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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

オウム真理教・松本智津夫死刑囚ら7人の刑執行

 1995年の地下鉄サリン事件を始めとする一連のオウム真理教事件で死刑が確定していた松本智津夫(教祖名・麻原彰晃)死刑囚(63歳)ら13人のうち、7人の刑が7月6日、執行されました。東京発行の新聞各紙も6日付夕刊で大きく報じています。
 今年1月にすべての被告の裁判が終結したことから、執行は時間の問題と報じられていました。その意味では、このタイミングでの執行に驚きはありません。ただ、1度に7人もの死刑執行は、やはりインパクトがあります。敗戦後、独立を回復して以後の日本国による死刑執行としては、1日7人は最多でしょう。この後、残り6人の執行もさほど先のことではないはずです。

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 新聞各紙の夕刊は、7人執行の事実を追い、ごく限られた事件関係者の反応を取材して載せるのが精いっぱいだっただろうと思います。事件の今日的な意味を深く掘り下げて考えるような記事は、7日付朝刊以降の掲載になるでしょう。
 わたしが個人的に思うのは、事件そのものの衝撃もさることながら、地下鉄サリン事件以後に繰り広げられた“オウム狩り”とでも言うような大掛かりな捜査のことです。オウム真理教の信者なら、マンションの駐車場に車を止めれば「住居侵入」で、カッターナイフを持っていれば「銃刀法違反」で現行犯逮捕する、そういう捜査が続きました。「社会防衛のため」という意識が共有されていたのでしょうか。そうしたやり方を社会が容認し、マスメディアも異議を唱えなかったように思います。そのことが今日のわたしたちの社会に、どのように影響しているのか。当時、あの事件のただ中の時間を記者として過ごしていた一人として、そのことはきちんと考えなければならないと思います。