沖縄知事選と衆院解散・総選挙 ※追記:辺野古移設反対の翁長氏が当選確実

 11月16日は沖縄県知事選の投開票日です。琉球新報は前日15日付で、「県民意思示し未来築け」と題した社説を掲載しています。一部を引用します。
琉球新報「<社説>県知事選あす投票 県民意思示し未来築け」2014年11月15日
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-234545-storytopic-11.html

 10月30日の告示以来、激しい論戦を繰り広げてきた県知事選はあす16日に投票日を迎える。沖縄の未来を左右する重大な選挙である。最大の争点となった米軍普天間飛行場返還・移設問題の行方に決定的な影響を与えるだろう。投票を通じて県民意思を明確に示そう。
(中略)
 普天間問題は県知事選の構図に大きな変化をもたらした。1972年の復帰以降、保革の対立構図で争われてきた県知事選は今回初めて保守分裂選挙となった。公明党県本部は自主投票に転じ、過去16年間、保守県政を支えてきた自公の枠組みが崩れた。 
 有権者の意識も変化している。琉球新報沖縄テレビ放送(OTV)が実施した電話世論調査によると、46%が候補者を決める際、最も重視することとして「普天間飛行場など基地問題」を挙げ、「経済振興・雇用対策」を大きく上回った。これまでにない傾向だ。
 日米両政府が普天間飛行場全面返還に合意して以降、4回の知事選で普天間問題が争われた。今選挙で4氏の姿勢は明確に分かれている。沖縄の将来像を描き、それぞれの主張をしっかり見定めよう。
(中略)
 今知事選は戦後初めて選挙によって主席を選んだ1968年の主席公選と並ぶ歴史的な意義を持つ。自らの命運を自ら決める自己決定権の重要性が今回ほど意識されたことはない。
 1879年の「琉球処分」以降、大国のはざまで翻弄(ほんろう)されながら、歴史を切り開いてきた県民の歩みの延長上に今回の知事選がある。沖縄の未来を築く1票を投じよう。

 選挙結果は、この選挙の最大の争点である普天間飛行場の移設問題をはじめとした、明確な「県民意思」であることは間違いがありません。わたし個人としては、沖縄から投げ掛けられるその明確な意思に、日本本土に住む日本人の一人として、どう向き合うのかが問われるのだろうと思いますし、わたしが身を置く本土のマスメディアも、その意思をどう報じるのかがやはり問われるだろうと考えています。
 折しも本土マスメディアは、このわずか1週間の間に衆院解散・総選挙モードに入りました。沖縄知事選の結果がまもなく示されるのを前に、少し気にかかることがあります。
 予断は避けたいと思いますが、ここにきての衆院解散に対する安倍晋三首相の思惑については、消費税再増税論議アベノミクス失速を絡めて論じられているのが目立ちます。「再増税をいったん見送る。その信を国民に問う」ということです。そういう思惑が安倍首相にあるかないかは別にして、いずれにせよ安倍首相は解散後の衆院選でも「勝てる」と踏んでいるのでしょう。議会選の勝ち負けはいろいろ評価軸があるのですが、少なくとも自らがやりたい政策を安定的にやりたいようにできる程度の議席は取れると見ている、そう思えるだけの内閣支持率の推移があることは、このブログの過去記事でも触れてきました。そして、安倍氏が一番やりたいのは憲法9条の改正でしょう。普天間飛行場の移設問題は当然、名護市辺野古地区への移設計画を堅持です。
 沖縄知事選の選挙結果も予断は避けなければなりませんが、選挙戦は終始、辺野古地区移設反対を掲げた前那覇市長の翁長雄志氏が、辺野古移設を容認する現職の仲井真弘多氏ら3人をリードする展開と報じられており、現実の選挙結果がどうなるかにかかわらず、安倍氏や政権としては最悪のケースである翁長氏当選に備えた対策も必要のはずです。ここにきての衆院解散・総選挙がその答えなのかどうかは分かりません。ただ仮に総選挙で「勝利」と総括できる結果を手に入れられれば、安倍政権としては、普天間飛行場辺野古移設計画も「国民の総意としては理解・支持を得た」と強弁できる余地が出てくると思います。沖縄の民意に対し「国民の民意」を持ち出していわば「上書き」する―「総選挙で示された国民の総意は別のところにある」と位置付ける―ということです。それが衆院解散・総選挙の目的である、とまで言うつもりはありません。ただ、それが目的ではないにしても、選挙公約に普天間問題を盛り込んでおけば、結果的に安倍政権側にそういう言説や解釈が可能になることは間違いがないとも考えています。もちろん、安倍政権がそのような言説や解釈を一切取らず、わたしの考え過ぎに終わるのなら、それに越したことはありません。沖縄の民意を軽視することを、そこまであからさまにするほど政治的に稚拙ではないだろう、とも思います。
 これまで沖縄は現に選挙戦が続いていたこともあってか、東京発行の新聞各紙をはじめ本土マスメディアの報道では、急浮上した衆院解散・総選挙と沖縄との関連を報じる記事はほとんど目にしていません。沖縄でどんな意思が示され、それが直後に始まる衆院選の中でどう位置付けられ、日本本土に住む日本国の主権者の一人一人の判断にどう作用するのか、あるいは作用しないのか―。わたしは衆院選の大きな意義の一つはそこにあると考えています。その中で本土マスメディアの報道が占める役割と責任は小さくありません。


【追記】2014年11月16日20時10分
 沖縄県知事選は投票終了とともに、各マスメディアが前那覇市長の翁長雄志氏の当選確実を速報しています。琉球新報沖縄タイムスはPDF号外もサイトにアップしています。
 ※琉球新報「【速報】新知事に翁長氏当確 辺野古反対に支持、移設計画影響も」
  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-234610-storytopic-122.html
 ※沖縄タイムス「沖縄知事に翁長氏当確」
  http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=90830


 今夜以降、何が起きるのかを注視していきたいと思います。