自衛権」についてお聞きします。政府は、憲法解釈を見直して、国民の権利が根底からくつがえされる明白な危険がある場合に、集団的自衛権を必要最小限の範囲で使うことができると決めました。集団的自衛権を限定的に使えるようになったことを、評価しますか、評価しませんか。
朝日新聞:「よかった」30%、「よくなかった」50%
※質問:集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきましたが、安倍政権は集団的自衛権を使えるようにしました。集団的自衛権を使えるようにしたことはよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。


 ちなみに読売新聞は集団的自衛権については、前回(5月30日〜6月1日)と前々回(5月9日〜11日)の調査では回答の選択肢を「全面的に使えるようにすべきだ」「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」「使えるようにする必要はない」の三つ用意していました。結果は前回がそれぞれ11%、60%、24%、前々回は8%、63%、25%でした。前々回の調査結果を伝える当時の記事では前二者を合計して「行使容認71%」と位置付けていました。今回は「集団的自衛権を限定的に使えるようになったことを、評価しますか、評価しませんか」と尋ねた結果、「評価しない」が51%でした。

 今回の調査結果に対して共同通信の記事は簡潔に「安倍晋三首相が踏み切った行使容認に国民が納得していない実態が浮かんだ」と指摘しています。
※47news=共同通信内閣支持率47%に下落 集団的自衛権反対54%」
 http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014070201001999.html

 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を受け、共同通信社が1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は47・8%で、前回6月から4・3ポイント下落した。不支持率は40・6%と第2次安倍政権としては初の40%台に上昇し、支持率との差は7・2ポイントにまで接近した。行使容認への反対は54・4%で半数を超え、賛成は34・6%だった。安倍晋三首相が踏み切った行使容認に国民が納得していない実態が浮かんだ。
 支持率50%割れは、特定秘密保護法成立直後の昨年12月調査以来。6月調査の不支持率は33・0%だった。

【写真説明】共同通信世論調査結果を伝える7月3日付の琉球新報