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【緊急声明】今こそすべてのメディアが市民の懸念を正しく伝え、「歴史の証言者」となるべきだ

 安全保障法案の採決をめぐって、メディア総合研究所が9月16日に「緊急声明」を発表しています。メディアで働く者の一人として趣旨に賛同し、全文を引用、紹介します。
 ※メディア総合研究所トップ http://mediasoken.org/
  「緊急声明」 http://mediasoken.org/statement/view.php?id=55

【緊急声明】今こそすべてのメディアが市民の懸念を正しく伝え、「歴史の証言者」となるべきだ


2015年9月16日 メディア総合研究所 所長 砂川 浩慶


 「戦争法案」とも称される安全保障関連法案の採決をめぐって、私たちは今、もっとも重大な局面に立ち至っている。戦後70年、武力による国際紛争の解決を放棄してきた「平和国家」としての日本のあり方が、根本的に変えられてしまうかどうかの瀬戸際を迎えている。
 このような事態に直面して、国民の「知る権利」を付託されたメディアは、これまで以上に権力監視機能を求められている。この国の中で何が起きているのかを日本および世界の人々に余すところなく報じ、克明に記録して後世の人々に伝えていくことは、報道機関のもっとも重要な社会的使命であることは疑う余地がない。
 このところ、国会を取り巻く多数の自発的な市民による抗議行動のようすを矮小化して伝えたり、もしくは黙殺に近い扱いをしたりするメディアが、残念ながら存在している。国会審議のもようを生中継しないメディアにも、批判の声が殺到しているという。法案に対する考え方はともかく、何が起きているのかを積極的に伝えようとしないメディアが存在するとしたら、それは国民から負託された使命をないがしろにした振る舞いだと言わざるを得ない。
 インターネットを縦横に駆使して、市民団体などが各地の出来事をさまざまに伝えている。今、この歴史的な重大局面を、この国のマスメディアがきちんと伝え、記録できなかったとしたら、現政権と同様、マスメディアもまた将来において、歴史から断罪されるに違いない。
 市民の立場からメディアと社会のあるべき姿を研究・提言してきた私たちメディア総合研究所は、すべてのメディア関係者が「歴史の証言者」となるべく、さらなる詳細な報道と一層の奮闘を強く期待する。

以上