沖縄県の米軍普天間飛行場を県内の名護市辺野古に移設することへの是非を問う沖縄県民投票が、県内全自治体で実施される見通しになりました。宜野湾、沖縄など5市長が不参加を表明していましたが、県議会と玉城デニー知事が動き、2択から3択に変更することで各党が合意して決着。5市長も受け入れざるを得ないようです。
5市が不参加では、県民の約3割が投票権を奪われることになるところでした。辺野古移設推進の立場からは「そのような県民投票に意味があるのか」との言説も出ていた一方で、県条例で定めた投票事務を市長が拒否できる法律上の根拠はなく、不参加は憲法違反との指摘もありました。5市長は安倍晋三政権寄りとの指摘があり、また5人の中で辺野古移設反対を表明している首長はいません。
事態を動かす原動力になったのは、27歳の青年、「辺野古」県民投票の会代表の元山仁士郎さんが105時間にわたって行ったハンガーストライキだったことに間違いないでしょう。県民投票の完全実施を求める訴えでした。辺野古移設に反対でも賛成でも、皆が意思表示として投票できるようにと。自分に意見はあっても、他者の意見を「間違っている」と攻撃するのではなく、その意見を聞き自分も意見を述べる、そうやって話し合い、みんなで決めていくことが大事だと、そのことをわたし(58歳)もあらためて元山さんに教えられた気がします。
沖縄タイムスと琉球新報の25日朝アップの記事をまとめて紹介します。
■沖縄タイムス
・「県民投票『3択』で全県実施へ 沖縄県議会の与野党、条例改正で合意」
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/376984
・社説「[県民投票 全県実施へ]与野党の歩み寄り評価」
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/376982
■琉球新報
・「県民投票全県実施へ 与野党、3択合意 5市長参加の意向 29日に条例改正」
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-866055.html
以下は、25日午後アップの記事です。
■沖縄タイムス「元山さん『よかった』沖縄県民投票、全県実施へ 辺野古ようやく議論できる」
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/376990
■琉球新報「玉城知事『積極的に投票に参加してほしい』 県民投票全県実施を受け期待」
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-866436.html
以前の記事にも書きましたが、県民投票で示される民意は安倍政権だけにではなく、日本本土に住む日本の主権者すべてにも向けられるのだと、わたしは受け止めています。今度は本土で、意見の違いを認め合いながら、沖縄の人たちの民意に応える結論を見いだしていく番だと思います。
※参考過去記事 元山さんの言葉に接してみてください
※追記 2019年1月26日9時30分
琉球新報の26日付の社説です。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-866630.html
この間、党利党略の思惑で動いているように見えた政治家たちが、ぎりぎりのところで分別を働かせ、落ち着くべきところに落ち着いたということだろう。「全有権者に等しく投票権を保障すべきだ」という県民世論が後押ししたのは間違いない。