参加者に特定政党支持者が多いとしても、世論の過半数はデモや集会を好意的にとらえている

 朝日新聞産経新聞・FNN(フジテレビ系列)の2件の世論調査結果が15日付の朝刊紙面に掲載されています。政府・与党が今週中に参院で採決して成立させる方針とされる安全保障関連法案についてみれば、8月末以降のマスメディア各社の調査結果と同様に、今国会での成立に対して「反対」が「賛成」を大幅に上回っています。2件の調査結果の主な点は以下の通りです。

朝日新聞 9月12、13日実施 かっこ内は前回
 ※質問と回答 http://www.asahi.com/articles/ASH9G4QFMH9GUZPS004.html

  • 安倍内閣を支持するか:支持する36%(38) 支持しない42%(41)
  • 集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法案に:賛成29%(30) 反対54%(51)
  • 安全保障関連法案について、国会での議論は、尽くされたと思うか:尽くされた11% 尽くされていない75%
  • この法案を今の国会で成立させる必要があると思うか:今の国会で成立させる必要がある20%(20) 今の国会で成立させる必要はない68%(65)
  • 安全保障関連法案に関してデモが広がっている。デモによって、人々が意見を表明することに共感するか:共感する57% 共感しない30%
  • デモに、政治に対する影響力がどの程度あると思うか(択一):大いにある6% ある程度ある41% あまりない43% まったくない7%

産経新聞・FNN 9月12、13日実施 かっこ内は前回
 ※主な質問と回答 http://www.sankei.com/politics/news/150914/plt1509140015-n1.html

  • 安倍晋三内閣を支持するか:支持する43.5%(43.1) 支持しない44.5%(45.0) 他12.0%(11.9)
  • 政府・与党が提出した集団的自衛権行使の限定的容認を含む安全保障関連法案について、どの程度理解しているか:よく理解している7.7%(6.1) ある程度理解している46.7%(42.2) あまり理解していない33.7%(38.3) ほとんど理解していない11.3%(13.3) 他0.6%(0.1)
  • 日本の安全と平和を維持するために、安保関連法案の成立は必要だと思うか:必要52.7%(58.0) 必要ない38.7%(33.1) 他8.6%(8.9)
  • 今の国会で、安保関連法案を成立させることについて:賛成32.4%(34.3) 反対59.9%(56.4) 他7.7%(9.3)
  • 安保法案に反対する集会やデモに参加したことがあるか:ある3.4% ない96.6% 他0
  • 安保法案に反対する集会やデモに参加したことが「ない」とした回答者に聞く。今後、参加したいか:参加したい18.3% 参加したくない79.3% 他2.4%

 安保法案を今国会で成立させることに対しての賛否についての各調査結果をまとめると以下の通りです
日経新聞テレビ東京 8月28〜30日実施 「賛成」27% 「反対」55%
・NNN(日本テレビ系)9月4〜6日実施 「よいと思う」24・5% 「よいと思わない」65・6%
・JNN(TBS系)9月5、6日実施 「賛成」30% 「反対」61%
・NHK 9月11〜13日実施 「賛成」19% 「反対」45% 「どちらともいえない」30%
朝日新聞 9月12、13日実施 「必要がある」20% 「必要はない」68%
産経新聞・FNN(フジテレビ系) 9月12、13日 「賛成」32.4% 「反対」59.9% 他7.7%

 興味深いのは、朝日新聞産経新聞・FNNも安保法制に反対するデモや集会に関しての質問を設けたことです。
 特に産経新聞・FNNはある意味、念の入った調査を行っており、デモや集会への参加の有無と今後参加したいかを尋ね、これに回答者の支持政党を重ね合わせた結果(いわゆるクロス集計)を分析し「『一般市民による』というよりも『特定政党の支持層による』集会という実像が浮かび上がる」と結論付けています。

※「FNN世論調査で分かった安保反対集会の実像 『一般市民による集会』というよりは…」=2015年9月15日
  http://www.sankei.com/politics/news/150914/plt1509140020-n1.html

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が12、13両日に実施した合同世論調査によると、国会周辺など各地で行われている安全保障関連法案に反対する集会に参加した経験がある人は3.4%にとどまった。共産、社民、民主、生活各党など廃案を訴える政党の支持者が7割を超えた。最近注目を集める反対集会だが、今回の調査からは、「一般市民による」というよりも「特定政党の支持層による」集会という実像が浮かび上がる。
 集会への参加経験者の41.1%は共産支持者で、14.7%が社民、11.7%が民主、5.8%が生活支持層で、参加者の73.5%が4党の支持層だった。
(中略)
 「今後参加したい人」が各政党支持層に占める割合を見ると、高い順に生活44.4%、共産42.5%、民主41.1%、社民28.5%。特定の政党支持者の参加意欲が目立った。

 一方で、朝日の調査によれば、過半数の人がデモに共感を示しています。また政治に対する影響力、つまりデモや集会に効果があるかどうかについては評価が割れており、ほぼ二分と言っていいようです。
 私見ですが、産経新聞はこれまでの報道でも、安保法案に反対するデモや集会に対しては否定的なトーンが感じられ、今回の調査の分析にも同じ傾向を感じます。ただ、朝日新聞の調査結果と総合的に考え合わせれば、仮にデモや集会の参加者に特定政党の支持者が多いとしても、世論の過半数は好意的にとらえているということでしょう。複数の調査結果を重ね合わせて見てみることの意味を感じます。

 15日付の東京発行の朝刊各紙のうち、朝日新聞毎日新聞東京新聞は1面に安保法制の問題や14日夜に国会周辺で行われた大規模抗議活動の様子を掲載しました。うち朝日新聞毎日新聞は、沖縄の辺野古新基地建設に反対して、翁長雄志知事が建設予定地の埋め立て承認を取り消す方針を14日に公式に表明したことも1面で扱っています。相互に密接にかかわる二つのニュースがほぼ同時期に大きな節目を迎えています。この「相互に密接にかかわる」ということが意識されるかされないかで、それぞれの問題をどう考えていくのか、日本社会の人々の一人一人の判断にも違いが出るのではないかと感じています。とりわけ本土のマスメディアが今後、どのように報じていくのか。ニュースそのものと同様に、報道も大きな節目を迎えているのだと感じています。
【写真説明】東京発行の15日付の朝日新聞毎日新聞東京新聞の朝刊1面

【写真説明】東京発行の15日付の読売新聞、産経新聞日経新聞の朝刊1面