2015年、永遠平和のために

 2015年になりました。昨年はこのブログにたくさんの方にご訪問いただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。


 ことしは1945年に第2次大戦が日本の敗戦で終結してから70年です。10年前の戦後60年、2005年当時は、わたしは新聞労連の専従役員で職場を休職していました。マスメディアの労働組合運動に身を置き、争議支援や労働条件の維持・向上を日々の課題にしながら、「憲法が改悪されかねない」との危機感、焦燥感がいつも頭の中にありました。
 当時の自民党小泉純一郎政権は2003年のイラク戦争に際して、いち早く米国支持を表明。翌2004年には戦火の止まないイラク自衛隊を送りました。自民党は2005年11月には、9条を改変して「自衛軍」の保有を明記した改憲案を公表。同年9月11日の衆院選では、定数480議席のうち296議席を獲得して圧勝していました。
 派遣社員契約社員などの非正規雇用の問題点が徐々に社会に知られ始めたのもこのころ。賃金水準が生活保護よりも低く、いくら懸命に働いても貧困に陥る「ワーキング・プア」も社会問題化しました。しかしそれを社会構造の問題ととらえずに、「自己責任」でかたづけようとする風潮も根強かったように思います。
 当時、労働組合運動を通じて学び、実感したことの一つは「貧困がもたらす社会不安と戦争は親和性が高い」ということでした。逆に言えば、戦争を防ぐには貧困をなくす、そのためには労働者の地位や労働条件の向上が必要だということにつながります。このことは、戦争を繰り返してきた果てに人類が共有するに至った英知の一つとして、ILO(国際労働機関)憲章の前文に端的に言い表されています。
 あの当時から10年たって、一時は薄らいでいた「改憲の危機」が今また、かつてないほどに現実味を帯びてきているように感じる年明けです。
 安倍晋三氏の自民党は昨年12月の衆院選で獲得議席数で圧勝し、その後も安倍政権は50%前後の高い支持を維持しているとの世論調査結果が報じられています。その安倍氏の悲願は改憲であり、中でも9条の改変でしょう。安倍政権の高い支持の根源は改憲志向ではなく経済政策にあるとは思いますが、労働者の賃金アップを掲げながら、一方で戦争容認の社会システムづくりを目指すような政治は、わたしは人類史に照らして疑問を感じざるを得ません。

 戦後70年の年の始まりに当たって、2013年5月にこのブログに書き、その後もよく読まれている記事をあらためて紹介しておこうと思います。
 ※「伊丹万作『戦争責任者の問題』と憲法96条〜『だまされる罪』と立憲主義」=2013年5月7日
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20130507/1367881891
 戦前に映画監督、脚本家として活躍した伊丹万作が「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」との警句を残したのは、敗戦間もない1946年8月でした。今日、改憲志向をむき出しにし、しかし改憲への道のりは遠いと考えたのか、閣議決定憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認に突き進んだ安倍氏とその内閣が高い支持を得ている中で、伊丹のこの警句は今日的な意味を持ち得ていると考えています。
 
 この1年は、まがりなりにも日本が戦後70年間、直接戦争をしなかったことの意味を考えながら、永遠平和のためにわたしの立場でできることを、小さなことでも実践していきたいと思います。本ブログも引き続き、よろしくお願いいたします。

永遠平和のために

永遠平和のために


 ※ILO憲章については、ILO駐日事務所のホームページに日本語訳があります。
 ・駐日事務所トップ
 http://www.ilo.org/tokyo/lang--ja/index.htm 
 ・「ILO憲章、フィラデルフィア宣言」
 http://www.ilo.org/tokyo/about-ilo/organization/WCMS_236600/lang--ja/index.htm
 数ある国連機関の中で、労働者の地位向上と権利の保護を大きな目的とするILOが生まれたのは、第一次世界大戦終結した1919年でした。駐日事務所のサイトの「ILOについて―歴史」の項では「ILOは、『世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる』という信念を実現するために、第一次世界大戦終結させたベルサイユ条約に結実する動きの一部として1919年に創設されました」と説明しています。
 憲章前文は以下の通りです。

世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができるから、
そして、世界の平和及び協調が危くされるほど大きな社会不安を起こすような不正、困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件が存在し、且つ、これらの労働条件を、たとえば、1日及び1週の最長労働時間の設定を含む労働時間の規制、労働力供給の調整、失業の防止、妥当な生活賃金の支給、雇用から生ずる疾病・疾患・負傷に対する労働者の保護、児童・年少者・婦人の保護、老年及び廃疾に対する給付、自国以外の国において使用される場合における労働者の利益の保護、同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認、結社の自由の原則の承認、職業的及び技術的教育の組織並びに他の措置によって改善することが急務であるから、
また、いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となるから、
締約国は、正義及び人道の感情と世界の恒久平和を確保する希望とに促されて、且つ、この前文に掲げた目的を達成するために、次の国際労働機関憲章に同意する。