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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

憲法99条をめぐって3年前の記事に追記

 憲法99条について3年前に書いたこのブログの記事が、ネット上のまとめサイトにリンクを張られており、今も時折、このサイト経由でのアクセスがあります。
 ※「池上彰でもわかる日本国憲法の問題点」
  http://matome.naver.jp/odai/2136765382340635701
 ※リンクを張られたのは「憲法99条『公務員の尊重擁護義務』は改憲問題の急所〜浦部法穂さんの論考から」=2013年2月24日
  http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20130224/1361670907

 どうやら、99条のために国会議員憲法改正を議論することができない、という文脈の中に、わたしの記事も埋め込まれているようです。そして結論として、こんな憲法は守る価値がない、と主張したいようです。
 あまりに稚拙な論理展開なので放置していたのですが、せっかくなので、リンク経由で訪問していただいている方に向けて、記事の趣旨を追記しました。石原慎太郎氏の自主憲法制定論は憲法改正とは別物であること、国会議員らが議論する憲法改正の内容には、99条によっておのずと限界があると考えていることなどです。

【追記】2016年8月17日23時30分
◎「池上彰でもわかる日本国憲法の問題点」から来られた方へ http://matome.naver.jp/odai/2136765382340635701
 ご訪問ありがとうございます。
 この記事は、石原慎太郎氏の自主憲法制定論を批判的に書き、その根拠に憲法99条を挙げていますが、国会議員や市長が憲法改正を議論することを禁じられていることを記述したものではありません。そういう解釈には立っていません。「自主憲法制定」と「憲法改正」はまったく別のものです。自主憲法制定は、言葉の意味合いにおいては現行憲法を否定し破棄するものです。仮に手続きとして憲法改正を準用したとしても、憲法の性格としては全く別のものに置き換えられることです。「改正」と同列に扱えるものではありません。
 一方で憲法96条は改憲の手続きを以下のように定めています。

第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

 ここで「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、」とあるように、国会議員憲法改正論議することは禁じられていません。96条と99条を合わせて考えるなら、国会議員ら公務員が憲法改正を議論するのは構わないが、この憲法の根本原理を損なわない範囲でなければならないと、わたしは考えています。それは例えば、主権在民、人権の尊重、平和主義などです。
 この記事の趣旨を正確にくみ取っていただければ幸いです。