安倍内閣支持層は「モリカケ」に関心ない(毎日新聞調査)~支持率が4割~3割で下げ止まる理由

 全国紙の新聞社や通信社、NHK、民放各局はおおむね月に1回、定例の電話世論調査を行っています。各社とも最初に訪ねるのが、現在の内閣を支持するかどうかの内閣支持率です。5月の世論調査の安倍晋三内閣の支持率は、目に止まったところでは以下のようでした。

※カッコ内は4月調査比、「P」はポイント
※1月以降の安倍内閣支持率の推移は以下にまとめています 

安倍晋三内閣の支持率の推移(2018年1月~) ※随時更新 - ニュース・ワーカー2

▼毎日新聞 5月26、27日実施
 「支持」31%(1P増) 「不支持」48%(1P減) 「関心がない」19%(1P減)
▼日経新聞・テレビ東京 5月25~27日実施
 「支持」42%(1P減) 「不支持」53%(2P増)
▼朝日新聞 5月19、20日実施
 「支持」36%(5P増) 「不支持」44%(8P減)
▼産経新聞・FNN(フジテレビ系列) 5月19、20日実施
 「支持」39・8%(1・5P増) 「不支持」48・5%(5・6P減)
▼ANN(テレビ朝日系列) 5月19、20日実施
 「支持」34・1%(5・1P増) 「不支持」51・1%(4・1P減)
▼読売新聞 5月18~20日実施
 「支持」42%(3P増) 「不支持」47%(6P減)
▼共同通信 5月12、13日実施
 「支持」38・9%(1・9P増) 「不支持」50・3%(2・3P減)
▼JNN(TBS系列) 5月12、13日
 「支持」40・6%(0・6P増) 「不支持」57・7%(0・7P減)
▼NHK 5月11~13日
 「支持」37・8%(0・1P増) 「不支持」43・5%(1・0P減)

 いずれの調査結果も「不支持」が「支持」を上回ってはいますが、支持率は増加ないしは横ばい。水準としては42~31%です。ひところに比べれば支持率は下がったとはいえ、4割~3割の人は安倍内閣を支持し、これ以上の支持率の低下は見られない、という状況です。
 一方で、これはこのブログの以前の記事でも触れたことですが、個別の質問と回答状況を見ていくと、加計学園、森友学園や財務省のセクハラ問題などでは厳しい見方が示されています。一例を挙げれば、加計学園の獣医学部新設を巡って、朝日新聞の5月19、20両日の調査では、疑惑は晴れたと思うかとの質問に「晴れた」と答えたのはわずか6%なのに対し、「晴れていない」は83%にも上ります。その1週間前のJNNの調査でも、74%が「疑惑は深まった」と答えています。いちばん直近の毎日新聞の調査でもこのことは変わりがなく、安倍首相が2015年2月に加計学園の加計孝太郎理事長と面会して獣医学部新設計画の説明を受けていたとの愛媛県文書の記載に対し、学園の構想を知ったのは17年1月だったとする首相の説明については「信用できない」との回答が70%に上った一方で、「信用できる」は14%にとどまりました。

news-worker.hatenablog.com

  加計学園の獣医学部新設問題で言えば、安倍首相の主張へ理解を示す人は2割にも満たないのに、内閣支持率となると4割ないし3割で下げ止まるのはなぜなのか。なぜ両者は連動しないのか。上記の過去記事では、わたしは仮説として「安倍政権が政治倫理面でタガが外れているように思えても、『自民1強』支持の世論は固く、そのことが結果的に『安倍1強』を持続させているのではないか」と書きました。
 その後、毎日新聞が世論調査結果を分析した記事の中で「なるほど」と思えるデータを紹介しているのを目にしました。紙面では5月29日付朝刊5面(東京本社版)に掲載されている「内閣支持 反転険しく/今月横ばい 自民支持層 鈍い回復」の見出しの記事です。見出しにあるように、記事の大意は、内閣支持率は下げ止まったものの、「詳細に分析すると、不支持が支持を上回る状況はなかなか変わりそうにない」ということです。その大きな要因は、自民支持層の中の内閣支持率が以前の水準までには回復していないことだと指摘しています。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、論点を整理すると、以下の通りです。内閣支持率が不支持率を再逆転するのは難しそうだが、だからといって、支持率が下がり続けるわけでもないのはどうしてか―。
 この記事の中に、内閣支持層と不支持層の回答状況を比較した興味深いデータが紹介されています。今の政治で最も重視する課題を10項目から選んでもらったところ、内閣支持層、不支持層とも最多は「年金・医療」(内閣支持層は24%、不支持層は32%)で同じでした。しかし「森友学園と加計学園の問題」は、内閣不支持層は9%で4位だったのに対し、内閣支持層は0%。つまり安倍内閣を支持する人にとっては、「モリカケ」への関心は極めて低いということです。ちなみに不支持層の2位は原発・エネルギー政策12%、3位は子育て支援11%。支持層の2位以下は子育て支援15%、安全保障関連法11%、アベノミクス9%とのことです。
 これはつまり、こういうことなのではないかと感じます。安倍内閣を支持する人たちは、個別の質問では、やはり安倍首相の答弁には無理があることは否定できないので疑惑は「深まった」「晴れていない」、首相の説明は「信用できない」と答えることもあります。しかし、そもそも関心がないので、安倍内閣を支持するかどうかの判断にはまったく影響がない。「モリカケ」よりは安全保障や株価でしょ、と考えている―。安倍内閣の支持が4割から3割で下げ止まるということは、言い方を変えれば、この社会の4割から3割の人たちは「モリカケ」に関心がない、ないしは関心は極めて低いということでもあるのだろうと思います。以上も、もちろん仮説です。
 森友学園への国有地売却、加計学園の獣医学部新設を巡って、安倍政権下で起こっていることは、民主主義の根幹に関わることです。疑惑がすべて解明されたわけでもありません。マスメディアの課題ということで言えば、やはり故原寿雄さんの「ジャーナリズムはマンネリズムとの戦い」ということに行き着くように思います。粘り強く、何があったのか、何が起きているのかを探り、報じていくしかありません。

 

【追記】2018年6月11日8時15分

 当初、タイトルを「安倍内閣支持層は『モリカケ』に関心ゼロ(毎日新聞調査)~支持率が4割~3割で下げ止まる理由」と、「関心ゼロ」としてアップしましたが「関心ない」に差し替えました。毎日新聞の調査では、最も重視する課題を一つ選ぶことになっており、内閣支持層で「モリカケ」を選んだ人はゼロですが、他の項目を選んだ人でも、複数回答が可能なら2番目、3番目の関心事項に入った可能性はあるかもしれません。「ゼロ」と言い切る表現はちょっときつかったと思います。ただ、「モリカケ」を選んだ人が9%いる内閣不支持層との違いは明らかですので「関心ない」としています。