憲法公布70年、在京紙の報道の記録

 今年の11月3日は現行の日本国憲法が公布されて70年の日でした。日本国憲法は1946年11月3日に公布され、翌47年5月3日に施行されました。11月3日を文化の日として祝日にしているのは、この日本国憲法の公布に由来します。
 今年の11月3日は、憲法公布70年という節目感に加え、7月の参院選で、安倍晋三政権の下での憲法改正を厭わない「改憲勢力」が衆院に続き参院でも、改憲の発議に必要な総議席の3分の2以上の議席を占めた中で迎えました。そうした中で、東京発行の新聞各紙も3日付朝刊ではそれぞれに憲法関連の記事を大きく載せています。

 個人的に興味深く感じたのは、産経を除く5紙がまるまる1ページないしは2ページの特集を組み、なおかつ各紙それぞれの憲法に対する社論を反映して切り口が異なっていたことです。朝日は1ページ特集で、70年間の憲法を巡る議論を時期によって四つに分けました。毎日は、憲法改正草の根運動を展開する「日本会議」の詳細なリポートが中心。読売は1面トップから続く国会議員アンケートの詳報などです。
 以下に、各紙の憲法関連記事の主な見出しを、備忘を兼ねて書きとめておきます。いずれも東京本社発行の最終版です。


朝日新聞
・1面「押し付け憲法論は現実逃避」「きょう公布70年」大野博人編集委員
・5面(1ページ特集)「日本国憲法 70年の議論」/1947〜60年「第1の波」「噴出する復古的改憲論」/60年〜80年代「凪の時代」「経済成長、機運冷める」/90年代〜2004年「第2の波」「湾岸戦争国際貢献論」/2005年以降「第3の波」「改憲勢力が3分の2に」/「首相が9条に踏み込む可能性高い」渡辺治・一橋大名誉教授/「日本の閉塞感 改憲では解決しない」小熊英二・慶応大教授
・17面(オピニオン)「語り、歩んだ70年」憲法を考える/「自由な生活守る闘いの武器」脚本家小山内美江子さん/「改正論議の中 視線を未来へ」近畿大学准教授・大澤聡さん
・社会面トップ「憲法 私らしさ守るため」/「ひげ姿で乗務『認めて』」/「アイドルの恋 尊重」憲法13条/「PTA加入『強制的だ』」憲法21条1項
・社説「憲法公布70年 何を読み取り、どう生かす」/地域の民意を未来へ/全ての人が人らしく/問われる幸福追求権

毎日新聞
・1面「最低投票率 議論へ」「国民投票巡り憲法審」「憲法公布 きょう70年」
・12-13面(2ページ特集)
▽12面「日本会議が地ならし」「賛同署名 既に700万筆」/「歴史 宗教右派から誕生」「集票力 議員、期待せず」「資金力 『手弁当で活動』」「世論への影響 書籍やネット『心を触発』」「組織と運動 『寄り合い所帯』3・8万人」「政界との関係 安倍氏の再登板支援」/「国会の改憲議論は?」「今月再開 本格化は来年以降」なるほドリ
▽13面「改憲へ安倍自民執念」「複数案で国民投票視野」「18歳以上 18年6月から」/「賛否 全国で議員討論を」南部義典・元慶応大教授/表・歴代内閣と憲法
・社会面トップ「24条改正へ布石か」「自民検討 家庭教育支援法案」「家族の役割を固定化」/「日本会議 啓発強め」「理想は『サザエさん一家』」
・社説「憲法公布70年 土台を共有しているか」/「内外の新たな政治状況」/「『敵視』では前に進めない」

▼読売新聞
・1面トップ「憲法改正『必要』73%」「改正項目『自衛組織保持』最多」「国会議員アンケート」/「生前退位『特例法で』24%」「『皇室典範改正』は32%」
・2面「『生前退位与野党隔たり」「『全会一致』調整難しく」
・3面・スキャナー「改正項目 各党各様」「『自衛』『合区』与党にズレ」/「審査会 議論難航も」「党内まとまらず」
・10-11面(国会議員アンケート詳報)
 ▽10面「『改正』連携すれ違い」「自・公、民・共で温度差」/「国会発議『時期こだわらず』58%」/「統治改革 合意の可能性」待鳥聡史・京都大教授
 ▽11面「現行憲法『評価』大勢」「『押しつけ』論」「自民7割『賛同』民進は否定的」/「生前退位 議論注視」「『重いテーマ』無回答最多36%」/「『女性・女系天皇』賛成22%」「『女性宮家』創設 賛成33%」
・社説「憲法公布70年 新時代に即した改正を目指せ」「緊急事態や合区の議論深めたい」/国会の「不作為」正そう/立憲主義は維持される/民党は建設的な対応を

日経新聞
・1面「改憲 賛否が拮抗」「きょう公布70年 若年層前向き」本社世論調査
・4面(政治面)「改憲論議 見通せず」「衆参の審査会再開へ」「与野党の思惑交錯」/「生命・安全確保へ欠かせず」西修・駒沢大名誉教授/「まず現行憲法の課題共有」木村草太・首都大学東京教授
・8面(1ページ特集)「改憲論議 変遷の70年」/「『自主独立を』50年代」「経済優先『冬の時代』」「冷戦後 見直し再燃」/改憲論議 私はこう見る「改憲より経済政策」長谷川閑史・武田薬品工業会長/「9条改正の覚悟を」漫画家・弘兼憲史
・社会面トップ「平和憲法 薄れる原点」「横須賀、軍港は観光資源」「歴史に学ぶ意識 今こそ」
・社説「憲法に時代の風を吹き込むときだ」/戦後政治は9条の攻防/参院を「地方の府」に

産経新聞
・1面トップ「公布70年 制度疲労した憲法」「現状と矛盾も改正論議進まず」/「護憲派主張 もはや意味不明」極言御免・阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
・3面(総合)「改憲議論 避けてきた自民」「左派の批判…発言自体タブー」/「国民投票 最短2年後」/「GHQ“素人”が原案。押しつけ」
・社説(「主張」)「憲法公布70年 日本のかたち示す改正を」「『9条』先送りの暇などない」/自らの手に取り戻そう/お務めの明記が重要だ

東京新聞
・1面トップ「沖縄 誰が守る」「私たちの『ウルトラマン』どこ」「きょう公布70年」憲法70年を歩く(→最終面へ続く)「『怪獣』の侵害 体張る」
・2面-3面「いま読む日本国憲法 特別編」
 ▽2面・核心「人権と平和」「3原則 国民が磨き上げ 公布」「民間案反映 国会で充実」/「公布=『お披露目』の日」「施行日配慮、11月3日に」
 ▽3面「新憲法 万感」「70年前 都民大会10万人集う」/「勅語『文化国家』を理想」/「民主主義 実感の一日」川島高峰・明治大准教授
・社説「憲法公布70年 感激を忘れぬために」/戦争犠牲者を忘れるな/流血と無血二つの道/世に良い政府はない