またも世論が押し切られた―「共謀罪」法案が衆院通過

 既にマスメディアでも大きく報道されている通り、かつての「共謀罪」と本質的には変わりがない「テロ等準備罪」(政府呼称)を新設する組織犯罪処罰法改正法案が5月23日、衆院を通過しました。本会議で自民、公明両党に加え日本維新の会が賛成。民進、共産両党が反対し、自由、社民両党は本会議を欠席しました。今後は参院で審議されます。採決そのものに民進、共産各党などが反対しましたが、与党が押し切りました。19日の衆院法務委員会に続いて、採決の強行が繰り返されました。
 ここでは、19日の委員会採決から23日の衆院本会議までの間の週末に実施された世論調査の中から、「共謀罪」法案に関連する結果を質問文とともに書きとめておきます。
 目に止まったのは毎日新聞社共同通信社日本テレビ、ANNがそれぞれ実施した計4件。質問の尋ね方は様々ですが、賛否を聞いた3件ではいずれも結果は賛否が拮抗しており、しかも賛成は多くても4割に達していません。ANN調査では、法案の理解度について「ある程度理解」「よく理解」を合わせて31%しかなく、「あまり」「まったく」を合わせて「理解していない」は65%に上っています。毎日新聞共同通信日本テレビの調査では、今国会で成立させることを疑問視する回答が、成立を支持する回答を上回りました。19日の委員会採決についてのブログ記事で、私は「採決強行で押し切られたのは世論」と書きましたが、同じことが繰り返されたというほかないと感じています。
 以下は世論調査の結果の引用です。数字の単位はいずれも%です。

毎日新聞】5月20、21日実施
 ▼「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が国会で審議されています。この法案について、あなたの考えはどれに近いですか。
 今国会で成立を図るべきだ 17
 今国会成立にこだわらず議論を続けるべきだ 52
 廃案にすべきだ 14

共同通信】5月20、21日実施 ※丸かっこは前回
 ▼政府は犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を、今国会で成立させる方針です。政府はテロ対策に不可欠としていますが、人権が侵害されかねないとの懸念もでています。あなたは、この法改正に賛成ですか、反対ですか。  
 賛成 39・9(41・6)
 反対 41・4(39・4)
 分からない・無回答 18・7(19・0)

 ▼与党はこの法案を19日の衆院法務委員会で野党が抗議する中で採決しました。あなたは、この採決についてどう思いますか。
 よかった 29・6
 よくなかった 54・4
 分からない・無回答 16・0

 ▼あなたは、この法案について政府が十分に説明していると思いますか。         
 十分だと思う 15・3
 十分だと思わない 77・2
 分からない・無回答 7・5

 ▼あなたは、この法案を今国会で成立させるべきだと思いますか。            
 成立させるべきだ 31・0
 成立させる必要はない 56・1
 分からない・無回答 12・9

日本テレビ】5月19―21日実施
 ▼「共謀罪」の趣旨を含んだテロ等準備罪を新たにつくる、「組織犯罪処罰法改正案」の審議が、国会で行われています。政府・与党が、東京オリンピックパラリンピックの開催を控えてテロ対策などの面で必要だと主張しているのに対し、野党側は、一般市民の監視につながるなどと反対しています。あなたは、この法案に賛成ですか、反対ですか?
 賛成 36・1
反対 35・8
わからない、答えない 28・1

 ▼あなたは、この法案を、いまの国会で成立させることでよいと思いますか、思いませんか?
 思う 34・3
 思わない 43・6
 わからない、答えない 22・1

【ANN=テレビ朝日系列】5月20、21日実施
 ▼安倍内閣が提出した、過去に廃案になった共謀罪の内容を改め、要件を変えた「テロ等準備罪」を設ける法案が、国会で審議されています。あなたは、この法案について、どの程度理解していますか?次の4つから1つを選んで下さい。
 よく理解している 3
 ある程度理解している 28
 あまり理解していない 46
 まったく理解していない 19
 わからない、答えない 4

 ▼この法案は、組織的な犯罪を計画し準備を始めた段階で、処罰することが柱です。あなたは、この法案に賛成ですか、反対ですか?
 賛成 32
 反対 36
 わからない、答えない 32

 ▼この法案をめぐっては、犯罪の計画準備段階で処罰の対象となることから、人権侵害や捜査機関による乱用の恐れがあるとの指摘があります。あなたは、そう思いますか、思いませんか?
 思う 56
 思わない 21
 わからない、答えない 23


 2524日付けの東京発行新聞各紙の朝刊1面は以下の通りです。いずれも東京本社発行の最終版です。