沖縄の自己決定権と「本土」の責任、当事者性~沖縄県民投票の地方紙、ブロック紙社説の記録

※「『本土も当事者』おおむね共通~沖縄県民投票の地方紙、ブロック紙社説」から改題しました(2月28日)

 2月24日の沖縄県民投票の結果に対しては、日本本土の地方紙、ブロック紙も社説、論説で取り上げています。ネット上でチェックできたものをまとめました。
 ほとんどの社説、論説は、県民投票によって名護市辺野古の沿岸部の埋め立てに反対の民意が明確に示されたと意義付け、日本政府は埋め立て工事を中止して沖縄県と協議するよう求めています。外交、安保は国の専管事項との日本政府の主張に対しても、多くの社説、論説が疑問を提示し、また埋め立て予定地の一部に軟弱な地盤があり工期、費用とも大幅に増大すること、そのことを政府が公表していなかったことも指摘しています。
 注目したいのは、「今後問われるのは、事実上、基地を沖縄に押し付けてきた本土の姿勢だ」(京都新聞)、「私たち本土の住民も、沖縄の基地負担の現状と投票結果を重く受け止め、いま一度、日本全体の問題として考えたい」(西日本新聞)などと、本土の側も問題の当事者であると受け止めている点もおおむね共通していることです。普天間飛行場の移設を始め、基地の過剰集中の問題と沖縄の民意を考える際のキーワードは、地域のことは自分たちで決める「自己決定権」です。本土の地方紙で直接、この言葉を用いている社説、論説は決して多くはないようですが、国と地方の関係が問われていることに、問題意識を共有しようとしていると感じます。
 一方で、では工事を中止して、その後、本土側もわが事として考える際に、どう解決を図るのか、どんな選択肢があるのかを明確に示している社説や論説は見当たらないようです。普天間飛行場の代替機能を持つ新基地の建設場所について、沖縄の民意を尊重せよとの主張から言えば、再検討してもやはり沖縄しかない、というのは論外でしょう。では沖縄以外の日本本土のどこかの地域が引き受けるのか、国外移転を米国に求めるのか、いっそ日米安保条約=日米軍事同盟の見直しに進むのか―。いずれは議論が避けられないと思いますし、逆に言えば本土でそうした議論がなかったからこそ、沖縄に一方的に基地が押し付けられることが続いてきたのではないかと、わたしは考えています。
 今後の議論のありようを考える意味で、地方紙・ブロック紙の社説の中に、辺野古の埋め立ての即時中止と計画の白紙撤回が政府の現実的な選択肢であるとしつつ、在日米軍基地の必要性は明確に指摘している河北新報(26日付)の社説のような言説があることに注目しています。

 辺野古への移設を進めるとの安倍晋三政権の方針を支持する社説、論説は、地方紙の中では目にした限りでは北國新聞(26日付)だけでした。丁寧な説明と基地負担の軽減策で沖縄県の理解を広げる努力を政府に求めています。一方で、有権者全体でみると反対は37%超に過ぎないとして「圧倒的な反対の民意」とは言い難い、としています。一部を以下に引用します。

・北國新聞「沖縄県民投票 国、県それぞれに重い意味」=2月26日付

 国民全体のための安全保障政策は国の専権事項であり、本来、一自治体の意向で左右されるものではないとはいえ、とりわけ在日米軍も関わる安保政策は、地域住民の理解と協力がないと、円滑な運営は困難になる。
 辺野古への移設によって普天間飛行場の危険性を除去し、米軍の抑止力も維持するという国の方針を是とするが、政府には沖縄県との対話を絶やさず、丁寧な説明と基地負担の軽減策で理解を広げる努力をさらに求めたい。
 (中略)
 この数字をみる限り、反対が圧倒的多数で、玉城氏は「断固たる民意を受け止め、工事の中止を強く求める」と強調している。しかし、全投票資格者のうち、54万8千人余は参加せず、投票率は52%超にとどまった。有権者全体でみると、反対は37%超に過ぎず、玉城氏を支える政治勢力「オール沖縄」がめざした「圧倒的な反対の民意」とは言い難い。移設先の名護市は反対票が多数を占めたが、投票率は50%超で、渡具知武豊市長が「投票しなかった人たちの民意もある」と述べ、反対以外の意見も尊重する考えを示したのは、もっともではないか。

 

 以下に、ネット上で確認した各紙の社説、論説を一部は本文を引用して書きとめておきます。28日朝の段階で、ネット上で無料で読めるものはリンクも載せています。

【2月25日付】
・北海道新聞「沖縄県民投票 辺野古反対の民意重い」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/280064?rct=c_editorial

 今月14日に県民投票が告示された後も、国は辺野古沿岸部の埋め立てを続けてきた。
 菅義偉官房長官は先週、投票結果によらず工事を続行する方針を示しただけでなく、移設の代替案を県が示していないことを批判した。責任転嫁と言うほかない。
 こうした態度を続ければ国と沖縄の溝はさらに深まるだろう。
 米政府も県民投票の結果を重く受け止めてもらいたい。
 著名人らが埋め立て反対の署名を集めるなど、辺野古移設問題は国際的な広がりを見せている。
 「日本国内の問題」と静観するのではなく、辺野古以外の選択肢を考えてほしい。
 国の方針と地方の意向が食い違う政策課題は、沖縄の基地問題に限らない。県外の人々もわがこととして捉えるべき必要があろう。

・山形新聞「辺野古移設、反対過半数 一度立ち止まるべきだ」
 http://yamagata-np.jp/shasetsu/index.php?par1=20190225.inc

・茨城新聞「沖縄県民投票 一度、立ち止まるべきだ」

・信濃毎日新聞「辺野古『反対』 民意の黙殺は許されない」
 https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190225/KT190222ETI090002000.php

 政府は投票結果を正面から受け止め、県と話し合うべきだ。沖縄の意向を踏まえ、米国側と交渉するのが本来の姿である。埋め立て工事を中止し、より多くの県民が納得できる基地負担軽減策を探ることが求められる。
 反対意見に耳を傾けず、一方的に国の方針を押し付ける―。そんなやり方を許せば、どの自治体でも同じことが起こり得る。沖縄にとどまらず、民主主義や地方自治の在り方に関わる問題である。国民全体で向き合い、政府に転換を迫っていきたい。

・京都新聞「沖縄県民投票  『新基地ノー』が民意だ」
 https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20190225_4.html

 共同通信社の世論調査では約86%が「政府は県民投票結果を尊重すべき」と答えている。同社の出口調査では、自民党の支持層の48%が反対に投票している。
 基地建設の予定海域では、極めて軟弱な地盤の存在も明らかになった。工事を続けるには大規模な地盤改良工事が必要で、岩屋毅防衛相も工期の長期化を認めざるをえなくなっている。
 政府は「辺野古が唯一の選択肢」と繰り返すが、本当にそうなのか。政府が辺野古に固執すればするほど、普天間飛行場の返還が遅れることになりかねない。
 沖縄県の玉城デニー知事は工事の中止と話し合いを国に求めている。国は早急に応じるべきだ。
 (中略)
 沖縄県では1996年にも米軍基地に関して県民投票が行われた。都道府県単位の住民投票は沖縄県でしか行われていない。基地の沖縄への集中について、県民は十分なほど意思を表明してきた。
 今後問われるのは、事実上、基地を沖縄に押し付けてきた本土の姿勢だ。安全保障を含め負担のあり方を日本全体で具体的に考える機会にしたい。

・中国新聞「沖縄県民投票 民意は明確に示された」
 https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=507923&comment_sub_id=0&category_id=142

 沖縄県で県民投票が実施されたのは1996年に次いで2回目になる。前回も米軍基地が争点となり、投票者の9割が基地の整理縮小を求めた。
 それから20年余りたつが、在日米軍の専用施設の7割は沖縄に集中したままだ。安全保障政策上、在日米軍の存在が必要だとしても、なお沖縄だけが過重な基地負担を背負い続けなければならないのか。納得できる説明が可能とは思えない。
 辺野古での計画は当初、使用期限を設ける暫定施設のはずだったが、沿岸部を大規模に埋め立てる恒久的な基地に変わった。政府は「普天間の早期返還のための唯一の解決策」と繰り返すだけだ。基地負担を減らすために新たに巨大基地を造るという理屈では、沖縄の人々が反発するのも無理はなかろう。
 当時の知事が2013年末、埋め立て申請を認める前提として求めた「普天間の5年以内の運用停止」はどうなったのか。安倍晋三首相は「最大限努力する」と約束したが、守られていない.何の見通しもないまま今月、その期限を迎えた。
 国の安全保障政策である基地問題を巡って、なぜ2度も県民投票を行う事態に至ったのか、国民全体で考えなければならない。これ以上の基地負担は容認し難いという重い投票結果をしっかり受け止めるべきだ。

・徳島新聞「沖縄県民投票 辺野古の工事中断が先決」
 https://www.topics.or.jp/articles/-/166995

 そもそも沖縄を県民投票へと突き動かしたのは、政府の強引な進め方が原因だった。
 前回と前々回の知事選で辺野古移設に反対の民意が示されたのを顧みず、安倍政権は移設工事を着々と進めてきた。昨年末には沿岸部への土砂投入に踏み切っている。
 政府は少なくとも埋め立て工事を中断し、知事と話し合いを重ねるべきである。
 (中略)
 本県からは、吉野川第十堰の可動堰化を巡る2000年の住民投票運動に参加した有志が応援に駆け付け、プラカードを掲げて「投票に行こう」と有権者に呼び掛けた。投票を促す一定の支えとなったはずである。
 沖縄での県民投票は2度目だ。前回は1996年9月、米軍基地の整理縮小と日米地位協定の見直しを巡って行われ、投票率59・53%で、投票した89%が協定見直しと基地の整理縮小に賛成した。
 ところが地位協定は改定されず、在日米軍専用施設の70%が沖縄に集中する状況は変わっていない。
 今回の投票結果は、沖縄県外に住む私たちにも向けられたメッセージと受け止めなくてはならない。基地と不離一体の生活を余儀なくされてきた沖縄の負担を、国民全体で考える必要に迫られている。

・西日本新聞「沖縄県民投票 示された揺るぎない民意」
 https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/489536/

 県民投票が近づく一方で、辺野古の青い海が埋め立てられていく光景が日常化することにより、県民の間に諦めの心理が広がっているとの観測があった。政権側も「どういう結果でも移設を進める」との姿勢を強調し、県民の投票意欲を低下させる戦術を取った。
 それでも投票率は50%を超え、「反対」が他の選択肢を圧した。「辺野古ノー」を諦めない意思の固さが示された。投票率も得票率も、民意の表明としては十分と言える。
 安全保障問題は政府の専管事項であり、住民投票のテーマとすべきでないとの意見もある。しかし、国策が地方の声を無視して進められる時、住民投票による「異議申し立て」の意思表示には大きな意味がある。
 (中略)
 改めて「辺野古ノー」の民意が明確となり、加えて工法上の問題点も持ち上がっている。政府は「辺野古移設はすでに非現実的」と認識した上で、辺野古移設と切り離した普天間飛行場の早期閉鎖の実現へと政策を転換すべきではないか。これ以上の民意の無視は許されない。
 私たち本土の住民も、沖縄の基地負担の現状と投票結果を重く受け止め、いま一度、日本全体の問題として考えたい。

・大分合同新聞「沖縄県民投票で反対過半数 県と改めて対話が必要」

・佐賀新聞「沖縄県民投票で反対過半数 一度、立ち止まるべきだ」(共同通信)
 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/341805

 

【2月26日付】
・河北新報「沖縄県民投票/深まる混迷 国が打開策示せ」
 https://www.kahoku.co.jp/editorial/20190226_01.html

 米軍普天間飛行場の移設そのものに関しては、これまでの各種の世論調査でも県民の多くは賛成している。あくまで緊急避難的な危険除去の移設という目的を考えれば、曲折を経た辺野古移設の判断は、全くの誤りであったとまでは言えないだろう。
 ただし、今回の県民投票の結果を重く見て、埋め立てを即時中止し、移設計画を白紙撤回する選択肢も政府は取り得るはずだ。既に辺野古沿岸部の埋め立てが一定程度進んではいるが、工事の中断は国側の決断次第とも言えるからである。
 (中略)
 戦後長らく、全国の自治体の中で沖縄が突出して過剰な基地負担に苦しんできた事実は、多くの国民が子細に承知している。沖縄の声に耳を傾け、その主張に共感し、基地負担の軽減にこれまで以上に努力するのは、国民全体に課せられた義務でもある。
 他方、北東アジアの安全保障の状況を見据えれば、米軍基地の存在が厳然として必要とされているのは、間違いない。新たな冷戦が始まったといわれる米中の対立、核兵器の放棄の道筋が不透明さに包まれる北朝鮮情勢など、わが国の安全保障は危機にさらされている。
 国の安全保障の在り方、米軍基地の必要性、沖縄の負担軽減などに十分に目配りしつつも、こじれにこじれ、もつれにもつれた基地移設の糸を解きほぐすためには、県民の意向を斟酌(しんしゃく)する政府の真摯(しんし)な姿勢は欠かせない。

・東奥日報「民意の重み 受け止めよ/「辺野古」に反対多数」
 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/157313

 政府は、いったん立ち止まり、計画を再検討すべきではないか。沖縄の過重な基地負担の現状と歴史的経緯も踏まえ、県と実のある対話に臨むよう求めたい。
 (中略)
 政府は安全保障政策は国の専管事項だと強調する。しかし、なぜその国策を巡って沖縄が県民投票を行う事態に至ったかを考えるべきだろう。
  沖縄の米軍基地は戦後、住民が住んでいた土地を「銃剣とブルドーザー」で強制的に奪って造られた。その後、沖縄への基地集中が進み、在日米軍専用施設の約70%が今置かれている。県民投票には長年にわたって積もった県民の思いが込められている。

・デーリー東北
 https://www.daily-tohoku.news/archives/9079

 玉城知事は県民投票の結果を受け、普天間移設について「安全保障の負担は全国民で担うとの考えの下、一人一人が自らの問題として議論してもらいたい」と述べた。この発言は重い。
 戦後、本土から切り離され過酷な米軍統治下に置かれた沖縄の歴史と、今なお続く過重な基地負担。その中で沖縄が発した今回のメッセージは、政府だけでなく本土全体に向けられていることをしっかり自覚する必要がある。

・秋田魁新報「沖縄の県民投票 移設ありき許されない」
 https://www.sakigake.jp/news/article/20190226AK0010/

 反対票が投票資格者の4分の1を超えたことも大きな意味がある。結果は安倍首相とトランプ米大統領に通知される。玉城知事と会う見通しの安倍首相には「移設ありき」の姿勢を改め、移設中止を含めて真摯に対話に臨むことが求められる。
 同時に、米国にも投票結果の重視の姿勢が望まれる。基地問題を日本だけの課題とせず、米国国民も巻き込んだ議論に進展させることも重要ではないか。
 沖縄の問題は本県にとっても人ごとではない。政府が秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を候補地としている迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(地上イージス)配備計画も安全保障政策の一環であり、同様の構図だからだ。政府は「地域の理解を得ながら進める」としているが、実際は国の19年度予算案に購入費の一部1757億円が盛り込まれるなど、配備ありきの姿勢が際立つ。
 必要なのは辺野古移設をはじめ各種安全保障政策に対し、国民が当事者意識を持つことだ。それが、まっとうな政治を取り戻す第一歩となる。沖縄の県民投票をそのきっかけにしたい。

・岩手日報「辺野古反対の民意 わが事として考えたい」
 https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/2/26/47836

 沖縄県民が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古に移設するための海域埋め立てに反対の意思を明確にした県民投票の結果は、政府とともに本土住民も重く受け止めなければならない。
 投票結果に法的拘束力はなく、国は粛々と工事を続ける方針だ。こうした姿勢を支えているのは、基地問題を沖縄の問題に閉じ込めがちな本土側の意識ではないか。
 県民投票実現を主導した市民グループ代表の大学院生、元山仁士郎さんは「本土の人にこそ、考えてほしい。辺野古の埋め立てが、必要かどうか」と訴えている。
 今回の県民投票を、在日米軍専用施設の7割が集中する沖縄の歴史や現状に理解を深め、問題をわが事として考えるきっかけにしなければ、実質的に無視を決め込む政府と何ら変わるまい。
 (中略)
 知事選なら争点は多岐にわたるという建前で反対の民意をかわせるとしても、今回は問題を埋め立てへの賛否に絞った県民投票。基地建設は国の専管だが、そのための埋め立て承認は知事の権限だ。
 明白な民意を背に埋め立て工事の中止を求める玉城知事への政府対応は、国が地方をどう見ているかのバロメーターともなるだろう。注目しないわけにはいかない。

・神奈川新聞「辺野古『反対』7割 私たちが試されている」
・山梨日日新聞「[『辺野古』反対 7割超]埋め立てやめ、米国と協議を」

・新潟日報「辺野古反対7割 政府は工事強行をやめよ」
 http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20190226453472.html

 安倍晋三首相は「真摯(しんし)に受け止める」という言葉だけではなく、いったん工事を中止し、沖縄県側と協議すべきだ。
 地元の反対を無視して移設を進めることは民主主義国家として取るべき対応ではない。
 (中略)
 危惧するのは、政権の姿勢が改まる気配が見えないことだ。
 首相は「移設をこれ以上先送りできない」と官邸で記者団に語り、「これからも基地負担軽減に向けて全力で取り組む」と強調した。
 首相の言う「真摯」には、沖縄県民の民意に向き合おうとの姿勢が全くうかがえない。岩屋毅防衛相は従来方針通り工事を行う意向を示した。行動が伴わなければ、県民の政権への不信感は払拭(ふっしょく)されまい。
 投票結果の背景には、在日米軍専用施設の7割が集中する沖縄の厳しい現実がある。私たち国民も「沖縄の心」をしっかり受け止めたい。


・福井新聞「辺野古『反対』7割超 沖縄の民意を受け止めよ」
 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/804278

 県民投票は1996年に続いて2回目で、前回も米軍基地の整理・縮小に「賛成」が圧倒的多数を占めた。政府は、外交や安全保障が「国の専権事項」とし地元の声に耳を傾けてこなかった。そうした事態は、沖縄以外の地方自治体でもありうることを肝に銘じる必要がある。一向に変わらない状況に「ノー」を突きつけた沖縄県民。それは地域の自己決定権をどう守るかの闘いであり、目を離すわけにはいかない。

・神戸新聞「沖縄県民投票/今度は国が立ち止まる番だ」/憲法の条文踏まえ/地位協定も見直せ
 https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201902/0012097404.shtml

 辺野古計画では新たな問題点も浮上した。予定海域の軟弱地盤が判明し、政府は想定外だった約7万7千本のくい打ち込みを計画している。
 県の試算では、地盤改良に伴う建設費は計画の「3500億円以上」から2・5兆円に膨み、工期は5年から13年に伸びる。だが野党の質問にも政府は明確に答えようとしない。
 事実上、計画は大きな壁に突き当たっている。もはや「唯一の解決策」と言える状況ではない。政府は今度こそ立ち止まらねばならない。
 沖縄に「寄り添う」というのなら、政府は基地を沖縄に集中させる必要性があるのか米国と真剣に議論すべきだ。同じ第2次世界大戦の敗戦国でもドイツやイタリアは駐留米軍に国内法を適用している。地位協定の見直しも急務といえる。
 なぜ、沖縄だけに過剰な負担を強いるのか。県民投票が示した課題を、本土に住む私たちも考える必要がある。

・山陽新聞「沖縄県民投票 移設ありきでなく対話を」
 http://www.sanyonews.jp/article/874399/1/?rct=shasetsu

 今回の県民投票でも、県側は辺野古反対の機運を高めることに努めた一方、政府が県民へ移設を推進する理由を説明する姿勢は乏しかった。
 首相はことあるごとに「沖縄県民の気持ちに寄り添う」と語る。それならば、県民投票で示された民意とも向き合わねばならない。
 埋め立て予定区域では軟弱地盤が見つかり、工事の長期化や工費増加が懸念されてもいる。
 首相は玉城知事と会談する方向だが、「普天間飛行場の危険性除去」の重要性を唱え、説得を強めるという。県と再び対話のテーブルに着くための、今が最後の機会ではないか。移設ありきではなく、沖縄の声に耳を傾けて、県民の理解が得られるよう説明を尽くすべきである。

・山陰中央新報「沖縄県民投票で反対7割超/一度、立ち止まるべきだ」
 http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1551145447864/index.html

・愛媛新聞「沖縄県民投票 辺野古反対の民意 十分伝わった」

 政府はいま一度、沖縄に対する態度を省みるべきだ。結果にかかわらず移設を進める方針を表明し、県民を踏みにじる行為に出た。さらに圧倒的な反対の民意を突き付けられても、まともに向き合おうとしない。菅義偉官房長官に至っては「普天間返還(の道筋)について知事が語っていない」と、安保政策の責任を転嫁するような発言もあり、納得できない。地元の反発が強くなればなるほど、政府が重視する日米安保が機能しないことを認識する必要がある。
 (中略)
 埋め立て工事が長引けば普天間の返還も遠のく。政府は普天間の危険性を取り除くために移設の必要性を訴えてきたが、辺野古に固執すれば、かえって普天間の固定化を招くという矛盾を認めるべきだ。
 本土の国民も沖縄の苦渋をわが事として受け止めたい。容認し難い国策に対し、県民投票で民意を示してもなお無視されるとしたら、民主主義が葬られたのも同然だ。この国の在り方を左右する重大な局面にある。無関心ではいられない。

・高知新聞「【沖縄「基地ノー」】政府は米国と仕切り直せ」
 https://www.kochinews.co.jp/article/256748/

 首相は県民投票結果を受けてもなお「移設をこれ以上、先送りはできない」と強硬な方針を変えていない。民主主義の国で、民意を排除するような強権的な振る舞いを容認するわけにはいかない。
 政権側は玉城知事との会談に再び応じる構えを見せはする。だが、これまでも面談を骨抜きにしながら、埋め立てを強行してきた。住民に無力感を植え付けるかのように、既成事実化を図ってきたのだ。見せかけの対話は許されない。
 埋め立て予定海域の軟弱地盤の改良のため、約7万7千本もの杭(くい)を海底深く打ち込まなければならない工事計画が発覚した。辺野古は適地なのか、という根本的な疑問が浮かぶ。県民投票の結果と合わせ、政府は米国と基地を巡る議論を仕切り直すべき時だ。
 米国の日系4世の青年が辺野古埋め立ての一時停止を求める署名を米政府に提出し、タレントのローラさんら日本の著名人たちも賛同の意を公表した。沖縄の基地の苦悩を共有し、解決の道を共に探り出していこうという呼び掛けだ。その問いは本土にこそ向けられている。

・宮崎日日新聞「辺野古『反対』7割超 民意厳粛に受け止め再考を」/政府の諦め誘う対応/軟弱地盤なども問題
 http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_37264.html

・熊本日日新聞「『辺野古』県民投票 立ち止まり再考すべきだ」
 https://kumanichi.com/column/syasetsu/872011/

 県民投票に法的拘束力はなく、政府は移設を推進する姿勢を崩していない。投票結果を受けて安倍晋三首相は、市街地にある普天間飛行場の固定化は避けなければならないとして「移設をこれ以上、先送りすることはできない」と語った。
 しかし、沖縄の過重な基地負担の現状と歴史的経緯を踏まえれば、移設ありきの方針を見直すのが当然ではないか。国全体で考えるべき安全保障政策に関して県民投票を強いる事態に至り、しかも普天間飛行場の負担を解消する方策として辺野古移設の賛否を求められた県民の苦渋の選択に、首相は思いを致すべきだろう。
 (社説)
 基地を巡る県民投票は今回が2回目で、1996年の県民投票でも基地の整理・縮小に「賛成」が圧倒的多数を占めたが、在日米軍専用施設は今も約70%が沖縄に集中している。たとえ安保政策が国の専管事項であっても、民意を無視するような対応ではその根幹が揺らぎかねない。首相が「沖縄に寄り添う」と言うならば、県との対話を尽くすべきだ。

・南日本新聞「[沖縄県民投票] 次は国が行動する番だ」/知事選得票超す/国民全体の問題
 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=102551

 安全保障政策が国の専管事項であるのは確かだ。だが、基地問題を巡って県民投票を行う事態にまで沖縄県民がなぜ追い込まれたのかを考えなければならない。
 沖縄の米軍基地は住民が住んでいた土地を強制的に収用されて造られた。本土の基地が反対運動に遭い、沖縄に移っていった経緯もある。
 その結果、戦後70年以上を経ても、在日米軍専用施設の約7割が沖縄に集中し、重い基地負担には出口が見えない。
 国は「普天間の固定化を避ける」ために辺野古移設を進めるというが、沖縄は「新たな基地はいらない」と主張しているのだ。国はいつまで意識のずれに気付かないふりをしているつもりなのか。
 (中略)
 署名を集めて県民投票条例制定を請求した市民グループの代表・元山仁士郎さんは27歳の大学院生だ。若い世代が問題意識を持って動きだしたことに注目したい。
 反対多数となった結果を受けて元山さんは、「本土の人にこそ、考えてほしい。辺野古の埋め立てが、必要かどうか」と訴えた。
 沖縄県民が出した「辺野古ノー」の結果は、国民全体がともに考えるべき問題として、私たちにも突きつけられている。

【2月27日付】
・中日新聞・東京新聞「沖縄投票『無視』 民主主義を軽んじるな」※2回目
 http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2019022702000128.html

 沖縄の人たちは知事選や国政選挙を通し、主権者として、沖縄への過重な負担となる新基地建設に繰り返し異議を表明してきた。
 本来なら、議会制民主主義によって立つ政権はその声に誠実に耳を傾けて是正を図らなければならないが、沖縄に限っては一顧だにしない。選挙による間接民主主義が機能しない「構造的差別」の下、直接民主主義で再度民意の在りかを示さなくてはならなくなったのが今回の県民投票だ。
 結果は、自民、公明両党が自主投票だったとはいえ、投票率は県内の最近の国政選挙並みに50%を超え、72%が反対だった。県内全市町村で反対多数だったことも民意を歴然と示している。首相は、辺野古埋め立てを前提とした普天間返還が「地元との共通認識」となお真顔で言えるのか。
 県民投票が持つ意味の重さは米メディアなども報道した。琉球新報と沖縄タイムスの両編集局長は本紙への寄稿で「日本が人権と民主主義をあまねく保障する国であるのか、県民投票が問いかけたのはそのこと」「沖縄は答えを出した。今度は日本政府、ひいては本土の人たちが答えを出す番」と、それぞれ訴えた。
 政権は埋め立てを直ちに中断し基地再編について米国と再協議すべきだ。本土の側も最大の関心を持って見守り、参院選などの判断材料にしなければならない。それこそが、機能不全に陥った日本の民主主義を再起させる道である。