琉球新報「闇から闇に葬るつもりか」〜備忘・沖縄密約訴訟の最高裁判決

 1972年の沖縄返還をめぐる日米間の密約文書の開示を元毎日新聞記者の西山太吉さんらが求めた訴訟で最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)が7月14日、判決を言い渡しました。一審の開示命令を取り消した二審東京高裁判決を支持する内容で、西山さんらの敗訴が確定です。その中で第2小法廷は、行政機関が「存在しない」としている文書の開示を求めるには、開示を求める側がその存在を証明しなければならないとする判断を示しました。あまりにも行政機関=公権力に寄った判断です。

※47news=共同通信「沖縄『密約文書』不開示が確定 西山元記者らの上告棄却」2014年7月14日
http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014071401001593.html

 1972年の沖縄返還をめぐる日米間の密約文書の開示を元毎日新聞記者西山太吉さん(82)らが求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は14日、一審の開示命令を取り消した二審東京高裁判決を支持し、原告側の上告を棄却した。西山さんらの敗訴が確定した。
 最高裁は、密約文書が破棄された可能性を認めた二審の判断を維持した上で、行政機関が「存在しない」とする文書は、開示を請求する側がその存在を証明しない限り公にできない、との初判断を示した。
 文書公開を求める市民の側に重い立証責任を課し、情報を管理する行政側の裁量を広く認める判断。

【写真説明】最高裁判決を1面トップで報じた15日付の琉球新報紙面

 判決を耳にしてすぐに思ったのは、特定秘密保護法との関連です。同法をめぐって指摘され続けていることの一つは、何が特定秘密か、それ自体が秘密にされる恐れです。公文書の開示を求めようとすれば、その存在をまず立証しなければならないとする今回の最高裁の判断は、国家による秘密の壁を一層厚くする方向にしか作用しなくなるのではないかとの危惧を覚えます。
 すでに多くの新聞が社説などでこの最高裁の判断を批判しています。ここでは、密約の舞台となった沖縄の沖縄タイムス琉球新報の社説の一部を引用して書き留めておきます。

沖縄タイムス社説「[密約『不開示』確定]文書破棄を認めるのか」2014年7月15日
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=76614

 一、二審では「開示請求する側が過去の文書作成を証明した場合は、行政側が廃棄を立証しない限り、文書は保管されていたと考えられる」としていた。最高裁の判断は、行政が文書を破棄することを容認したものである。
 都合の悪い情報を伏せる政府の不当性を追及し、責任の所在を明らかにするのが、筋ではないか。公開を求める市民の側に重い立証責任を課すことは本末転倒と言わざるを得ない。
(中略)
 そもそもこれらの密約文書は、琉球大学我部政明教授が米国立公文書館で発見し存在が証明されている。加えて密約を認めた吉野文六元外務省アメリカ局長が法廷で証言もしている。
 一審では、これらの事実を基に国が1969〜71年に文書を作成し保有していたと認定し「探したが見つからなかった」とする国側主張に対し、調査の不十分さを指摘。「国民の知る権利をないがしろにする対応は不誠実」とし、保有が失われた事実は認められないと結論づけていた。正論である。
 一、二審ともに密約文書が「第一級の歴史的価値を有する極めて重要なもの」との認識を示している。公文書管理法は「公文書が健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とうたっている。
 これに逆行するのが年内にも施行される特定秘密保護法である。「外交上、不利益を及ぼす恐れがある機密」などとされ、秘密指定されれば半永久的に公開されない可能性もある。
 最高裁が無責任きわまる理屈で、外交文書を闇に葬るつもりなら、歴史に対する冒涜(ぼうとく)である。

琉球新報社説「密約文書不開示 闇から闇に葬るつもりか」2014年7月16日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-228605-storytopic-11.html

 判決は、密約文書の存在を立証する責任を、機密文書に自由に接することができない原告側に負わせた。全く理解できない。本来なら文書の存在を容易に確認できる国側が明らかにすべきだ。国にとって都合の悪い文書を闇から闇に葬ることに司法が手を貸したに等しい。
(中略)
 今回の訴訟で情報公開請求の対象となったような外交文書は、年内にも施行予定の特定秘密保護法で秘密指定されるとみられる。この法律は組織的な情報隠しを禁じる条項がないから、秘密がますます拡大する可能性がある。
 秘密指定すれば永久に解除されないような事態を招いてはならない。今後、重要な外交文書の保全と公開のルールを厳密に定めなければならない。
 民主主義が機能不全を起こすとき、最初に犠牲になるのは真実だ。知る権利や言論の自由を狭めてはならない。国は国民の知る権利にきちんと応じる責務があることを肝に銘じるべきだ。