特定秘密保護法が施行、在京紙の報道の記録

 特定秘密保護法が12月10日午前零時、施行されました。「何が秘密か、それ自体が秘密」との指摘に代表される、批判の多い法律です。
 10日付の東京発行の新聞各紙朝刊は、扱いが分かれました。朝日新聞毎日新聞東京新聞は本記を1面トップで大きく扱いました。この日の朝刊の中でもっとも重要なニュースであるとの価値判断です。この3紙は昨年、同法が法案として国会で審理されていたころから、反対の論調を鮮明にしていました。これに対して、条件付きながらも同法公布を基本的に支持していた読売新聞は1面には置いたもののトップではなく、同じように同法を支持する産経新聞は2面でした。
 各紙の紙面を比べて思うのは、反対を鮮明にしている新聞ほど関連記事が多いことです。東京新聞は関連記事を7ページにわたって掲載しました。読売新聞は3ページですが、うち1ページは丸ごと特集を組んでおり、情報量は少なくないのかもしれません。ただ毎日新聞東京新聞が様々な立場の人を紙面に登場させ、多様な観点を提供しようとしていることと比べると、やはり違いがあるように感じます。
 社説は、産経新聞を除く5紙が取り上げました。その中で「国家の安全保障にかかわる重要情報は厳重に管理すべきだ−。そのように単純に考えてはならない」と指摘し、特定秘密保護法の必要性に根拠がないことを主張する東京新聞の社説が強く印象に残りました。この法律に反対の新聞でも、安全保障の分野で秘密として保護しなければならない情報があること自体は多くの大半の新聞が容認しています。特定秘密保護法を廃止することを考えるのなら、まずはその考え方を疑うことが必要ではないかと、個人的には感じています。
東京新聞・10日付社説「特定秘密保護法施行 権力が暴走しないか」
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014121002000126.html

 
 以下に備忘を兼ねて、各紙の主な記事の見出しを書き留めておきます。いずれも東京本社発行の最終版です。

朝日新聞
1面トップ「特定秘密法が施行」「安全保障の機密もれに厳罰」
1面「情報隠しの懸念残る 記者の視点」
2面・時時刻刻「秘密法 消えない不安」/「施行準備 省庁手探り」「県警の情報も対象・取扱者決まらず」/「情報不足 戸惑う企業」「秘密線引き未定・運用基準あいまい」/「適正評価に批判」「『患者との信頼崩れる』
2面「乱用防ぐ仕組み弱い」曽我部真裕・京都大教授(憲法学)
15面(オピニオン)「インタビュー 秘密法 密約事件の教訓」元検事総長 松尾邦弘さん「従来法で十分/真相に迫る行為/重罰にしていいか」
第3社会面「『国民の目と耳 塞ぐ』」「『知る権利 制約する』」「廃止求める声明相次ぐ」
社説「衆院選 秘密法施行 『不特定』の危うさ」

毎日新聞
1面トップ「秘密保護法 施行」「『知る権利』侵害の恐れ」
2面「市民からチェック 困難に」
26面・1ページ特集「秘密保護法 懸念なお」「きょう施行」/「1監視機関 弱い権限」「2秘密指定の範囲あいまい」「3内部通報者の保護不十分」「4国会の審査強制力欠く」/今こそ言いたい「『軍機保護法』と類似」荻野富士夫・小樽商科大教授(61)/「大切なのはこれからだ」杉田敦・法政大教授(55)/「権力の網が空からじりじり」石丸次郎・アジアプレス共同代表(51)/「『適正評価』の選別は非現実的」富田三樹生・日本精神神経学会法委員長(71)/「毎月6日、反対を『ヒョウ明』」谷口真由美・全日本おばちゃん党代表代行(39)
社会面トップ「『基地情報出なくなる』」「市民団体 公開請求文書 黒塗り」※沖縄、厚木、横須賀
社会面「適正評価の問題点は」「思想差別 つながるおそれ」なるほドリ/「『市民の圧力で情報公開推進』専門家らシンポ」※情報公開クリアリングハウス主催
社説「秘密保護法 施行 息苦しい社会にするな」解除後には一律公開を/内部通報者を保護せよ

▼読売新聞
1面中「特定秘密保護法 施行」「適正運用へ監視ポスト」/法律の骨子
13面・1ページ特集「特定秘密保護法きょう施行」「Q特定秘密とは 安全保障に支障与える情報」/「Qなぜ必要か 脱『スパイ天国』へ法整備」/「Qどのように秘密守るか 明確に区別 厳重に管理」/「Q『知る権利』守られるか 正当な取材妨げず」/「Q一般人への処罰は 例外的な場合除き対象外」/特定秘密保護法の要旨・運用基準の要旨
第2社会面「特定秘密運用ルール 警察庁が訓令を発表」
社説「秘密保護法施行 他国との情報共有に不可欠だ」

日経新聞
3面「機密、知る権利と両立カギ」「特定秘密法施行 40万件超集約」「安保やテロ阻止 国際連携に前進」
3面「監視機関、権限弱く」「情報公開制度の拡充必要」
3面・きょうのことば「特定秘密保護法 機密漏洩の公務員らに厳罰」
社説「民主主義の土台たる『知る権利』を守れ」

産経新聞
2面「特定秘密保護法 施行」「『知る権利』保障」「防衛・テロ情報、関係国共有」
第2社会面「『諸外国並み態勢整う』」「運用チェックは不可欠」/「原子力規制委『指定しない』」/「毎年2回以上保護状況検査 警察庁が訓令」
※社説なし

東京新聞
1面トップ「外務・防衛6万件指定」「秘密保護法が施行」「『知る権利侵害』根強く」/「広すぎる対象範囲」
1面「戦争の最初の犠牲者は真実」瀬口晴義・社会部長
2面「情報公開は足踏み」「・黒塗り『一部開示』多数」「・1件300円かさむ手数料」
2面「公布から1年『施行』で効力」「『しこう』『せこう』読み方両方」
3面・核心「派兵根拠 見えぬ恐れ」「集団的自衛権と連動」「国会の監視にも壁」
28・29面(特報面)「公文書隠蔽 歴史逆戻り」「権力乱用にも懸念強く」「『情報公開求め続けることが大切』」
社会面トップ「『戦争も統制も嫌』」「秘密法施行 各地で抗議」/「官邸前『日本は学んだはず』沖縄出身学生・元山仁士郎さん」/「『次第に無関心…怖い』」情報公開推進NPO辻利夫さん/「『体が拒否反応示した』」「牧師の会」共同代表・朝岡勝さん
社会面「金沢弁護士会 反対活動中止」「埼玉ではデモ実施」
第2社会面「今こそ権力監視を」/「安全保障 集団的自衛権 判断奪う」シンクタンク事務局長 猿田佐世弁護士/「情報公開 秘密解除の仕組み 手薄」専修大 山田健太教授
第2社会面「国民の目と耳と口ふさぐ/表現の自由脅かす」「人権団体など抗議」
社説「特定秘密保護法施行 権力が暴走しないか」立法の必要性は「弱い」/軍機保護法の過去が/国民を統制する道具