第2次安倍改造内閣発足の各紙報道、地方紙社説(備忘)

 安倍晋三首相は9月3日、自民党役員の刷新と内閣改造を行い、第2次安倍改造内閣が発足しました。新聞各紙も3日の夕刊と4日付の朝刊で大きく報じています。在京紙各紙の4日付朝刊1面トップ記事の主な見出しと、社説の見出しを書き出してみます。各紙がこの内閣改造をどのようにみているかが、ある程度うかがえると思います。各紙とも東京本社発行の最終版です。

朝日新聞
1面「政権安定を優先」「第2次安倍改造内閣 発足」「主要閣僚留任、役員に重鎮」
社説「安倍改造内閣―国民合意の政治を望む」
毎日新聞
1面「地方・女性に重点」「首相『政策大胆に』」「安倍改造内閣
社説「改造内閣発足 中韓と関係構築を急げ」:本気問われる女性登用/人口減少に本格対応を
▼読売新聞
1面「『実行実現』へ重厚布陣」「経済・地方創生に全力」「女性5人 最多並ぶ」
社説「安倍改造内閣 経済再生へ挙党態勢を固めよ」:「次」のリーダー育成も重要課題だ/選挙にらむ重厚な布陣/消費増税どう判断する/真価問われる女性登用
日経新聞
1面「首相『経済を最優先』」「安倍改造内閣が発足」「地方創生に重点」
社説「経済再生こそが改造内閣の使命だ」:中韓と関係改善にらむ/岩盤規制に切り込め
産経新聞
1面「経済優先で『実行実現』」「第2次安倍改造内閣発足」「首相会見 地方創生、安保を整備」
社説「安倍改造内閣 日本再生の司令塔となれ」:「拉致」「安保法制」に全力注げ/憲法改正の積極発信を/人口減対策は総合的に
東京新聞
1面「『安倍路線』さらに加速」「第2次改造内閣発足」「首相に異論挟まぬ布陣」
社説「国民の声に聞く耳を 安倍改造内閣が発足」:政策の実現こそ使命/異論切り捨てる姿勢/戦後70年、節目の政権
【写真説明】東京都内発行各紙の9月4日付朝刊1面

 ブロック紙・地方紙の4日付の社説も、ネットの各紙サイトで調べてみました。閲覧できたものの見出しを列記します。
北海道新聞「第2次安倍改造内閣発足 多様な民意を聞き入れよ」:重要閣僚軒並み続投/偏った政策の是正を/少数意見尊重も必要
河北新報内閣改造/『挙党態勢』効果のほどは?」
東奥日報「実効性ある『地方創生』を/第2次安倍改造内閣
▼デーリー東北「内閣改造 『安倍1強』体制に懸念」※5日付
秋田魁新報安倍内閣改造 政権運営に依然危うさ」
岩手日報内閣改造と党人事 不透明な『復興』の前途」
福島民報「【安倍改造内閣発足】福島復興でより前に」
福島民友新聞「第2次安倍改造内閣/復興加速へ果断に取り組め」
信濃毎日新聞内閣改造 安倍政治への目を厳しく」:「首相1強」が続く/深刻な課題山ほど/異論に耳を傾けよ
新潟日報「改造人事 波乱の要素をはらむ布陣」
北國新聞「安倍改造内閣 今後も経済再生を最優先に」
福井新聞内閣改造 最大の使命は地方創生だ」
京都新聞「安倍改造内閣 国民の声に真摯に耳傾けよ」:暮らしの安定こそ/「お友だち」では困る/党内で自由な議論を
神戸新聞「安倍改造内閣/謙虚な姿勢で政権運営に臨め」:「首相独走」への危惧/多様な声に向き合え
山陽新聞「安倍改造内閣 『地方創生』着実に進めよ」
中国新聞内閣改造 政策面でも心機一転を」
山陰中央新報内閣改造/経済の再生に軸足を戻せ」
愛媛新聞内閣改造 党内事情より国民生活を見よ」
徳島新聞「安倍改造内閣 多様な意見に耳を傾けよ」※5日付
高知新聞「【内閣改造】『看板』の中身が問われる」
西日本新聞「安倍改造内閣 政策の実行力を問いたい」
大分合同新聞「地方創生相を新設 総合戦略に『声』反映を」
宮崎日日新聞内閣改造 経済再生という原点に戻れ」:総裁選にらんだ配置/地方創生へ全力望む
佐賀新聞「第2次安倍改造内閣スタート」
熊本日日新聞内閣改造 暮らしの安定を最優先に」
南日本新聞「[内閣改造] 国民生活の安定に力を」
沖縄タイムス「[安倍改造内閣発足]負担軽減の道筋見えぬ」
琉球新報内閣改造 国民の批判に耳を傾けよ」


 以下に、印象に残ったブロック紙・地方紙の社説から一部を引用して書き留めておきます。
北海道新聞「第2次安倍改造内閣発足 多様な民意を聞き入れよ」

 首相は内閣改造で支持率回復を図り、今秋の福島、沖縄両県知事選、来春の統一地方選勝利を目指す。来秋の自民党総裁選や2年後の参院選も視野に、衆院解散・総選挙の時期を慎重に探る。
 これを首相は「日本を取り戻す戦いの第2章」と銘打った。視線の先にあるのは改憲ではないか。
 国民の「知る権利」を脅かす特定秘密保護法の成立の際に見られたのは、主権者としての国民を軽視する態度だ。集団的自衛権の行使容認は憲法の平和主義からの逸脱である。
 憲法の基本理念と現実との乖離(かいり)をことさら強調して改憲への支持を広げ、最後は数の力で決着させる。そんな政治は容認できない。
 少数意見の尊重は民主主義の基本原則である。多数による少数派の抑圧が行き過ぎれば激しい反発を招き、民主政治の運営が困難になる。議論を尽くし、接点を探る態度が大事だ。
 急いでやるべきことは多い。年末に予定される消費税率の再引き上げの是非を判断する際には、国民生活の実態をよく見るべきだ。中韓両国との関係改善も急務だ。
 内閣改造政権運営の手法を「改造」する契機としたい。

秋田魁新報「安倍内閣改造 政権運営に依然危うさ」

 同じ新設でも憲法が掲げる平和主義にとって不安材料となるのが安保法制担当相だ。「戦争ができる国」への法整備を進めるのが職務だからである。
 行使容認には根強い反対があるが、安倍首相は異なる意見には耳を貸さないようだ。昨年末の特定秘密保護法案の審議でも、原発の再稼働方針決定でも同様だった。今夏、被爆者団体の代表が容認に抗議した際も「見解の相違」と突き放した。
 自らの思想信条に近い人物を用いた今回の改造で、その姿勢が変わるとは考えられない。
 民主主義は、意見が異なる者同士が議論を重ねることによって対立する利害を調整し、一定の合意を得る仕組みだ。その地道な手続きを軽視するようでは、さまざまな国民の思いに応えることは難しい。

岩手日報「内閣改造と党人事 不透明な『復興』の前途」

 民主党政権下で設置された復興相は、被災地の知事に対する不遜な言動がもとで短期で辞任した福岡選出の初代松本龍氏以後、本県の平野達男氏、自民党が政権復帰後は福島の根本匠氏と被災地出身を充ててきた。
 根本氏に代え、青森出身の大島理森前副総裁を起用するとの観測も流れる中で今回、島根出身の竹下亘氏を起用したのは、新入閣待望組に配慮した側面が色濃い。
 安倍首相は折に触れ「被災地復興は政権の最重要課題」と語るが、竹下氏に被災地対応に関わった経歴は見当たらない。国の集中復興期間は15年度で終了。被災地では、その延長を望む声が高まっている。首相の真意が問われる中で、新大臣への評価は政権の評価に直結するだろう。

福島民報「【安倍改造内閣発足】福島復興でより前に」

 本県は東日本大震災東京電力福島第一原発事故の影響で厳しい状況が続く。県民の間には国の対応に不満と不信感がある。震災と原発事故からの復興は内閣にとって最も大きな課題であるはずだ。
 ところが、安倍晋三首相は内閣改造後の記者会見で、震災にも福島にもほとんど触れなかった。これはどうしたことか。平成24年12月の前内閣発足時の会見では「関係省庁の力を結集して、国が前面に立って、国の責任において、福島の再生に取り組む」と述べている。
 首相は日頃から「福島の復興なくして日本の復興なし」と語っている。その思いに変わりがないのなら、被災地に向けて、県民に向けて、不退転の姿勢で復興に突き進む方針を打ち出すべきだった。より前に出る決意を語るべきだった。
(中略)
 国と被災地との間には距離感がある−と言わざるを得ない。国が前面に出ているとの実感は、まだまだ薄い。震災と原発事故から3年半がたつ。県民の暮らしと命を守り、復興を加速させるために内閣がどれほどの覚悟を持っているか。県民は実行力を注視している。

福島民友新聞「第2次安倍改造内閣/復興加速へ果断に取り組め」

 年末の消費増税の判断や来春の統一地方選にらみ、挙党態勢を再構築したい考えからだろう。それにしても震災と原発事故の被災地としては、いささか心もとない布陣に映る。
 本県も含め被災地選出議員の顔が見えないためだ。被災地ではいまだに避難生活が続いている住民が数多い。被災地でしか分からない痛みが残る。復興の先導役である復興相などはこまめに足を運び、住民の苦悩をすくい上げる努力が必要だ。
(中略)
 新内閣発足後の会見で安倍首相は政策実現にまい進する抱負を述べたが、これからの復興への決意が明確に示されなかったことは残念だ。被災地では復興が最重要課題として残されていることを忘れてはならない。

信濃毎日新聞「内閣改造 安倍政治への目を厳しく」

 今回を含め、第2次政権の組閣では、側近ばかりを重視する傾向は弱まっている。今は首相のライバルになる相手が党内にほとんどおらず、与党に対抗できる野党も育ってない。首相自身も隙を見せないようにしている。
 首相の思うような政治ができる環境といっていい。実際、特定秘密保護法の成立や憲法解釈を変えての集団的自衛権の行使容認、原発再稼働方針など、国民の反対が根強い問題を、与党の数の力に頼って強引に進めている。党内や野党からの慎重論にも耳を傾けずに封じ込めてきた。
 今回の人事でも政権の中核となるメンバーは変えずに、首相に近い保守派、党内外との調整が期待できるベテラン、看板になることが期待される女性らを各所に配した。反発が出にくいように腐心したことが見て取れる。
 首相はこれまで通り、したたかに「安倍政治」を進めていく考えのようだ。その先に見据えているのは、憲法9条を中心とした改憲の実現なのだろう。これまで以上に厳しく首相の姿勢を見ていかなくてはならない。
(中略)
 首相は会見などで「日本を取り戻すための第2章」と改造、人事を位置付けた。取り戻すとは何を意味するのか。軍事重視の安保政策、企業重視の経済政策、統制色が濃くなる教育政策など、個人の権利や自由を狭め、国家に重きを置く国造りだとしたら、国民にとっては不幸なことだ。
 政治がこれ以上遠い存在にならぬよう、首相には異論に耳を傾ける丁寧な政治を求める。

中日新聞東京新聞「国民の声に聞く耳を 安倍改造内閣が発足」

 安倍氏が首相に返り咲いてからの一年八カ月余りを振り返るとどうか。国民に寄り添った政治の実現に努力してきたと胸を張って言い切れるのだろうか。
 自らの主張のみを正しいと思い込み、国民の中にある異論を十分にくみ取って、不安に思いをめぐらせたと言えるのだろうか。
 象徴的なものは、外国同士の戦争への参戦を可能にする「集団的自衛権の行使」問題である。
 首相は今年七月、政府が長年、違憲としてきた憲法解釈を一内閣の判断で変更して、行使を容認する閣議決定に踏み切った。
 改造内閣では防衛相との兼務で安全保障法制担当相を創設し、集団的自衛権を実際に行使できるよう法整備を進めようとしている。
 世論調査では依然、行使容認に反対と答えた人が60%を超えている(八月の共同通信国電世論調査)にもかかわらずだ。
 先月には、集団的自衛権の行使に「納得していませんよ」と声を掛けた長崎の被爆者団体代表に、首相は「見解の相違です」と言って立ち去った、という。
 戦争への拒否感がより強いだろう被爆者の異議申し立てに耳を傾けようとせず、切り捨てる政治姿勢では、国民の政権に対する不信感は募るばかりではないのか。
 安倍政権が強引に進めてきた特定秘密保護法原発再稼働も、世論調査では反対が賛成を上回っているが、政権側に見直す動きは見えない。そればかりか、異論封じが強まる気配すら感じる。
 安倍政権の政策に反対する国会周辺でのデモについて、石破氏はかつてテロ行為と同一視し、最近では、総務相に就いた高市早苗政調会長が規制を強化する必要性を指摘したからだ。
 両氏の入閣が、憲法で保障された表現の自由を脅かす動きにつながらないか。監視の必要がある。

神戸新聞「安倍改造内閣/謙虚な姿勢で政権運営に臨め」

 安倍首相が政権基盤を固める一方で、国民が政治に求めるものとのずれは広がっている。
 特定秘密保護法の成立や、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更は、国民の懸念が高まる中で強行された。野党が弱体化しているとはいえ、多くの反対の声も意に介さない首相の手法は、民意の切り捨てと批判されても仕方がない。
 経済政策アベノミクスの効果は地方には十分浸透せず、ここにきて景気回復も足踏み状態だ。人口減少に対応した、持続可能な社会保障制度の改革はなかなか進まない。
 秋の福島、沖縄両県知事選で、苦難にさらされている地方がどんな審判を下すかも注目される。
 消費税率の再引き上げの最終判断や原発再稼働など賛否が二分される問題にも答えを出す時が迫る。
 日本は今、将来を左右する大きな岐路に直面している。首相の意向に従うだけの内閣や与党では、針路の選択を誤る恐れがある。

愛媛新聞「内閣改造 党内事情より国民生活を見よ」

 首相のあからさまな「石破つぶし」や両者の確執劇、総裁選目当ての人事は国民生活を良くする政治とは無縁だ。国民を欺く茶番劇が、人々をしらけさせていることを、認識しなければならない。
 側近の重用も目立つ。第1次政権時の官房長官で「お友達」の象徴とされた塩崎恭久氏が入閣。甘利明菅義偉下村博文の各氏らも、残留した。首相が語る「日本を取り戻す戦いの第2章」とは、首相の思い通りの政策を、より強硬に進める姿に見える。
 これまでも、秘密保護法や集団的自衛権などをめぐり、首相の暴走は際立っていた。安全保障政策の法制化に関しても、いま以上にブレーキをかけづらくなる心配が拭えない。閣僚には、国民に対する責任の重さを強く自覚するよう求めたい。
(中略)
 官邸主導で政治が動く中、地方では、今秋の福島、沖縄両県知事選で、地元自民党議員らが党本部の意向とねじれた形での候補者擁立の動きを見せている。東京電力福島第1原発事故のその後や、米軍普天間飛行場名護市辺野古への移設に、住民の不満や怒りが高まっている証拠だ。
 国民を見ず、首相自身の利を追うようでは、党内外からそっぽを向かれよう。

徳島新聞「安倍改造内閣 多様な意見に耳を傾けよ」

 首相は年内に消費税再増税の是非の判断を迫られる。10月に福島、11月には沖縄と県知事選も続く。地方の声を映す知事選の結果は政権運営を左右しかねない。来年の統一地方選にも影響を与えよう。
 沖縄の米軍普天間飛行場辺野古移設をめぐっては、反対派住民の声にも耳を傾ける必要があろう。
 もう一つ忘れてはならないのが、年内に施行予定の特定秘密保護法である。国民の知る権利を侵害する懸念は拭えておらず、廃止も含めて検討すべきだ。原発の再稼働に国民の反対が強いことも、重く受け止めなければならない。
 安倍政権は、国会審議が不十分なまま、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認するなど、傲慢ともいえる手法が目立った。
 来年の通常国会では、行使容認に向けた法整備を行う方針のようだが、国民の多様な意見に耳を傾けて施策を進める姿勢に転換すべきである。

沖縄タイムス「安倍改造内閣発足 負担軽減の道筋見えぬ」

 内閣改造後の記者会見で安倍晋三首相は沖縄の米軍基地問題に関し「抑止力を維持しつつ、これまで以上に目に見える負担軽減をやっていく」と述べ、沖縄基地負担軽減担当相を新設し菅官房長官が兼務すると明言した。
 そもそも政府の言う負担軽減とはどういう意味なのか、よく分からない。多くの県民が求めている負担軽減とは、米軍普天間飛行場辺野古に移設することではない。新たな基地を造らずに普天間を閉鎖する方策に道筋をつけることが、県民の望む負担軽減の形である。
 官房長官が兼ねる基地負担軽減担当相とはいったい何をするのか。なぜ、この時期に突然の新設なのか。設置するならもっと早い時期、さらに言えば第1次政権の時にできたはずではないか。
 思い起こすのは、1月の名護市長選の最中に石破茂自民党幹事長(当時)が、辺野古移設推進候補を後押しするため唐突に500億円の基金構想を打ち上げたことだ。今回の基地負担軽減担当相も 11月の知事選を意識した、とってつけたようなものにしか思えない。本当に負担軽減をやるのなら、まずボーリング調査を中止すべきだ。

琉球新報「内閣改造 国民の批判に耳を傾けよ」

 山口俊一氏が沖縄担当相に就任した。3年目となる現行振興計画や一括交付金制度の在り方で、なるべく多くの分野の関係者と直接意見交換を重ねることが重要だ。
 米軍普天間飛行場辺野古移設計画を担う防衛相には江渡聡徳氏が就任、岸田文雄外相は留任したが、移設作業の旗振り役となっている菅義偉官房長官に「沖縄基地負担軽減担当」を与えたことは重大だ。悪い冗談だと言いたくなる。
 移設問題は11月知事選の最大の争点だが、菅氏は「選挙結果は移設作業に影響しない」との考えを繰り返し示している。そのような非民主的な態度が許されるのか。
 安倍政権は経済再生への期待を背に高い支持率を維持してきた半面、国民の多数が反対する中で特定秘密保護法の成立や集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行してきた。
 普天間問題でも共通するのは、批判を受け止めない傲慢(ごうまん)な態度だ。景気は不透明感が増し、中韓両国との関係改善は見通しが立たない。国民、県民の声に耳を傾ける謙虚な姿勢がなければ、大きなしっぺ返しを食らうことに気付くべきだ。