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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

朝日、毎日、東京と読売、産経の報道量に顕著な差~「共謀罪」法案 在京紙の報道の記録(5)5月30日~6月15日まとめ

 6月15日の「共謀罪」法(改正組織犯罪処罰法)成立から少し時間がたってしまいましたが、法案の参院での審議が始まった翌日の5月30日付から6月15日付まで、東京発行の新聞各紙がどれくらいの報道をしたか、まとめてみました。対象は朝日、毎日、読売、日経、産経、東京の6紙。産経新聞は東京本社では夕刊を発行していないので、6社の条件をそろえるために朝刊のみでカウントしました。チェックしたのは記事のほか社説、国会での質疑の詳報の有無です。

 結果は以下の通りです。

▼朝日新聞 記事48本、社説2本、国会質疑詳報4回

▼毎日新聞 記事50本、社説1本、国会質疑詳報3回

▼東京新聞 記事69本、社説1本、国会質疑詳報5回

▼読売新聞 記事21本

▼産経新聞 記事20本

▼日経新聞 記事17本

 記事の本数は数え方の違いによって変わると思います。また、1本あたりの長短に関係なく、10数行の短信も1面トップの80行本文もすべて1本とカウントしました。ですので、ここでは大まかな傾向を読み取るのにとどめたいと思います。その上で明らかなのは、「共謀罪」に反対で、安倍晋三政権にも批判的な論調の朝日、毎日、東京3紙と、安倍政権を支持し、「共謀罪」法にも理解を示す読売、産経両紙では、顕著に報道量に違いが見られることです。

 この違いの要因の一つは、法案に対する反対意見や批判意見を取り上げるか否かです。以前、衆院での審議の期間に、朝日、毎日、読売の3紙に限って関連記事の掲載を調べました。その際のまとめと基本的には同じことが言えると思います。朝日、毎日、東京は法案への賛成意見も含めて、識者の多様な意見を断続的に紹介していますが、読売、産経は反対意見は主には国会での野党主張程度でした。

 第2次安倍晋三政権になって、新聞の論調が政権に批判的か、政権支持かで2極化したと感じていました。特定秘密保護法でも安全保障法制でもそうでした。この「2極化」が情報量という観点からはどうなっているか、検証の試みとして各紙の記事の掲載量を調べてきましたが、この「共謀罪」に関しては、かなり明確に相関関係があるといってよいと思います。

 

※参考過去記事

▽5月22日 「共謀罪」報道、朝日、毎日、読売各紙の記事量に開き

 http://news-worker.hatenablog.com/entry/20170522/1495381089

▽6月3日 「共謀罪」法案 在京紙の報道の記録(1) 5月30日―6月3日

 http://news-worker.hatenablog.com/entry/20170603/1496467657

▽6月7日 「共謀罪」法案 在京紙の報道の記録(2) 6月4―6日 

 http://news-worker.hatenablog.com/entry/20170607/1496791248

▽6月11日 「共謀罪」法案 在京紙の報道の記録(3) 6月7―11日

 http://news-worker.hatenablog.com/entry/20170611/1497188641

▽6月14日 「共謀罪」法案 在京紙の報道の記録(4) 6月12―14日

 http://news-worker.hatenablog.com/entry/20170614/1497449253

▽6月16日 悪法は民主主義の基本を否定して誕生〜「共謀罪」法成立、在京紙の報道の記録

 http://news-worker.hatenablog.com/entry/20170616/1497538924