沖縄の米軍ヘリ炎上と衆院選

 衆院選について、10月12日付の新聞各紙朝刊は一斉に序盤の情勢調査の結果を報じました。各紙とも、自民党は堅調、希望の党は追い風なく伸び悩み、立憲民主党に勢いーなどで概ねそろっています。
 一方で内閣支持率が伸びたわけではなく、そういう意味では、必ずしも安倍晋三政権が高い信任を得ているわけではないようです。5年近くの「アベ政治」が問われる構図に変わりはありません。
 この選挙は「自民・公明」と「希望・維新」、「立憲民主・共産・社民」の3極構造で争われるとされますが、憲法改正や安保法制では希望の党の主張は自民党と近く、選挙後の大連立の可能性も指摘されている中では、自民党の補完勢力と言ってもいいかもしれません。視点をずらせば、「自民党と補完勢力」VS「立憲民主党など非自民勢力」の対決構図です。公約を比較して感じるのは、最大の対決軸は憲法、中でも9条の改悪を許すのかどうかだということです。
 各紙の調査では、投票先をまだ決めていないとの回答も少なくなく、22日の投開票日までは、何かあれば短期間のうちに情勢が一変する可能性もあります。公示直前の野党第1党分裂―新党結成はこれまでの選挙ではなかったことですし、著名な無所属候補も多くいます。そうしたことにも留意しながら、今後の推移を見ていこうと思います。
 以下は、東京発行の6紙の情勢調査の見出しです。毎日新聞、東京新聞は共同通信の配信記事、産経新聞は自社取材に共同配信の配信内容を加味。東京新聞を除いた5紙は1面トップでした。

朝日新聞「自民堅調 希望伸びず/立憲に勢い」
毎日新聞「自公300超うかがう/希望 伸び悩み/立憲に勢い」
読売新聞「自民 単独過半数の勢い/希望 伸び悩み/立憲民主は躍進公算」
日経新聞「与党、300議席に迫る勢い/自民、単独安定多数も/希望、選挙区で苦戦」
産経新聞「自公300議席うかがう/立憲民主 倍増も 希望、伸び悩み」
東京新聞「自公堅調、希望伸び悩み/投票先未定5割超」

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 この朝刊紙面には、もう一つ重要なニュースが載っていました。

 沖縄本島北部で11日夕方、飛行中の米軍普天間飛行場所属のCH53E大型ヘリが訓練中に出火。東村高江の米軍北部訓練場に近い民有の牧草地に不時着して炎上しました。住宅にも近く「あわや」の事故でした。

ryukyushimpo.jp

 沖縄配備の米軍機の事故は頻発しています。昨年12月には普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機オスプレイが浅瀬に不時着し大破(沖縄のメディアは「墜落」と報じています)。今年8月にはオーストラリア沖でオスプレイが墜落し死者も出ました。ほかに大分空港などで緊急着陸も繰り返しています。そのような米軍機が日常的に飛び交っている沖縄では、住民がむき出しの危険にさらされています。沖縄には今現在、人命が危険にさらされているリアルな危機があります。今回の事故は、あらためて沖縄県外にもそのことを告げるものです。

 安倍政権は、事故が起きれば遺憾の意を表明し、時には抗議をしてみせるものの、抜本的な安全確保策である基地機能の縮小・撤去には冷淡です。同じ沖縄県内の名護市辺野古では、沖縄県の翁長雄志知事の反対に耳を貸そうともせず、普天間代替の恒久的な新基地の建設を強行しています。沖縄の基地集中の問題は、沖縄という一地域だけの問題ではなく、日本の安全保障という国家政策の問題です。いつまで沖縄に過剰な負担と危険を強いるのか、衆院選では全国で争点として問われるべきだろうと思います。

 東京発行の一般紙各紙では、この事故の扱いは東京新聞が1面トップ、朝日、毎日も1面なのに対し、読売は社会面、産経は第2社会面と扱いは分かれました。以下に各紙の主な記事の見出しを書きとめておきます。

▼朝日新聞
本記・1面「沖縄 米軍ヘリ炎上・大破/高江 小学校から2キロ」
第2社会面「米軍の事故『またか』/ヘリ炎上 住民、不安訴え」/「地位協定の壁 度々」/「再発防止の徹底 米軍に申し入れ 沖縄防衛局」表・国内で起きた米軍機の主な事故やトラブル

▼毎日新聞
本記・1面「沖縄米軍ヘリ不時着、炎上/けが人なし 機内火災、民有地に/北部訓練場付近」
社会面準トップ「『自宅に落ちていたら…』/04年大学墜落機と同型」表・沖縄での主な米軍機事故

▼読売新聞
本記・社会面準トップ「沖縄米軍ヘリ炎上、大破/けが人なし 訓練場外に不時着」/「首相『大変遺憾だ』」

▼日経新聞
本記・社会面準トップ「米軍ヘリが事故、炎上/沖縄の訓練場外 04年墜落と同系機」/「『生きた心地しない』周辺住民」/「事故は大変遺憾 首相」

▼産経新聞
本記・第2社会面「米軍ヘリ 訓練中に出荷/緊急着陸、大破 けが人なし」

▼東京新聞
本記・1面トップ「米軍ヘリ 沖縄で炎上/北部訓練場近く 民間地に着陸/飛行中出火、けが人なし」
2面「自民『辺野古移設進める』 希望・維新『地位協定見直す』 共産『基地ない沖縄』 立憲『移設再検証』/基地問題 衆院選でも争点」表・沖縄での主な米軍機事故
2面「翁長知事『強い憤り』/相次ぐ事故、米に抗議へ」/「真相究明阻む日米地位協定」/「高江ヘリパッド 住民再三抗議 国が建設強行」
社会面準トップ「『近く通過 危なかった』/民家から数百メートル 住民、不安訴え」/「『米軍 早期撤退を』/基地反対団体 憤り」

 

 沖縄の基地集中と衆院選については、以下の過去記事もご覧ください。

news-worker.hatenablog.com

news-worker.hatenablog.com

 

※追記 2017年10月13日7時25分

 10月13日未明にいったんアップした内容を一部加筆・修正しています。