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統計不正が安倍内閣の支持率に影響しないのはなぜ?

 先週末実施の世論調査の結果が報じられています。安倍晋三内閣の支持率は次の通りです。「支持」が微増、「不支持」が微減との傾向は一致しています。
 ※カッコ内は前回1月調査との比較。ただし毎日の前回調査は昨年12月。Pはポイント
・毎日新聞 2月2、3日
  「支持」38%(1P増) 「不支持」39%(1P減) 「関心がない」22%(1P増)
・共同通信 2月2、3日
  「支持」45・6%(2・2P増) 「不支持」41・1%(1・2P減)
・JNN 2月2、3日
  「支持」52・8%(2・0P増) 「不支持」44・3%(1・2減)

 ここのところ、統計不正で厚生労働省の長年にわたる不正と、その不正をめぐる調査のずさんさが次々に明らかになっており、さらには総務省の統計でも調査方法の不正が明らかになる事態になっています。統計という国の政策の根幹にかかわるデータの信用性が揺らぎ、さらにはアベノミクスの虚構性まで取り沙汰されているというのに、内閣支持率がわずかとはいえ上がる(あるいは下がらない)のはなぜでしょうか。
 統計不正問題に対しては、共同通信調査では政府の対応について「不十分だ」との回答は83・1%に上り、毎日新聞調査でも統計への信頼が「揺らいだ」とする回答は75%に達しています。一方で、根本厚生労働大臣が辞任すべきかどうかの質問には、共同通信調査では「辞任すべきだ」46・3%は「辞任する必要はない」42・2%を4・1ポイント上回っただけです。JNN調査になると、結果は逆転して「辞任すべき」35%に対して「辞任する必要は無い」46%と11ポイントも上回っています。統計不正問題について世論は「これでいい」と思っているわけではないものの、内閣の責任を厳しく問うべきだとは必ずしも考えていない、ということでしょうか。
 統計不正問題が内閣支持には影響しない要因として、共同通信の新聞向け配信記事は「自民党内では、発覚後の対応が後手に回っているとはいえ、事実究明と再発防止を優先させる政権の方針に一定の理解があるとの読みがある」と指摘し、与党幹部の「今回の問題は消えた年金とは違う。金額も対象となる人も限定的だ」との言葉を紹介しています。

 統計不正問題に対してわたしは「いくら追加支給があるのか」といった問題にとどまらないと思うのですが。

※参考過去記事

news-worker.hatenablog.com

 統計不正そのものへの評価は厳しくても、内閣支持率には影響がない状況は前月から続いています。