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自民堅調だが安倍内閣の支持は盤石ではない~衆院選、序盤から中盤の情勢

 衆院選の序盤から中盤の情勢がいくつかのマスメディアで報じられています。
 毎日新聞は10月16日付の朝刊で、13~15日に実施した世論調査に取材情報を加味した分析の結果を報じました。自民党が小選挙区、比例代表とも堅調で、単独で300議席を超える可能性があるとしています。希望の党は最大で54議席にとどまる見通し。紙面では「希望さらに失速」の見出しがついています。立憲民主党は公示前の15議席を大きく上回る40議席台を確保しそうとのことです。
 時事通信は15日夜に情勢記事を送信。「自民党は280議席近くを視野に入れ、公明党を加えた与党で300議席超をうかがう勢い」とし、希望の党については「本拠地の東京でも伸び悩み、公示前勢力(57議席)を確保する程度にとどまる見通し」としています。立憲民主党は「公示前の15議席から40議席程度まで伸ばす可能性がある」と伝えました。
 朝日新聞は14日付の朝刊に序盤情勢の記事を掲載。全289の選挙区を2回に分けて10、11日に144選挙区、12、13日に残りの145選挙区を調査した結果として、「①自民党と公明党を合わせた与党で300議席をうかがう勢い②希望の党は、東京で候補者を立てた23すべての選挙区で先行を許す―などの情勢」と伝えています。
 NHKは16日夜に13~15日に実施した世論調査の結果を報道。予想獲得議席数には触れていませんが、政党別の支持率は自民党32・8%、希望の党5・4%、公明党4・3%、共産党3・4%、立憲民主党6・6%、日本維新の会1・7%、社民党0・6%、日本のこころ0・1%、「特に支持している政党はない」34%でした。立憲民主党が希望の党を上回っているのが目を引きます。
 各マスメディアが報じた情勢は、大まかに言えば「自民堅調」「希望失速、伸び悩み」「立憲民主に勢い」という点で共通しています。公示直後と傾向は変わっていません。

mainichi.jp

www.jiji.com

www.asahi.com

www3.nhk.or.jp 

 興味深いのは、自民党の堅調ぶりの要因です。自民党自体は堅調ですが、安倍晋三政権への支持はそうとは限らないようです。NHKの調査結果によると、安倍内閣の支持率は先週の調査よりも2ポイント上がって39%、「支持しない」と答えた人は、1ポイント下がって42%でした。支持率がわずかに上がったとはいえ、不支持が支持を上回っています。
 毎日新聞の世論調査では、「衆院選のあとも、安倍晋三さんが首相を続けた方がよいと思いますか」との問いに「よいと思う」と答えたのは37%なのに対して、「よいとは思わない」は47%でした。支持政党別に見れば、自民党支持者の間では76%が「よいと思う」で、立憲民主支持層や共産支持層では「よいとは思わない」が88~89%でした。

 現時点では、自民党の支持は堅調に推移していますが、安倍内閣の支持率は上昇基調にはなく、今後への期待度も決して高くありません。民進党が公示直前になって分裂したことを初めとする野党側の混乱が、相対的に自民党を浮上させている可能性が高いように思います。実際に、新聞各紙には、「マスコミで報じられているような強さは感じない。自民党に追い風はない」などとする自民党関係者の話などが載っています。選挙戦の終盤は、余談を持たずに成り行きを見ていこうと思います。

 

 ※追記 2017年10月17日8時30分

 各社の情勢記事へのリンクを加えました。