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「民意として基地はいらないと示すことが問題解決策」琉球新報―沖縄2紙の社説・5月25日

 沖縄2紙の社説の記録です。沖縄タイムスは台湾の蔡英文総統就任を受けた「沖台関係の進展に期待」でした。
 琉球新報は元海兵隊員の米軍属の男が逮捕された女性遺棄事件のほか、米軍基地の土壌汚染問題も取り上げました。こちらも、不平等な地位協定の問題が根底にあることがよく分かります。
 
【5月25日】
琉球新報「6・19県民大会 真の解決策を示す場に」
 http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-285450.html

 国土面積の0・6%の沖縄に全国の74%の米軍専用施設が集中する。イラクやアフガンの戦争では兵士は沖縄から最前線に送られ、「太平洋戦争で血であがなって得た占領地沖縄」に戻る。住民と基地はフェンス一枚隔てるだけだ。軍隊という暴力装置で訓練を受けた彼らが、暴力を平穏に暮らす人々に向けるのを完全に止めることはできない。それは沖縄の戦後の歴史が証明している。
 米軍人・軍属による事件事故を防ぐには、根源である基地をなくすことしかない。沖縄の民意として、もう基地はいらないと示すことが本当の問題解決策なのではないか。県民大会は党派を超え、真の解決策を示す場にすべきだ。

琉球新報「基地土壌汚染 沖縄の安全は二の次か」
 http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-285449.html

 キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区の跡地の土壌から最大で基準値の21倍を超える鉛が検出されていた。基準値以上のヒ素も見つかり、発がん性が指摘されるジクロロメタンすらあった。
 基地の跡地に土壌汚染が見つかるのは、もはや定例行事だ。隠されているのが当たり前、汚染がなかったら奇跡と言っていいほどである。
 返還地を政府が徹底的に調べ、汚染を完全に除去すべきなのは言うまでもない。問題は、返還後になって見つかるという例が繰り返されることにある。
 米軍は、米本国の基地では、物質の使用履歴や汚染の有無、地点などを厳密に記録する。その使用履歴がない場合、退役軍人の聞き取り調査まで実施して補完する。
 だが沖縄では「土地の使用履歴がない」と言い放つだけだ。紛れもない二重基準である。米本国の人の安全は守るが、沖縄の安全は二の次で、どうでもいいということか。そう問われて答えられまい。
 (中略)
 翁長雄志知事は安倍晋三首相との面談で「日米地位協定の下では日本国の独立は神話だ」と述べた。その実例の、これも一つである。
 政府は直ちに地位協定の抜本的改定を求めるべきだ。米国も、本国と同様の対策を実施しなければ差別主義者と呼ばれても仕方ない。