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「おごり、都合のいい解釈」「牽強付会」「非論理的で滑稽ですらある」:菅官房長官を迎える沖縄2紙社説

 米軍普天間飛行場名護市辺野古への移設をめぐって、菅義偉官房長官沖縄県の翁長雄志知事と会談するために4日、沖縄県入りしました。
※「菅官房長官が沖縄入り 5日、翁長知事と初会談へ」(47news=共同通信)2015年4月4日
 http://www.47news.jp/CN/201504/CN2015040401001090.html

 菅義偉官房長官は4日午前、沖縄県の米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古移設に向けた地元理解を目指し、同県に入った。午後には、在沖縄米軍施設の返還式典に出席し、翌5日には移設に反対する翁長雄志知事との初会談に臨む。移設実現を対米公約とする安倍政権のキーマンとして、懸案解決への手腕が問われそうだ。
 菅氏は4日昼、那覇市内で開かれた自民党沖縄県連大会の懇親会であいさつし「翁長知事と沖縄の基地負担軽減と振興策について忌憚のない意見交換をしたい」と決意を示した。「普天間飛行場の危険性を除去し、固定化は絶対に避けなければならない」とも強調した。

 翁長知事が昨年12月の就任以降、幾度となく安倍晋三首相や菅官房長官、防衛相に会談を申し入れていたのに応じなかったことに対して、日本本土での世論調査でも「会うべきだ」との意見が圧倒するようになっています。3月12日に辺野古沖での海底ボーリング調査再開を日本政府が強行して以降、翁長知事が23日に作業停止を指示、それに対して農水相が知事の停止指示の効力を一時無効とすることを30日に発表と事態は動き、その間、本土マスメディアもこの問題を大きく取り上げてきました。結果として、日本政府の沖縄に対する強圧的、強権的な姿勢が広く知られることとなり、さすがに日本本土の世論も疑問を示すようになってきて、安倍首相や政権側も対応を取らざるを得なくなったのが、この菅氏の沖縄訪問ではないかと感じます。折しも統一地方選のさなかという事情もあります。
 しかし、前回の記事で書いたことの繰り返しになりますが、菅氏が翁長知事に直接、普天間飛行場辺野古移設に理解を求めても、「はい、分かりました」となるわけもありません。日本政府が沖縄県外への移設に方針変更することも現状では考えられず、結局は日本政府が沖縄に対し、その住民意思に反した負担の引き受けを迫る構図に変わりはありません。本土に住む日本国の主権者である国民がどう考えるか、状況を変えうるのは日本本土の世論だということにも変わりはないと思います。

 以下に、4日付の沖縄地元紙2紙の社説を引用します。
沖縄タイムス「[菅氏きょう来県]作業中止し対話進めよ」
 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=110213&f=t

 会談を前にした2日の記者会見で菅氏は、「移設に反対する人もいれば、逆に普天間の危険除去を一日も早く実現してほしいという多くの民意もある」と述べた。
 「沖縄の民意を理解していただく」と語った翁長氏をけん制してのことだ。
 しかし、一日も早い危険性の除去は県民の要望であって、翁長氏も県政の重要課題に位置付けている。
 菅氏の言う危険性除去は新基地建設のための方便にしか聞こえない。危険性除去を最優先させるなら、ここまで長期にわたって問題を引きずることはなかったはずだ。
 (中略)
 菅氏の一連の発言にちらつくのは、政権のおごりと、都合のいい解釈である。
 辺野古移設に賛成の声が一定数あるのは否定しないが、忘れてはならないのは、昨年の名護市長選、県知事選、衆院選で示された「新基地ノー」の圧倒的民意である。
 特に知事選では現職候補に10万票近い大差をつけるなど、これまでにない住民意識の変化を明確にした。その民意のうねりが、衆院選県内4選挙区の全てで移設反対派を勝利させたのである。
 移設反対だけではなく「総合的な政策で選ばれる」とする菅氏の主張は、あきれて検討にも値しない。政治的な誠実さや謙虚さも感じられない。
 もう一つのフレーズ「辺野古が唯一の選択肢」という言い方も、海兵隊の沖縄駐留の必要性が専門家によって否定される今となっては、本土が嫌がるから沖縄に置くことの言い換えと受け取れる。
 (中略)
 なぜ辺野古なのか、県外はどうなったのか。詳しい説明がないまま、県の頭越しに現行案を決め「唯一の選択肢」や「危険性の除去」を脅し文句のように繰り返している。
 選択肢のない政策はない。国と県が今後も協議を継続するのであれば、辺野古での海上作業を一時中断し、対話の環境を整えるべきである。

琉球新報「菅氏『民意』発言 牽強付会も甚だしい」
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-241404-storytopic-11.html

 耳を疑うとはこのことだ。
 菅義偉官房長官が、米軍普天間飛行場辺野古移設について「反対する人もいれば、逆に一日も早く解決してほしいという多くの民意もある」と述べた。翁長雄志知事が「民意を理解していただく」と述べたことへの反論である。
 菅氏から「民意」を尊重するかのような発言を聞くとは思いもよらなかった。選挙で選ばれた人との面会を避け続け、反対の声を無視して新基地建設を強行してきた人物が民意を持ち出すとは、どういう了見か。
 (中略)
 菅氏は知事選後も衆院選後も「粛々と移設作業を進める」と述べた。県が掘削作業停止を指示した際には「この期に及んで」とも述べた。沖縄がどんな民意を示しても、どんな異議申し立てをしても、「問答無用」と言うに等しい。
 菅氏の常套句(じょうとうく)には「法治国家として」もある。県の掘削停止指示を行政不服審査法を用いて効力停止させた際も述べていた。 
 だが同法の第1条「趣旨」にはこうある。「行政庁の違法不当な処分、公権力行使に関し、国民に広く不服申し立てのみちを開く」。国の不当な行為から私人を守ることが「趣旨」である法を使い、国の行為を守ったのだ。立法趣旨に反するとの意見が法学者の間でも強い。これで「法治国家」もあるまい。
 およそ非論理的な発言の数々は滑稽ですらある。これ以上、詭弁(きべん)を続けるのはやめてもらいたい。


 琉球新報は4月2日付で、菅氏の単独インタビュー記事も掲載しています。
 「辺野古『このまま進めて問題ない』 菅氏本紙インタビュー」
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-241322-storytopic-3.html

 菅義偉官房長官は1日までに都内で琉球新報の単独インタビューに応じ、米軍普天間飛行場名護市辺野古への移設について、「抑止力と普天間の危険除去を考えると唯一の解決策だ」と述べた。翁長雄志知事が埋め立て海域の岩礁破砕許可の取り消しを示唆していることには「行政の長が代わったから、もう一度見直すというのは、どうかと思う」と疑問を呈し「このまま進めても全く問題ない」と述べ、政府として翁長知事の中止要求には応じない意向をあらためて表明した。
 菅氏が沖縄メディアの単独インタビューに応じたのは初めて。
 翁長知事や稲嶺進名護市長が辺野古移設に反対していることには「普天間をどうするかという返還の原点が忘れられている」とし、「普天間の固定化は避けるべきだ」と強調した。
 (中略)
 住民が受け入れに反対したことで原発計画が断念された新潟県巻町などの事例を挙げ、沖縄の民意をくみ取るかを聞いた質問には「沖縄からは(仲井真前知事から)承認を頂いて進めている。行政は継続性と公平性が重要だ」と強調し、埋め立て承認は覆せないとの考えを示した。


 以下に、日本本土のブロック紙や地方紙で3月30日以降、この問題を取り上げたの社説の見出しと本文の一部を書き留めておきます。ネットで目に留まったもののみで、この間の地方紙やブロック紙をすべて網羅して調べたわけではありません。
 「地方」からの視線として、日本政府には厳しい意見が目立ちます。一方で、普天間飛行場沖縄県内に代わる移設先も具体的な展望はないのが現実です。菅氏と翁長氏の会談の先の「ありうべき」展開となると、現時点で見通すのは困難なように感じます。

【3月31日】
信濃毎日新聞辺野古移設 誰のための不服審査か」
 http://www.shinmai.co.jp/news/20150331/KT150330ETI090014000.php

 こんなやり方が認められるのか。米軍普天間飛行場名護市辺野古への移設をめぐる農相の決定だ。
 沖縄県の翁長雄志知事が沖縄防衛局に出した作業停止指示について、効力を一時的に停止する―とした。
 辺野古では、知事の指示を無視して海底ボーリング調査が続けられている。移設に向け、なりふり構わず作業を進める政府の姿勢にあらためて異を唱えたい。
 (中略)
 これ以上、対立を深めるべきではない。辺野古移設に反対する沖縄の民意は、昨年の知事選などではっきり示されている。にもかかわらず、作業を強行する政府の対応にそもそも問題がある。
 「粛々と進める」と繰り返すばかりで、地元の声に耳を貸そうとはしない。中谷元・防衛相は、作業が遅れるほど「普天間の危険性除去が遅くなる」と、県をけん制している。理解を得ようという姿勢には程遠い。
 辺野古の問題は、地方の声を顧みようとしない政府の姿を端的に示している。沖縄だけでなく、地方全体に関わる問題だという意識を共有したい。

中日新聞東京新聞辺野古工事 既成事実化は許されぬ」
 http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2015033102000118.html

 民意を背景にした沖縄県の判断は、またも退けられた。サンゴ礁を破壊しかねない名護市辺野古での海底掘削調査はこのまま進む。県民が拒む米軍基地新設を既成事実化することは許されない。
 痛みを懸命に訴える沖縄県民の声を、巨大な権力が踏みつぶしているように見えてならない。
 (中略)
 安倍内閣辺野古での米軍基地新設の根拠とするのは、仲井真弘多前知事による沿岸部の海面埋め立て許可だ。
 しかし、仲井真氏による「県内移設」受け入れは、体裁は整っているが、自らの公約を踏みにじるものであり、県民の意思を反映していない。しかも、昨年の県知事選で明確に拒否されたものだ。
 県は、仲井真氏の許可に法的な瑕疵(かし)がないか検証している。翁長氏は検証終了まで作業中止を求めているが、安倍内閣は耳を傾けようとせず、政権首脳部と翁長氏との会談もいまだ実現していない。
 これでは県民が反発するのも無理もなかろう。安倍晋三首相は胸襟を開いて翁長氏ら沖縄県民と対話し、真の負担軽減に向けた解決策を見いだすべきではないか。日米関係ばかりを優先して沖縄を切り捨てる愚を犯すべきではない。

福井新聞沖縄県指示の効力停止 民意無視して米国追従か」
 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/67720.html

 翁長氏は昨年11月の知事選で「辺野古移設阻止」を公約に掲げ、移設推進の仲井真氏を破って当選した。政府が言うように「行政の継続性」は重要な観点。だが県は防衛局がボーリング調査のために投入した大型コンクリート製ブロックがサンゴ礁を押しつぶしている状況を確認した。しかも許可区域外の岩礁破砕に当たる蓋然(がいぜん)性が高いとなれば、知事権限を行使するのは当然のことといえる。
 審査請求に対し、農相は防衛局と県から意見を聞いた上で採決する。数カ月かかりそうだが、請求を容認すれば県は採決無効を求め提訴する構えだ。法廷闘争になれば沖縄と国の相互不信は一段と深刻化する。
 谷垣禎一自民党幹事長は「前知事と違うことを言うのは、どういう根拠があるのか」と言い、いまだ実現していない首相との会談にも言及、「自分の主張だけをぶつけるなら、会う意味がない」と述べた。
 これはおかしな話だ。知事が就任以来7回も上京しながら、首相や官房長官にも会えないのは、辺野古移設に反対する知事への拒絶であろう。沖縄振興予算さえ減額するほどだ。
 今回の行政不服審査法に基づく防衛局の対抗措置は異例である。本来、申し立ては国民の権利保護が目的であり、国が利用するのは趣旨に沿わないとの専門家の厳しい指摘もある。
 4月に訪米する首相は首脳会談で辺野古移設を確認し、強固な同盟関係をアピールする方針だ。県の主張を一蹴して米国追従に走る政府は夏ごろの着工目指し調査作業を着々進める。
 しかし「移設反対」の民意は名護市長選、昨年12月の衆院選でも明確に示された。これを無視する政府の政策に県民の憤りは強い。戦後70年。基地に苦しみ続ける沖縄に、安倍首相の「寄り添う」という言葉が空々しく聞こえる。


【4月1日】
西日本新聞辺野古問題 政府は説得を放棄するな」
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/159857

 農相が知事の指示を否定したのは、「移設作業が大幅に遅れれば、日米両国間の信頼関係に悪影響を与え、外交・防衛上の重大な損害が生じる」などとする防衛局の言い分を認めたからだ。
 翁長知事はこの決定を不服として、移設阻止に向けた対抗措置の本格検討を始めた。埋め立ての前提となる岩礁破砕許可の取り消しや、前知事が出した埋め立て承認の取り消しも視野に入れている。
 ただ、今回の農相決定によって、防衛局は移設関連作業を当面、継続できることになった。政府は移設着手を既成事実化することで沖縄の抵抗を弱めようと考えているようだ。また、4月末に予定される日米首脳会談に向け、普天間飛行場移設の順調な進展をアピールしたい思惑もあるのだろう。
 しかし、政治日程を優先するあまり、政府は沖縄を説得する努力を放棄してはいないか。
 安倍晋三首相は参院予算委員会で「機会があれば、官邸として意思疎通を図っていきたい。信頼関係を構築したい」と語った。首相が本気なら「機会があれば」などと言わず、早速沖縄に出向いて知事を説得してはどうだろうか。
 政府が沖縄の民意を無視したまま移設を進めても、政府や米軍に対する県民の反感が増すだけだ。県民感情が極度に悪化すれば、日米安保体制はかえって不安定になる。泥沼化の危険性を理解するなら、政府の取るべき姿勢は「対立」でなく「対話」であるはずだ。

南日本新聞「[辺野古作業] ミゾが深まるばかりだ」
 http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201504&storyid=64873

 両者のミゾが深まるばかりだ。米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐる翁長雄志知事と安倍政権との対立は、裁判にもつれ込む雲行きとなった。
 安全保障政策をめぐって県と国が法廷で争うのは、異常な事態と言わざるを得ない。
 問題がこじれた主因は安倍政権の強引さにある。「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」と本気で思うなら、反対の声とも丁寧に向きあうべきではないか。
 翁長氏が沖縄防衛局に出した作業停止指示について、林芳正農相はその効力を一時的に停止すると発表した。
 防衛局が行政不服審査法に基づき、知事の指示の無効を求めていた。主張が認められたことで、防衛局は沿岸部の埋め立てに向けた海底ボーリング調査を続ける。
 それで済むはずもない。翁長氏は「国が申し立て、農林水産省が審査する」ことに疑問を呈した。審査が公平公正だったか、という根本的な疑問だ。
 (中略)
 法廷闘争には前例がある。米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否した大田昌秀知事(当時)を政府が提訴し、1996年に最高裁で国側勝訴が確定した。
 だが、それで沖縄の基地問題が解決したわけではない。法的に正しいと謙虚さを欠くことが、在るべき政治ではないはずだ。
 首相は訪米を控え、普天間移設を着実に進める必要に迫られている。だからといって、沖縄の痛みから目をそらしてはならない。


【2日】
熊本日日新聞辺野古移設 政府は民意に耳を傾けよ」※登録無料の会員に公開


【4日】
岩手日報普天間移設問題 打開の責務は国にある」
 http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2015/m04/r0403.htm

 沖縄県の米軍普天間飛行場宜野湾市)移設をめぐる政府と翁長雄志知事の対立は、民意の在りかをめぐる見解の相違が背景だろう。双方に理屈があり、一概にどちらが正しいとも誤りとも判じ難い。
 事態はこじれ、司法対決の可能性が取り沙汰されるに及び、沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅義偉官房長官は今週末、同県を訪問し知事と会談する意向を固めた。
 訴訟になれば国と県の対立は決定的となり、それ自体が国益を大きく損ねる。市街地のど真ん中にあって四方を宅地に囲まれ、米高官も「世界一危険な飛行場」と認めた普天間の現状は、結果的に固定化される懸念がある。
 今回の会談で一気に雪解けが進む見込みは薄いだろう。しかし少なくとも継続的な対話の門戸は閉ざさないよう、本来の議論に徹する努力を双方に強く求めたい。
(中略)
 しかし同知事も、普天間の危険性除去という大目的については見解が不明確。法廷闘争になれば不利とみられる中で、反対を言い続けることには限界もあるに違いない。
 他方、政府は仲井真県政からの行政の継続性を主張するが、沖縄振興策の拡充などをアメに同氏の翻意を強力に促したのは政府。地方選挙の意義を顧みない姿勢には、強権的との印象を禁じ得ない。
 安全保障は国の専権。だからこそ、国が率先して打開策を見いだすべきだろう。国策は、地方の自治権にどれほど優先するものか。そうした観点からも、全国の「地方」が推移を注視する理由がある。

宮崎日日新聞「菅・翁長氏会談 民意受け止め言葉を尽くせ」激化する両者の対立/接点見いだし議論を
 http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_11666.html

 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐって、菅義偉官房長官が4、5日に同県を訪れ、翁長雄志知事と会談することになった。会談は初めてで5日に開かれる見通し。理解を求める構えの菅氏に対し、翁長氏は昨年の知事選や衆院選沖縄4小選挙区辺野古反対派が全勝したことを挙げ、「民意ははっきり出ている」と反対姿勢を貫く。対立を深める国と地方。法廷闘争寸前にまでエスカレートする中、今回の「直接対話」は両者が歩み寄る糸口となるのか。注目し、国民全体で考えなければならない。
(中略)
 国と地方が対立する構図の中で注視しておきたいのは、選挙結果という民意が議論にどう反映されるかだろう。翁長氏は、辺野古移設反対を掲げて立候補した昨年11月の知事選で、埋め立てを認めた仲井真弘多前知事を下して当選した。会談を前に「多くの県民の負託を受けた知事として、辺野古に新基地を造らせないという公約の実現に全力で取り組む私の考えを政府に説明する」と強調。12月の衆院選でも、沖縄県小選挙区辺野古反対派が全勝している。
 一方の菅氏は、市街地にある普天間飛行場の危険性除去と抑止力維持の観点から、従来通り辺野古移設が「唯一の解決策」だと説明するとみられ、経済振興への考えもアピールする意向だ。
 だが、翁長氏は「民意を理解していただく」と真正面から臨むだろう。せっかくの「直接対話」が接点もなく進行しては意味がない。菅氏は、沖縄の人々の民意をどのように受け止めているのか率直に語ってほしい。民意を受け止めた上でどのような説明を尽くすのか、その言葉に耳を澄ませたい。