沖縄知事選折り返しでの在京紙報道

 前回の記事(「最も重視『基地問題』が45%で最多〜沖縄タイムス、朝日新聞などの沖縄知事選世論調査」)の続きです。11月16日が投開票の沖縄県知事選で、選挙戦の折り返し点の9日、東京発行の新聞各紙が紙面でどのような報じぶりだったか、備忘を兼ねて書き留めておきます。
 前回の記事で紹介したように、朝日新聞は9日付朝刊1面に沖縄タイムス琉球朝日放送(QAB)と合同で実施した世論調査の結果に取材で得た情報を加味した情勢記事を見出し2段で掲載。「前那覇市長の翁長雄志氏(64)が優位に立ち、現職の仲井真弘多氏(75)が追っている。元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)は伸び悩んでおり、前民主党県連代表の喜納昌吉氏(66)も支持の広がりが限定的」「ただし、有権者の3割近くが投票態度を明らかにしておらず、終盤にかけて情勢が変わる可能性もある」と報じました。4面(政治面)には、世論調査で「知事選で何を一番重視するか」の設問に対して、「基地問題」45%、「経済の活性化」38%となり、過去の知事選の際の世論調査と異なる結果になったことを伝えています。社会面にはトップの扱いで「基地マネーに翻弄され」の見出しを取り、沖縄の経済問題を3本の記事でリポートしています。
 9日付朝刊用には、共同通信も7、8両日に実施した電話世論調査の結果に取材を加味した情勢分析記事を配信。やはり「翁長氏がリード」と伝えています。この共同通信配信記事を毎日新聞は2面(総合面)で見出し2段、東京新聞は4面(総合面)に同3段、日経新聞は2面(総合・政治面)に同1段でそれぞれ掲載しています。いずれも紙面の見出しは「翁長氏リード」。東京新聞共同通信のサイド記事も使用。日経新聞は関連の自社記事も載せています。産経新聞は5面(総合面)に、菅義偉官房長官が仲井真氏の応援のため沖縄入りしたことを伝える記事を掲載。その中で共同通信の情勢分析結果を引用して「翁長氏がリードし、仲井真氏が追う展開」と触れています。
 読売新聞は4面(政治面)に「仲井真氏 追い上げ懸命」「翁長氏、陣営引き締め」に見出しの記事を掲載。書き出しは「読売新聞社が6〜8日に行った沖縄県知事選(16日投開票)の情勢調査で、前那覇市長の翁長雄志氏の優勢が明らかになった。現職の仲井真弘多氏は追い上げに躍起となっており、翁長氏は陣営の引き締めを図っている」としています。目を引かれたのは、直接知事選には言及していないものの、社会面トップに据えられた米軍輸送機オスプレイの記事です。「オスプレイ本土に浸透」「沖縄の負担軽減・情報公開さらに」「訓練分散1年」の見出し。書き出しは「沖縄県の基地負担軽減策の一環として、米海兵隊の輸送機『MV22オスプレイ』を使った日米共同訓練が始まって1年が過ぎた。訓練受け入れを表明する本土の自治体も現れるなど、住民の抵抗感は徐々に薄れているように見えるが、より確かな理解を得るには、運用に関する丁寧な説明が不可欠だ」となっています。直接、知事選に触れていないとはいえ、オスプレイ配備されているのは知事選で移転問題が最大の争点になっている普天間飛行場。読売新聞は社論として、普天間飛行場名護市辺野古地区への移設を支持しています。記事には普天間飛行場近くの住民の「回数が減ったとの実感はまだない」との言葉を盛り込みつつも、「負担軽減」が前進しつつあると肯定的にとらえているように感じます。訓練の本土分散が沖縄の負担の軽減になるのかどうかは、メディアのより見方が分かれるだろうと思います。
 以下に、在京紙各紙の主な記事の見出しを書き留めておきます。いずれも東京本社発行の9日付朝刊最終版です。やはり、朝日新聞の記事の多さが目を引きます。

朝日新聞
1面「翁長氏が優位に」「仲井真氏負う 沖縄知事選」
4面(政治面)「『基地問題』重視45%に増」
社会面トップ「基地マネーに翻弄され」「交付金『国との関係影響か』」/「小規模町村は―収入の2〜3割」/「脱依存 経済界に亀裂」
社会面「沖縄の痛み見過ごせぬ」「2014沖縄知事選@静岡・御殿場」

毎日新聞
2面(総合面)「翁長氏リード」「仲井真氏が追う 共同通信調査」

【読売新聞】
4面(政治面)「仲井真氏 追い上げ懸命」「翁長氏、陣営引き締め」
社会面トップ「オスプレイ本土に浸透」「沖縄の負担軽減・情報公開さらに」「訓練分散1年」※直接は知事選に触れていない

日経新聞
2面(総合・政治面)「保守票 取り込み急ぐ」「仲井真氏 官房長官、現地入り」「翁長氏 企業関係者に訴え」/「翁長氏リード 仲井真氏追う」(共同通信

産経新聞
5面(総合面)「菅長官沖縄入り」「USJ誘致支援明言」「知事選翁長氏リード」

東京新聞
4面(総合面)「翁長前那覇市長リード」「現職・仲井真氏追う」「有権者9割『関心』」(共同通信)/「辺野古推進の政府 7割超が『不支持』」(共同通信


 ここにきて年内の衆院解散・総選挙が急浮上してきています。安倍晋三首相は直接、解散の意思を明らかにしていませんが、与野党問わず政界も、マスメディアも選挙モードに入ったようです。早ければ19日にも解散と報じられており、その通りなら沖縄県知事選の結果が出た直後、ということになります。仮に衆院選になった場合、マスメディアの選挙報道の中で、知事選の結果や米軍基地問題がどのように位置づけられ、報じられるのかも注視したいと思います。