統計不正「納得できない」「信用できない」が圧倒、安倍内閣支持率は上昇傾向~1月の世論調査結果から

 1月に実施されたマスメディア各社の世論調査の結果のうち、目に止まった主なものを書きとめておきます。
 まず、安倍晋三内閣の支持率は以下の通りです。「支持」の水準は調査によって最大10ポイントの差がありますが、前回の昨年12月調査と比べて支持が増え、不支持が減っていること、支持が不支持を上回っていることなど、傾向はおおむね共通しています。

【内閣支持率】※カッコ内は前月比、Pはポイント
・読売新聞 1月25~27日実施
 「支持」49%(2P増) 「不支持」38%(5P減)
・日経新聞 1月25~27日実施
 「支持」53%(6P増) 「不支持」37%(7P減)
・朝日新聞 1月19、20日実施
 「支持」43%(3P増) 「不支持」38%(3P減)
・産経新聞・FNN 1月19、20日実施
 「支持」47・9%(4・2P増) 「不支持」39・2%(4・2P減)
・NHK 1月12~14日実施
 「支持」43%(2P増) 「不支持」35%(3P減)
・共同通信 1月12、13日実施
 「支持」43・4%(1・0P増) 「不支持」42・3%(0・8P減)

 現在進行で事態が動いているニュースとしては、厚生労働省が企業の賃金や労働時間を把握する「毎月勤労統計」で不正な調査をしていた問題が取り上げられました。組織的な隠蔽を否定する厚労省の説明に対して、1月12、13日実施の共同通信調査では「納得できない」が69%と「納得できる」の18%を圧倒。1月25~27日の読売新聞調査ではそれぞれ「納得できる」85%に対し「納得できない」6%となっています。異なる調査なので、2週間で「納得できない」がさらに増加した、とはただちには言えませんが、一貫して「納得できない」との受け止めが圧倒的に多いことは間違いないと思います。
 政府の統計を信用できるかどうかについても、「信用できない」との回答は共同通信の調査では78%、1週間後の産経新聞・FNN調査も78%、その1週間後の日経新聞調査で79%と、一貫して8割に近い高い割合です。
 信用できるかどうかをストレートに聞くのではなく、少しひねったのは朝日新聞調査で、政府の統計への信頼度が変わったかどうかを聞いています。結果は信頼度が「下がった」48%の一方で「変わらない」44%。ほかの調査結果と合わせて考えると、もともと政府統計を信頼していない層が相当程度あることがうかがえるようで、興味深く感じました。

 これらの調査結果に対するSNS上の反応には、統計不正では政府の対応に納得できない、政府の統計を信用できない、との回答が圧倒的に多いのに、内閣支持率が調査によっては6ポイント(前回比)も上がったのはなぜか、との疑問の声が少なからず目に付きました。統計データは政府の政策立案の前提になる資料であり、そこに不正があったとすれば国家は根底から揺らぐことになります。ことの重大さに鑑みれば、最終的な責任は政府の責任者、すなわち首相が負うべきだとの考え方はもっともであり、責任論としても分かりやすいのですが、内閣支持率には反映されていないようです。
 仮定であり推測ですが、統計不正には怒りを感じているし、政府の統計には信頼を置いていない人は多いけれども、安倍政権を支持するかどうかは別の問題であり、ほかの様々な要因を総合して態度を決めている、ということなのかもしれません。
 各調査とも、内閣を支持するかどうかを最初に尋ねています。試しに個別のトピックスに関する質問を先にして、最後に内閣を支持するか否かを尋ねれば、支持率の数字は変わるはずだ、との指摘もSNSで目にしました。このやり方で、支持率がどう変わるか、わたしも興味がありますが、ただ毎回、調査のたびに内閣支持率を調べる前提条件が異なることになってしまい、継続調査の意義が薄れてしまいます。現実的ではないのでしょう。
 以下に、統計不正についての各調査の質問と回答状況を書きとめておきます。

【統計不正】
■読売新聞 1月25~27日
・厚生労働省は、「毎月勤労統計」の調査手法が不適切だった問題について、職員が不適切だと知りながら対応しなかったとする一方、組織的な隠ぺいはなかったと説明しています。この説明に、納得できますか。
 納得できる 6%
 納得できない 85%
・勤労統計など、国の統計を不適切に処理していた問題は、国の省庁の信頼性に影響すると思いますか。
 影響する 80%
 影響しない 12%

■日経新聞 1月25~27日
・厚生労働省の「毎月勤労統計」で不適切な調査を続けてきたことが明らかになりました。あなたは政府の発表する統計を信用できますか、できませんか。
 信用できない 79%
 信用できる 14%

■朝日新聞 1月19、20日
・勤労統計の問題についてうかがいます。厚生労働省の毎月の勤労統計の調査方法に不正があり、のべ2千万人以上の雇用保険などが少なく支給されていました。あなたは、勤労統計が不正に調査されていたことは、大きな問題だと思いますか。それほどでもないと思いますか。
 大きな問題だ 82%
 それほどでもない 13%
・勤労統計が不正に調査されていた問題や、その後の政府の対応を受けて、政府が出す統計データへの信頼度はどうなりましたか。上がりましたか。下がりましたか。それとも、変わりませんか。
 上がった 3%
 下がった 48%
 変わらない 44%

■産経新聞・FNN 1月19、20日
・厚生労働省が「毎月勤労統計」について15年前から一部で不適切な手法で調査を行っていたことに関して
《政府の統計を信頼できるか》
信頼できる 12.1%
信頼できない 78.2%
《この15年間の歴代厚労相に対して報酬の一部返上など何らかのペナルティーが必要だと思うか》
思う 59.6%
思わない 30.4%

■共同通信 1月12、13日
・厚生労働省の「毎月勤労統計」で調査方法が不適切だったことが分かりました。この影響で、雇用保険などの給付額が本来もらえる額より少なかった人は延べ約1970万人で、不足の総額は約530億円に上ります。根本匠厚生労働相は全対象者に不足分を追加支給すると表明する一方で、組織的な隠蔽は否定しました。あなたは、根本厚労相の対応や説明に納得できますか、納得できませんか。            
 納得できる 18・0%
 納得できない 69・1%
・毎月勤労統計は政府や民間の経済見通しなどに幅広く活用されている重要な政府統計です。あなたは、毎月勤労統計の不適切調査が発覚したことを受けて、政府統計についてどう思いますか。
 信用できる 10・5%
 信用できない 78・8%