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「代替わり」「改元」「憲法記念日」 地方紙・ブロック紙の社説・論説の記録

 新天皇の即位と「令和」改元に対して、地方紙、ブロック紙も社説や論説で様々に取り上げました。5月3日には、改元後、初の憲法記念日であることを踏まえた内容のものも目に付きました。ネットでチェックした限りですが、5月1日付から3日付の社説・論説のうち、天皇代替わり、改元、憲法に関連した内容のものについて、見出しを書きとめておきます。うち、印象に残ったものは一部を引用しています。また現在(5月5日時点)でも各紙のサイト上で読めるものは、リンク先を記しています。

▼5月1日~3日付の地方紙・ブロック紙の主な社説・論説
【北海道新聞】
https://www.hokkaido-np.co.jp/column/c_editorial
・1日付「新天皇陛下即位 『新しい風』を国民と共に」/公務の整理が不可欠/憲法にかなう儀式に/改元祝うだけでなく
・2日付「令和の政治 立法府再生への改革を」
・3日付「きょう憲法記念日 幅広い論点掘り下げたい」/政権のおごり表れた/「解散権」はどう扱う/譲れない三つの原則

【河北新報】
https://www.kahoku.co.jp/editorial/
・1日付「新天皇即位/象徴として平和の道標に」

 令和もまた、平和の意味が込められていよう。一方で、年号制定作業では中国の古典でなく、国書である万葉集から初めて選んだことに「わが国が持っている素晴らしい文化を象徴している」などと称賛の意見が相次いだという。
 ちょっとしたきっかけで、日本の社会は一つの色に染まる特色がある。皇位継承行事が数多く予定され、「古き良き時代よ、もう一度」と保守的なナショナリズムが広がりやすい。令和は、落ち着いた時代でありたい。

・3日付「憲法記念日/不断の努力で磨き上げよう」

【東奥日報】
https://www.toonippo.co.jp/category/editorial
・1日付「共生と構想力が試される/令和の幕開け」
・2日付「皇位安定継承 議論進めよ/即位と皇室の課題」
・3日付「理念堅持し議論深めたい/憲法記念日」

【秋田魁新報】
https://www.sakigake.jp/news/list/scd/100003001/?nv=akita
・1日付「きょうから令和 地方の力高める時代に」
・2日付「天皇陛下即位 新しい時代、国民と共に」
・3日付「憲法記念日 改憲の機はまだ熟さず」

【山形新聞】
http://yamagata-np.jp/shasetsu/
・1日付「『令和』の幕開け 足元見つめ直す機会に」
・2日付「即位と皇位継承者不足 危機感を持って議論を」

【岩手日報】
https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/5/3/54207
・1日付「新天皇即位 『象徴』は時代とともに」
・3日付「憲法問題 もっと深い議論を望む」

 戦後74年目の憲法記念日。昭和から平成、令和と元号が変わる中で、これからも「戦後」という時代の捉え方は引き継がれていくだろう。
 昭和の時代、終戦を挟んで日本の国柄は180度転換した。もとより「戦後」は元号ではないが、元号をまたぎ、平和憲法を土台とする時の流れを想起させる。
 安倍晋三首相は「新憲法」制定を目指す超党派の国会議員の会合で、「令和という新しい時代のスタートラインに立ち、この国の未来像について真正面から議論を行うべき時に来ている」と訴えた。
 「戦後」というスパンの中で、時代は途切れず続いている。改元を「新時代の到来」として改憲と結びつける情緒的な主張は、憲法論議にはそぐわない。

【福島民報】
https://www.minpo.jp/news/column_ronsetsu
・1日付「【皇位継承と新時代】象徴の道と旅は続く」
・2日付「【令和の時を刻む】希望と課題に向き合う」
・3日付「【震災8年と憲法】条文を読み直す」

 これらの状況は、憲法前文が「平和のうちに生存する権利を有する」とうたう平和的生存権とは懸け離れていることを示す。居住・移転の自由(憲法二二条)、財産権(同二九条)、勤労の権利(同二七条)、ひとしく教育を受ける権利(同二六条)などと密接に絡んでくる。地方自治体が存続の危機にさらされたという点では地方自治(同九二条)も関係している。風評による言われなき差別は「法の下の平等」(同一四条)とは相いれないのではないか。
 財産権の侵害に対し、被災者は声を上げ続けている。その一つである裁判外紛争解決手続き(原発ADR)の和解案を東電が拒否し、打ち切りになる事例が相次いだ。和解案が拒まれると、強制力がないADRの紛争解決機能は失われる。そもそも和解案の尊重が制度の前提だった。現状は被災者への誠実な対応とは程遠い。世耕弘成経済産業相が三月、小早川智明東電社長に対し、損害賠償の改善を指導したのは当然だ。
 憲法が被災者の心のよりどころになり得ることを政治家は念頭に置かなければならない。条文を読み直し、現状と照らし合わせて復興の施策に当たるべきだ。

【福島民友】
http://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/
・1日付「『令和』の初めに/新しい視点が時代の道開く」

【茨城新聞】
・1日付「令和の幕開け 共生と構想力が試される」
・2日付「即位と皇室の課題 危機感を持って議論を」
・3日付「憲法記念日 理念堅持し議論深めたい」

【神奈川新聞】
・1日付「新天皇即位 時代の風に沿う皇室を」
・3日付「問われる憲法 令和へ 9条の理念の実現こそ」

【山梨日日新聞】
・1日付「『令和』スタート 共生の風グローカルの力で」
・2日付「即位と皇室の今後 危機感持ち、速やかに議論を」
・3日付「令和時代の天皇と憲法 平和の『水』どう守り育てる」

【信濃毎日新聞】
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/web_shasetsu_list.html
・1日付「新陛下が即位 ともに見つめ直し考える」/象徴の模索は続く/平和を求める姿勢/将来像の議論早急に

 前陛下の根底には、少年時代の戦争体験があった。
 太平洋戦争の開戦と終戦に関わった昭和天皇の跡を継いだ前陛下にとって、平和を祈り続けることは何より大切なことだった。
 全国戦没者追悼式の「お言葉」だけでなく、戦地に赴き慰霊される姿に、過去を直視して過ちを繰り返さないという固い意思を感じた国民も多いのではないか。
 1960年生まれの新陛下には戦争体験はない。これまでの会見では「戦争を知らない世代に悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切」と述べている。国民や諸外国に説得力を持ってどう示すのか。8月の戦没者追悼式での「お言葉」に注目が集まる。
 天皇は国政に関する権能を有しない。政治的な発言はできず、時の政権と中立関係を保つ姿勢も求められる。ただし、憲法を守り、従う日本国民の象徴として、平和を希求する姿勢は欠かせない。
 前陛下の思いを継承していくことを国民は望んでいる。

・2日付「皇位継承の儀式 憲法に沿っているのか」
・3日付「憲法の岐路 言論の自由 掘り崩しを許すまい」/メディアの役割/危ういトランプ流/安倍首相の執念

 言論の自由の掘り崩しにつながりかねない動きが、安倍晋三政権とその周辺で続いている。
 真っ先に挙げなければならないのは首相官邸の記者会見での質問制限だ。東京新聞記者の質問に対し、進行役の官邸職員が数秒おきに「簡潔に」「質問に移ってください」などと述べて邪魔をした。ある日には1分半の質問の間に7回にのぼったという。
 2月20日付の東京新聞によると、官邸側は昨年6月、「記者会見は官房長官に要請できる場と考えるか」と文書で質問してきた。同紙記者が会見で、森友学園問題に関連して、内部協議のメモがあるかどうか調査するよう求めたのを受けてのことだ。
 「記者は国民の代表として質問に臨んでいる」と同紙が回答すると、官邸側は「国民の代表とは選挙で選ばれた国会議員」と反論してきたという。
 見当違いも甚だしい。報道の役割は国民の知る権利に奉仕することにある。そのことは最高裁も繰り返し認めている。

【新潟日報】
https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/
・1日付「新天皇陛下 令和を歩む国民の支えに」/前天皇ご夫妻を範に/新皇后さまへの期待/不戦の歴史をつなぐ

 新天皇陛下の即位により、新しく皇后になられた雅子さまは、村上藩士を先祖に持ち、本県とのゆかりは深い。
 (中略)
 新皇后さまは、適応障害で療養を続けてきた。皇太子妃時代の昨年12月、誕生日に際して発表した文書による感想では、体調回復に努めながら、公務に力を尽くすよう努力を続けるとつづっていた。無理のない形で、と願う。
 感想の中にはまた、互いを思いやり、広い心を持って違いを乗り越え、力を合わせながら、弱者を含め全ての人が安心して暮らせる社会を実現することの大切さも記されていた。
 一人一人が尊重され、それぞれが有する多様な個性が受け入れられる。新皇后さまには、多くの人々の支えを得て療養を続ける中で描いた、より良い社会の理想像があるように感じられる。
 そうした思いを胸に、新天皇陛下と共に国民の支えとなってくれるよう望みたい。自らが包摂されているという安心感を国民がきちんと持てることは、社会の安定につながる。

・2日付「天皇陛下お言葉 国民の幸せ願う強い意思」
・3日付「憲法記念日 改元の中で原点見つめる」/陛下の平和への願い/記憶を引き継ぐ責務/夏の参院選で論戦を

【中日新聞・東京新聞】
https://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/
・1日付「共に生き平和を愛す 令和のはじめに」/働けども貧しいとは/軍拡より緊張の低減/歴史の歯車を動かす
・2日付「平和への祈りは続く 天皇と憲法(4)」/戦争放棄は日本側から/念頭から離れない遺族/戦争の記憶を伝える
・3日付「未来の皇室のために 天皇と憲法(5)」/国家神道とは離れて/政教分離原則に照らし/天皇家に自由の風も

 今回の退位は光格天皇以来で、明治からの終身在位制に一つの風穴を開けた。退位を大多数の国民が支持したからだ。
 もはや「一代限り」で収まらないはずである。退位の自由ができれば、即位しない自由も生まれる可能性はある。時代の動き次第では天皇制の存廃議論もありえる。
 つまり、明治以降の「男系男子」の定めも、時代とともに国民意識が変わり、女性の天皇の容認などに広がるのではないか。男女平等の憲法の下では、ふさわしいとも考えられる。少なくとも天皇代替わりの儀式に女性皇族を参列させないのは時代錯誤である。
 日本国憲法は身分制を含有する。天皇・皇族・国民という三つの身分が存在する。天皇家には特権があるが、その代わり選挙権や職業選択の自由、居住の自由などがない。表現の自由なども、大幅に制限されている。
 つまり天皇家は「身分制の飛び地」に住んでいるわけだ。そのような天皇制は曲がり角にきてはいないか。
 当事者である皇室の声に耳を傾けてもみたい。西欧王室より窮屈そうな天皇家にもっと自由の風が吹くだろうか。伝統を傍らに置きつつも、象徴天皇制をどう考え、どう変えるかは私たち国民の側に多くを委ねていよう。

【北日本新聞】
・1日付「「令和」の富山/自立と共生目指したい」

【北國新聞】
・1日付「即位の日に 心機一転、新時代に希望を」
・2日付「『令和』時代の北陸 新幹線延伸を発展の力に」
・3日付「令和の憲法論議 国民の出番をつくりたい」

 令和の時代に入って最初の「憲法記念日」である。施行から今年で72年となる。昭和、平成の二つの時代を経て、憲法改正をめぐる国会の議論と国民の意識は確実に変化してきた。それでも、第9条を中心とした改憲論議は深まりに欠け、議論の要である衆参両院の憲法審査会は機能不全ともいえる状況である。
 憲法改正について、国会は令和時代も際限のない堂々巡りを続けるのであろうか。もしそうであれば、憲法制定権を持つ国民の負託に背く、無責任な対応といわなければなるまい。もとより憲法改正は熟議が必要であるが、その上で国会として改憲案を導きだし、是非の判断を国民に委ねる機会をつくることこそ立憲民主主義にかなうのではないか。改憲論争に一区切りつけ、憲法に新たな歴史を刻む時代であってほしい。

【福井新聞】
https://www.fukuishimbun.co.jp/category/editorial
・1日付「新時代『令和』幕開け 平成の課題考える機会に」/憎悪と報復/新たな冷戦/共生社会
・2日付「天皇即位 『令和流』の模索が始まる」/「大きな道標」/「国際親善」に期待/速やかに検討を
・3日付「令和の憲法記念日 平和主義どう堅持するか」

【京都新聞】
https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/index.html
・1日付「新天皇即位  『人々と共に』歩める時代に」/時代の風に向き合い/国際親善に期待高く/水問題から学ぶこと

 一方で、天皇制そのものに批判的な意見もある。民主主義との矛盾を指摘する声もある。
 天皇制というと、かつては極めて政治的なテーマのように扱われ、硬直的な主張をする人も多かった。昭和が終わる頃、天皇の容体などを巡る「菊のカーテン」の閉鎖性にうんざりしたことを覚えている人もいるだろう。
 憲法で天皇は「国民統合の象徴」とされている。本来は主権者である国民が率直に語り、探っていくべき存在のはずだ。
 偏見や過剰な賛美などではなく、天皇制の評価や問題点について自由に論じ合う。新陛下とともに、そんな当たり前のことができる時代にしていきたい。

・2日付「皇位継承  先細り回避へ議論急げ」
・3日付「憲法記念日に  政権の独走戒めるのは誰か」/法治でなく「人治」に/変えることが目的化/自由に語れぬ空気も

 安倍氏は「わが国は法治国家である」と口癖のように言うが、国の最高法規を軽んじるような態度は、法を守り、法に従う、責任ある政治家の姿勢とは言い難い。
 疑問なのは、こうした安倍氏の「独走」を戒める声が自民党内からあまり聞こえてこないことだ。
 (中略)
 国民の負託を受けた国会議員でさえ口を閉ざす現状は、政権党も「人治」に支配されている現状を浮き彫りにしている。
 改憲を巡る一方的な考え方が、政治や行政の現場を覆うようになれば、社会にも憲法を自由に論じられない空気が漂うようになる。
 昨年12月、「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠み、秀句に選ばれたが「公平性、中立性を害する」として公民館だよりへの掲載を拒否されたさいたま市の女性が起こしていた裁判で、市に賠償を命じる判決が確定した。
 憲法上保障された表現の自由という点では当然の判決だ。
 一方、憲法を語ること自体が中立性を損なうととらえた市の対応は、世間の雰囲気への過剰反応ではないか。
 政権が醸し出す空気が、自治体を思考停止に陥らせた。
 共同通信のここ数年の世論調査では、憲法改正を必要と考える人が過半数だが、安倍内閣の下での改憲には半数以上が反対している。安倍氏の改憲姿勢の危うさを国民の多くが懸念している。
 「1強」に気兼ねして自ら口を閉ざしたり議論を封じたりすることは「法治」を揺るがす。そのことを改めて心に留めておきたい。

【神戸新聞】
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/
・1日付「『象徴』の存在/あるべき姿を国民も考えよう」/明確な定めもなく/答えを探し続ける

 憲法が定める「国民統合の象徴」を実のあるものにするために何をすればいいのか。
 誰もはっきり答えを示さない「空白」を埋める努力を、平成の30年間、身をもって続けられたと考えるべきでしょう。
 作家の赤坂真理さんは話題の小説「箱の中の天皇」の中で次のように問い掛けます。
 「天皇が日本の象徴であり、国民の象徴であるなら、行動を問われているのは国民」「わたしは天皇のように行動できるか、わたしが天皇だとしたら、どう行動するのか」
 天皇や皇室をあがめるだけなら、犠牲者を追悼し傷ついた人たちに寄り添う姿をただ遠巻きにするだけなら、自分たちとの距離は縮まりません。
 象徴に何を望むのか。そして主権者である国民は、よりよい未来に向けてどう生きるのか。この問いの答えを一人一人が探し続けることが大切です。
 「平成流」と言われた前の陛下の実践を引き継ぎ、象徴のあるべき姿を国民とともに探求する。そうした道を新しい天皇陛下も歩まれることでしょう。

・2日付「『令和』の心/万葉の平和の願いを次代に」/「十七条憲法」の精神/政治の思惑とは別に

 平成は日本にとって戦争のない時代でした。ただ、ここ数年は「平和国家」の国是にかかわる動きが相次いでいます。
 一つの例が、憲法9条の制約で「できない」とされた集団的自衛権の行使です。安倍政権は憲法解釈を転換し、憲法学者らの「違憲」の指摘も押し切って容認に踏み切りました。
 そもそも安倍晋三首相にとって戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を定めた9条の改正は「悲願」とされ、改憲の動きは令和の時代に持ち越されます。
 一方、中西さんは9条改正に反対する市民運動の賛同者に名を連ねるなど、護憲の立場を明らかにしてきました。万葉集の「平和の心」を大切に思う学者の良心がうかがえます。
 令和は、新元号制定の最終過程で「本命候補」に浮上したそうです。安倍首相が中西さんの案を強く推したのは意外な巡り合わせですが、中国の古典でなく国書「万葉集」からの出典にこだわった結果でしょう。
 いずれにせよ、元号は時の政権の道具ではありません。私たちは政治の思惑とは別に、平和の理念をしっかりと次の世代に引き継ぐ責任があります。

・3日付「憲法という檻/みんなが幸せであるために」/身勝手なライオン/誰が守らせるのか

【山陽新聞】
https://www.sanyonews.jp/special/column/shasetsu
・1日付「新天皇即位の日 継承される『国民と共に』」/象徴のあり方/皇室の課題深刻/本格的議論を
・3日付「改憲の論議 まず熟議の土壌づくりだ」

【中国新聞】
https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/?category_id=142&page=1
・1日付「令和の課題・核なき世界 被爆地の役割変わらぬ」/後戻りする懸念/NPTが正念場/禁止条約道半ば
・2日付「令和の課題・変わる働き方 人生と仕事の調和大切に」
・3日付「憲法施行72年 改正論議、なぜ急ぐのか」

【山陰中央新報】
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/genre/1000100000058/index.html
・1日付「令和の幕開け/共生と構想力が試される」
・2日付「即位と皇室の課題/危機感を持って議論を」

【愛媛新聞】
・1日付「平成から令和へ 象徴の在り方 議論深める機会に」
・2日付「天皇陛下即位 令和の新たな象徴像 国民と共に」

【徳島新聞】
https://www.topics.or.jp/category/editorial
・1日付「新天皇即位 課題解決へ共に歩もう」
・2日付「『譲位』完結 次は皇位継承の安定策だ」
・3日付「新時代の憲法 平和主義は変えられない」

【高知新聞】
https://www.kochinews.co.jp/news/k_editorial/
・1日付「【新天皇の即位】皇室に期待する新しい風」
・3日付「【憲法改正】『遺産』ありきは許されぬ」

【西日本新聞】
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/
・1日付「令和の幕開け 弱き者に寄り添う時代に」/「たが」が外れた/格差に目を背けず
・3日付「令和と憲法 大いに論じ生かす時代へ」/条文は変わらずも/冷静な民意の中で/不断の営みこそが

 日本国憲法は72年前のきょう5月3日に施行されました。以来、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を柱とした条文は一字一句変わっていません。ところが、国の姿はいつしか変質し、憲法から遊離しつつあるのではないか。平成の30年は、そんな不安や疑念が膨らんだ時代でした。
 想起したい点は二つあります。一つは国際社会の激動にあおられる形で、違憲性を帯びた安全保障施策が次々に打ち出されたこと。もう一つは大規模災害などに直面する中で、憲法の精神がこの国で今なお十分に生かされていない実相があぶり出されたことです。
 (中略)
 国策の過ちが深く認識されず、平成に入るまで取り残された人々もいます。ハンセン病や先日救済法が制定された強制不妊手術の被害者らです。憲法の生存権などに照らせば、遅きに失したと言わざるを得ません。水俣病など何の落ち度もない公害患者らの救済問題が今なお解決していないことも、深刻に捉えるべきです。

【大分合同新聞】
・1日付「積み残された難題 思考を切り替えスタートを」
・2日付「即位と皇室の課題 安定継承へ具体的議論を」
・3日付「令和最初の憲法記念日 理念堅持し議論深めたい」

【宮崎日日新聞】
http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/
・1日付「令和を迎える 共に生きる心引き継ぎたい」/拡大路線の限界知る/次代切り開く人間力/「デクノボウ」に希望

 杉田さんは16年の熊本地震の際、同法人を中心に支援団体「RQ九州五ケ瀬ボランティアセンター」を組織し、計40トンに上る支援物資の収集・搬送などを指揮した。地元住民が担っていた草刈り、危険度の高いがれき撤去作業などを積極的に引き受け、約9カ月間さまざまな形で支援を続けた。
 (中略)
 杉田さんは支援の最中、拠点となっていた体育館にこんな言葉を張り出した。「熊本地震で私が感じた事。それは自分を差し置いて、世のため、人のために、不眠不休で働いた人たちがいた事。宮沢賢治の『雨ニモマケズ』のデクノボウが沢山いた事」。
 平成に戦災はなかったものの、災害の時代だった。1995年の阪神大震災、2011年の東日本大震災と福島第1原発事故、18年の西日本豪雨と続き、本県でも台風水害、新燃岳や硫黄山の噴火、口蹄疫など大規模災害に苦しんだ。絶望的な破壊を与えた災厄のたび、デクノボウになろうとした人たちが数多くいたことを思い出したい。
 弱き者と共にいる、目線を合わせ共に動く。平成の時代、個人の生き方や選択が鮮明になり尊重されるようになった。歴史の歓迎されるべき前進だが、同時に、人と共にあるための努力と精神もしっかりと引き継いでいきたい。令和に生まれてくる人々、遠い国に住む人々たちにもまなざしを向けながら。そこに私たちの希望があると信じる。

・2日付「皇位の安定継承 危機感持って議論取り組め」/前例踏襲で押し切る/女性宮家には否定的
・3日付「きょう憲法記念日 平和理念堅持し議論深めよ」/改正9条施行が焦点/ネットやAI対応を

【佐賀新聞】

https://www.saga-s.co.jp/category/opinion-editorial
・1日付「令和の幕開け 日本再生の足掛かりに」

 平成の終焉(しゅうえん)とともに、ご夫妻の功績をたたえるムードは一層高まったが、それはお二人の人間性に対する敬愛の念であり、残念ながらこの「代替わり」を機に、制度としての天皇制を考える議論が国民の間に湧いたとは言い難い。
 神性をまとう天皇制と民主主義との共存や皇位継承を巡る課題は多い。改元のタイミングは外国人労働者の受け入れを拡大する入国管理法の改正と重なった。将来的に「日本人」という枠組みが大きく揺らぐ可能性もあり、「国民統合の象徴」としての役割はますます重くなっていくはずだ。
 新天皇が即位にあたり、何を国民に語り掛け、新しい時代に即した皇室像を模索していかれるのか注視しながら、天皇制を持つ私たちの社会のあるべき姿について、改めて思いを巡らせたい。

・2日付「危機感を持って議論を 即位と皇室の課題」※共同通信
・3日付「理念堅持し議論深めたい 論説・憲法記念日」※共同通信

【南日本新聞】
https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=105105
・1日付「[令和を迎えて] 新たな縁づくり元年に」/増える単身高齢者/共生社会へ一歩を

・2日付「[令和の皇室] 新たな象徴像を求めて」/平成流どう肉付け/危機感持ち議論を
・3日付「[憲法記念日] 関心が薄れていないか」/まずCM規制から/理念改めて学ぼう

【沖縄タイムス】
https://www.okinawatimes.co.jp/category/editorial
・1日付「[令和 新天皇陛下即位]新時代 平和の思い新た」
・2日付「[天皇陛下と憲法]『お言葉』の変化なぜ?」

 前陛下が「憲法を守り」と語ったのに対し、陛下は「憲法にのっとり」という言葉を使った。
 憲法99条は「天皇又(また)は摂政及(およ)び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とうたう。
 「守り」という言葉には99条を前提にした主体的な意思が感じられるが、「のっとり」にはそのニュアンスが希薄である。今回なぜ「守り」から「のっとり」に変わったのだろうか。
 「お言葉」は閣議決定されている。小さな変化の裏で何があったのか気になる。
 2012年に公表した自民党の日本国憲法改正草案では、「憲法尊重擁護義務」から「天皇又は摂政」が削除されている。それと何らかの関係があるのだろうか。
 立憲主義の柱である99条を空洞化することがあってはならない。

・3日付「[憲法と地位協定]生活視点で問い直しを」

 沖縄返還協定の調印の際、当時の屋良朝苗主席は「本土並みといっても沖縄の基地は規模と密度と機能が違う」と指摘し、形式的な本土並み論に強い不満を表明した。
 沖縄の過重負担という基本的な構図は、あの時から変わっていない。
 ただ、米軍再編と日米一体化が進んだことによって、地位協定を巡る問題は、いっきに全国に飛び火した。
 (中略)
 憲法記念日というと、決まったように「護憲派」と「改憲派」の主張が紹介され、9条改憲を巡る安倍政権の動きが取り上げられる。
 だが、9条改憲以上に、生活に根ざした、優先して取り組むべき課題は多い。
 共同通信社が3月に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三首相の下での憲法改正に51・4%が反対、賛成は33・9%にとどまった。
 沖縄にとって切実なのは地位協定の抜本的な改定である。9条改憲よりも国内法の原則適用を急ぐべきだ。

【琉球新報】
https://ryukyushimpo.jp/editorial/
・1日付「令和の幕開け 真の平和と共生の実現を」

 これらの課題を解決する理念のキーワードは「平和」と「共生」である。戦争や紛争をせず軍縮を進め、人々が多様性を認めながら経済的にも支え合う世界像だ。令和は、それを実現する時代にしたい。
 平和学者ヨハン・ガルトゥング氏は領土問題など東アジアの紛争の火種を取り除き戦争を回避する具体策として東アジア共同体を提唱する。沖縄をその拠点に位置付ける。
 沖縄はこうした真の意味での平和と共生を実現する明確なビジョンを持つべきだ。米軍基地などの軍事力による平和ではなく信頼に基づく対話と交流で問題を解決する実践の場所として貢献することを目指したい。そのためにも自己決定権の確立は不可欠だ。

・2日付「天皇陛下が即位 象徴の意味再確認したい」

 全ての国事行為について責任を負うのは内閣だ。今後、憲法が尊重されていくかどうかは、助言、承認をする立場にある内閣の姿勢いかんにかかっている。
 上皇となった前陛下が1989年に即位した際には「憲法を守り、これに従って責務を果たす」と述べていた。今回は「憲法にのっとり」に変わった。天皇のお言葉は臨時閣議で決定されたものだ。
 天皇には憲法尊重擁護の義務があり、憲法に対するスタンスは不変であるはずだ。政権の意向が加わり、ニュアンスを弱めたのであれば、遺憾と言うほかない。
 本紙加盟の日本世論調査会が昨年12月に実施した全国面接世論調査によると、天皇制の在り方について79%が「今のままでよい」と回答し、象徴天皇制支持が大半を占めていた。
 天皇に対し50%が「親しみを感じる」、19%が「すてきだ」と答えている。皇室に対して、おおむね好感を持っていることが分かる。
 今後、このような国民感情に着目した為政者が、自らの政治的意図に沿う形で、天皇を利用しようともくろむ恐れがないとも限らない。
 国民統合の象徴である天皇が政治的に利用されることがないように、常に為政者の動きに目を光らせておく必要がある。政治利用の前例をつくると際限がなくなるからだ。
 かつて天皇の名の下に戦争に突入し、おびただしい数の命が失われたことを忘れてはならない。

・3日付「憲法施行72年 令和の時代も守り続けて」

 憲法の擁護者としての上皇さまの姿勢は単に個人の心掛けではなく、憲法により主権者となったわれわれ国民との最も重要な約束事だった。
 ところが内閣の長として同じく憲法尊重義務を負う安倍首相は、ことあるごとに改憲への意欲を語ってはばからない。2017年の憲法記念日には憲法9条に自衛隊を明記することを柱に「20年の改正憲法施行」の号令をかけ、自民党は改憲4項目の条文案をまとめた。
 集団的自衛権を認めていない憲法解釈をねじ曲げて安全保障法制を成立させ、自衛隊による米軍支援の領域を地球規模に拡大した。憲法を無視して現実を変更しておきながら、「現実に即した」憲法にすると改憲を正当化する論法は詭弁(きべん)と言うほかない。
 辺野古埋め立て反対の明確な意思を示した県民投票を顧みず、「辺野古が唯一」と開き直る政府の姿勢は憲法が保障する基本的人権を侵害するものだ。民主的な手続きを無視し、日米同盟の名の下に軍事強化を押し付ける。これで法治国家と呼べるのか。
 自衛隊明記の改憲がなされれば、戦力不保持を定めた9条は空文化する。南西諸島への配備が進められる自衛隊の存在は周辺地域との緊張を高め、沖縄の島々が再び戦禍に巻き込まれる危険がある。
 令和も戦争がない時代にするためには、国家権力を制約する平和憲法を守り続けていくことが不可欠だ。首相は憲法尊重擁護の義務を踏まえ、辺野古の埋め立て工事を直ちに断念すべきだ。

 

■以下は全国紙5紙の3日付の社説・論説の見出しです。
【朝日新聞】
「AI時代の憲法 いま論ずべきは何なのか」/揺らぐ「個人の尊重」/改憲ありきのひずみ/主権者こそが考える
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14000373.html?iref=editorial_backnumber

【毎日新聞】
「令和の憲法記念日に 国会の復権に取り組もう」/無理を積み重ねた首相/貧弱なままの監視機能
 https://mainichi.jp/articles/20190503/ddm/005/070/049000c

【読売新聞】
「憲法記念日 令和の国家像を描く議論を 与野党協調の原点に立ち返れ」/湾岸戦争の対応が転機/9条改正が中心課題に/統合機構改革が急務だ

【日経新聞】
「令和のニッポン3 より幅広い憲法論議を丁寧に」/現憲法は国民に定着/「強すぎる参院」見直せ

【産経新聞】
(【主張】)「憲法施行72年 まず自衛隊明記が必要だ 国柄に沿う『天皇条文』運用を」/自衛隊と安保が守った/参院選で改憲を訴えよ
 https://www.sankei.com/column/news/190503/clm1905030002-n1.html