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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

安倍前首相の聴取もまだなのに「秘書ら略式起訴へ」は早すぎる

 安倍晋三首相当時の「桜を見る会」前夜祭(夕食会)の経費補填問題で、朝日新聞が12月4日付朝刊の1面トップで「安倍氏公設秘書ら略式起訴へ」と報じました。東京地検特捜部が、安倍前首相の公設第1秘書で「安倍晋三後援会」の代表と事務担当者の2人を、政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴する方向で検討に入ったとの内容です。記事は「罰金刑となり正式裁判は開かれない見通しとなった」と伝えています。強い違和感があります。安倍前首相の事情聴取もまだ行っていないのに、着地点を探るには早いのではないでしょうか。報道の通りだとしたら、検察の姿勢に疑問を持ちます。

 ※安倍氏公設秘書ら略式起訴へ 「桜」3千万円不記載か:朝日新聞デジタル

 わたしが記者になったころ、1980年代には政治資金規正法はザル法と揶揄されていました。抜け道だらけの上、罰則も基本的に罰金刑が中心でした。例えば懲役刑や禁固刑では、期間を何年とするか、その量刑を決めるには、被告人が罪状を認めているかどうかに加え、犯罪事実の悪質さや、被告人に有利な情状、不利な情状などの審理を尽くす必要があります。そのためには法廷での審理、つまり正式裁判が必要です。しかし罰金刑の規定しかなければ、被告人が罪状を認めて罰金を払う意思を示せば、必ずしも正式裁判は必要ありません。以前の記事でも触れた1992年の金丸信・元自民党副総裁の5億円ヤミ献金事件で、金丸氏本人の事情聴取を行わないまま罰金20万円で決着した背景には、そういう事情もありました。
 しかし、その後、罰則が強化されて、不記載罪では禁固刑も選択できます。安倍前首相周辺の話として、これまでに報じられているのは、安倍氏に秘書が虚偽の報告をしていた、秘書は安倍氏には国会で虚偽の答弁をしてもらうしかないと考えていたということです。本当にその通りなら、秘書は「不記載」の犯罪を実行しただけでなく、前首相に国会で虚偽答弁をさせることもいとわなかった、ということになります。また、公選法違反についても、夕食会参加者に経費の補助を受けている認識がないために立件は困難と報じられていますが、安倍事務所の側は確信を持って選挙区の有権者をいわば供応接待したわけです。それぐらい悪質な犯行で、仮に秘書らに有利な情状があるとすれば、ボスである安倍前首相の指示に逆らえなかった、ということぐらいではないかと思います。
 前首相本人の関与があるなら、まず前首相本人を立件し、その後に秘書らは実行行為者にすぎないとして略式起訴、という順番ではないでしょうか。
 仮に、既に流布されている通り「前首相には虚偽の報告をした」「前首相は知らなかった」とのストーリーが維持されるとしても、秘書らの行為は、政治家本人をだましてまで「カネの流れを透明化する」という政治資金規正法の基本理念の一つを踏みにじったわけで、悪質極まりない、ということになるのではないでしょうか。そうならば、正式裁判にして情状面をも審理し、禁固刑を含めた中から刑罰を選択すべきです。
 つまりは、この事件に対してどういう刑事処分にするのかは、安倍前首相に対する直接捜査の結果を踏まえなければ決められないはずです。それを、聴取もしないうちから秘書らを略式起訴にする方向とは、それが本当なら、最初から安倍前首相の立件は考えていないに等しいのではないか。公選法違反についても、結局はできない理由ばかりが強調されているように感じます。そこには、この夕食会の資金補填問題、さらには招待客の人選に前首相はかかわったのかどうかも含めた「桜を見る会」をめぐる疑惑全体への世論との大きな乖離があります。 

 マスメディアの組織ジャーナリズムにとって、社会的な注目を集めている疑惑に対する捜査がどう展開するのかは、大きな取材テーマですし、捜査当局の動きを報じることも重要だと思います。ただ、わたしが取材現場の記者だったころとは異なり、今やニュースの受け手の視線はマスメディアの取材にも向いています。「秘書ら略式起訴へ」との報道が他のメディアにも広がって行き、それが既定の方針のように受け止められるようになれば、「マスメディアは検察の情報操作に加担しているのではないか」との批判も大きくなるでしょう。今年は高検検事長の賭けマージャン問題もありました。マスメディアが向き合う今日的な課題だと思います。

 なお、「桜を見る会」前夜祭の経費補填問題が、仮に安倍前首相は知らなかった、ということで決着するなら、安倍前首相はもっとも襟を正すべきカネの問題で秘書にだまされた、秘書のウソを見破れなかった政治家、ということになります。国会での虚偽答弁と合わせて、十分に議員辞職に値すると思います。

検事総長人事と「日本学術会議」会員人選に通底するもの

 安倍晋三首相当時の「桜を見る会」前夜祭(夕食会)の経費補填問題は、読売新聞が12月3日付朝刊で「安倍前首相の公設秘書を立件へ」と報じたのを皮切りに、各マスメディアも追随。刑事事件化する様相がはっきりしてきました。安倍前首相に対しても、東京地検特捜部は5日の国会閉会後に、任意聴取する方向で調整中と報じられています。
 一方では、安倍政権当時に農水相だった吉川貴盛衆院議員が、鶏卵生産大手業者の元代表から現金500万円の供与を受けた疑いがあることが明らかになり、東京地検特捜部が捜査中と報じられています。賭けマージャンで辞任した黒川弘務・元東京高検検事長が仮に検事総長に就いていたとしたら、公判中の河井克行・元法相夫妻の選挙違反事件も含めて、これらの捜査はどうなっていたでしょうか。安倍政権が慣行を破り、定年延長という“禁じ手”を使ってまで黒川氏を検事総長に据えようとしたのは、なるほど、今日のこんな事態を避けられると期待していたからだったのかと、あらためて感じます。
 黒川氏の人事が論議を呼んでいた当時、検察にも政治による民主的統制が必要として、政権を擁護する意見も目にしました。しかし、政界捜査も手掛ける検察に政治が人事面で介入すべきではないことは、現在起きている一連のことを見ても明らかになったと言うべきだろうと思います。
 もう一つ思うのは「日本学術会議」の会員非任命問題です。菅義偉首相は自らに人事権があると主張して頑として非を認めません。しかし、過去の国会答弁その他を見れば、会員の選考は学術会議に任せて、首相は追認だけする、との合意が確立されていたことは明らかと言うべきです。時の政権が人事に介入すれば、政権への忖度が生まれ、政策への自由な批判が行われにくくなる恐れが生じます。政権は介入を控え、人選は専門家に任せた方が、日本の科学政策、科学振興には利が大きいはずです。そのことは、検察人事と検察の捜査の関係とも、通底するものがあるように感じます。
 菅首相は安倍政権下の官房長官として政権を支え、自らが首相になった後は、安倍政治の継承を公言しています。その安倍政権下で何があったのかが今、刑事事件として明らかになりつつあります。安倍政権、安倍政治の検証があらためて必要だと思います。

 検察の問題に戻ります。では検察の民主的統制はどう確保すればいいのか。それは世論だと思います。かつて、金丸信・自民党副総裁(故人)が5億円のヤミ献金を受けていた事件の捜査を巡って、検察が事情聴取なしで略式起訴したことに怒った男性が、東京・霞が関の検察庁の玄関前で、瓶に入った黄色いペンキを投げ付ける出来事がありました。1992年のことです。「検察庁」の石碑はペンキの汚辱にまみれました。そのときに司法担当の記者としてまじかに見た検察の動揺ぶりは、今もよく覚えています。世論が高まれば、検察は意識せざるを得ません。
 世論はマスメディアの報道の在り方とも密接にかかわります。10年前に、大阪地検特捜部の検事が証拠を改ざんする事件が起きました。特捜検察を正義の味方のようにもてはやした報道ばかりが続いたあげくの驕りと堕落の極みだったと、わたしは考えています(わたしも礼賛報道の当事者の一人であることを免れ得ない、と考えています)。マスメディアの報道もあの事件から教訓を得なければいけないことは多々あったと思うのですが、現状はどうでしょうか。

※関連過去記事

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夕食会の費用だけではない、「桜を見る会」安倍前首相答弁の焦点~1年前の世論調査振り返り

 はてなブログから、1年前のブログ記事を振り返りませんか、とのメールが届きました。「どれどれ」と思いながらちょうど1年前、昨年12月1日にアップした記事を見たら、前月11月にマスメディア各社が実施した世論調査結果のまとめでした。
 安倍晋三首相(当時)主催の「桜を見る会」に地元支援者が多く招待されていたことが国会でも追及されるようになったは11月中旬でした。各社の調査がこの問題を取り上げ、うち3件の調査では、招待客の人選に関与していないとの安倍氏の国会での説明に納得できるか、信頼できるかを尋ねています。回答は「納得できない」「信頼できない」がそろって7割近くに達していました。 

 一つ前の記事でも取り上げた通り、今日に至って、「桜を見る会」前夜の夕食会の経費を、安倍氏側が補填していたことが明らかになっています。仮に「周辺関係者」が言うように、安倍氏が秘書からそのことを知らされていなかったとしても、首相当時に国会で繰り返し、虚偽を述べていたことの政治的、道義的責任は免れません。

 さて、東京地検特捜部の聴取に対し、夕食会の費用の補填を認めたと伝えられる安倍氏の秘書らは、招待客の人選については何を話しているのでしょうか。いずれにせよ、安倍前首相は公の場で、真相を包み隠さず話すべきです。 

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政治家秘書の過酷さ、非情さを思い出す~「桜を見る会」経費疑惑、矢面に立たない安倍前首相

 安倍晋三首相当時の「桜を見る会」を巡る疑惑のうち、前夜祭・夕食会の経費負担の問題が急展開しています。まず読売新聞が11月23日付の朝刊で「安倍前首相秘書ら聴取」と報じました。安倍前首相らに対しては政治資金規正法違反と公選法違反の容疑で告発状が東京地検に提出されています。読売新聞の記事は、東京地検特捜部が安倍前首相の公設第1秘書らから任意で事情聴取したこと、特捜部は会場のホテル側に支払われた総額が参加者からの会費徴収額を上回り、差額は前首相側が補填していた可能性があるとみていること、立件の可否を検討していること等を伝えています。この報道を皮切りに、NHKや新聞各紙、通信社が一斉に報道に乗り出しました。
 安倍前首相はどう説明するのかと思っていたら24日夜になって、安倍前首相の秘書が、費用の補填と政治資金収支報告書への不記載を前首相に報告していなかった、つまり前首相に対してウソをついていたとのストーリーが瞬く間に広まりました。「安倍氏周辺」「周辺関係者」が、各マスメディアの取材に明らかにしたとして報じられました。各メディアのネット上のサイトに記事がアップされた時間を見ると、NHK19時24分、毎日新聞19時26分でほぼ同時。次いで産経新聞が20時27分、朝日新聞22時35分でした。25日付の朝刊では、東京発行の新聞6紙の全紙がこの「秘書が報告していなかった」とのストーリーを伝えました。
 もとより、このストーリーが事実かどうか、本当に安倍前首相は費用の補填と収支報告書への不記載を知らなかったどうかは分かりません。すべてを秘書がかぶる、秘書の責任ということにして決着させようとしているのではないか、との疑いは当然ありますし、特捜部もそのことは想定しているはずです。しかしここでは、そのことはさて置きます。24日夜に、複数のメディアが期せずしてほぼ同時に同じ内容のニュースを流し、確認取材に走ったであろう他メディアも次々に後を追って報道しました。その結果、どういうことになったか。安倍前首相本人は、取材陣の前で厳しいやり取りにさらされずに済みました。
 仮に秘書がうその報告をしていたとしても、結果的に前首相は国会で虚偽の説明を繰り返していたのですから、政治的あるいは道義的な責任は極めて重いはずです。議員辞職にも値する、との指摘もあります。それだけの重みがあるのですから、安倍前首相自身が記者会見を開き、自分の口から明らかにし、質問にも答えるべきでした。24日夜の「安倍氏周辺」の各メディアへの対応が、前首相を直接取材から遠ざけるための意図的なものだったとしたら、あまりにも姑息です。

 政治家とカネの問題では、しばしば秘書がキーパースンとして登場します。わたしより上の世代ないしは同年代の新聞記者経験者なら、リクルート事件の竹下登元首相と秘書、佐川急便事件の金丸信・元自民党副総裁と秘書の逸話を思い出す方も少なくないのではないでしょうか。
 リクルート事件の捜査のさなか、竹下氏の金庫番と呼ばれた青木伊平秘書が1989年4月、自ら命を絶ちました。東京地検の聴取を受けていました。その後、1992年8月、佐川急便事件の捜査のさなかに、金丸信氏が5億円のヤミ献金を受け取っていたとの疑いが浮上。朝日新聞の8月22日付の特報でした。同月27日になって金丸氏は自ら記者会見し、5億円の受け取りを認めました。後年、そのときのことを「自分の秘書を青木伊平のようにさせるわけにはいかなかった」と述懐しているのを何かの折に目にした記憶があります。
 佐川急便事件の捜査が進んでいた当時、わたしは社会部で検察庁を担当する記者でした。金丸氏の述懐に、政治家秘書という仕事の過酷さ、非情さのようなものを感じたことをよく覚えています。渦中の安倍前首相の秘書は今、どんな思いでいるのでしょうか。前首相本人が公の場で、すべてを包み隠さず明らかにすべきです。

※ウイキペディア 青木伊平 - Wikipedia

※ウイキペディア 金丸事件 - Wikipedia

 以下に、23日以降の東京発行新聞各紙の関連記事のうち、1面掲載を中心に主要記事の見出しを書きとめておきます。

■11月23日付朝刊
【読売新聞】
1面準トップ「安倍前首相ら聴取/『桜』前夜祭 会費補填巡り/東京地検」

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■11月24日付朝刊
【朝日新聞】
1面トップ「安倍氏側 数百万円負担か/『桜』夕食会費 ホテルが領収書/東京地検 秘書ら任意聴取」
【毎日新聞】
1面トップ「安倍前首相側 補填か/『桜』前夜祭 会費上回る明細書/秘書ら任意聴取 東京地検」
【読売新聞】
1面準トップ「安倍氏側800万円超補填か/東京地検 『桜』前夜祭 5年間」
【日経新聞】
1面「安倍氏秘書ら 任意聴取/東京地検 『桜』前夜祭の費用巡り」
【産経新聞】
第2社会面「安倍前首相秘書ら聴取/東京地検 『桜』前夜祭 会費めぐり」/「『真摯に捜査協力』」
【東京新聞】
1面準トップ「安倍氏秘書ら任意聴取/特捜部 ホテル、明細提出か/『桜』会費問題」/「捜査に協力している」(事務所コメント)

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■11月25日付朝刊
【朝日新聞】
1面トップ「安倍氏側 5年で916万円補填/『桜』夕食会費 領収書 資金団体の名」
1面「安倍氏側、補填認める」
【毎日新聞】
1面トップ「安倍氏周辺 補填認める/『前首相には伝えず』/『桜』前夜祭 収支報告書記載」
1面「総額800万円余か」
【読売新聞】
1面準トップ「安倍氏側 領収書廃棄か/不足分 周辺者、補填認める/『桜』前夜祭」
【日経新聞】
社会面準トップ「安倍氏周辺、一部負担認める/『桜』前夜祭 ホテルへの支払い分」
【産経新聞】
1面準トップ「安倍前首相側、補填認める/『桜』夕食会 秘書が虚偽報告」
【東京新聞】
1面トップ「安倍氏側800万円補填か/会費不足5年分領収書/『桜』前日夕食会/周辺が事実認める」

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「東京大空襲」身代わりの焼けイチョウ

 11月の3連休に、ふと思い立って東京都墨田区の飛木稲荷神社を訪ねました。このブログでも2回紹介していますが、東京で戦争があったことを今に伝えるイチョウの木がある神社です。
 第2次世界大戦の末期、今から75年前の1945年3月10日未明、現在の江東区から墨田区にかけてを中心にした東京の下町一帯が米軍のB29爆撃機の大編隊による空襲を受け、一晩で10万人以上が犠牲になりました。「東京大空襲」です。飛木稲荷神社のイチョウは、身を焦がしながら一帯への延焼を防ぎ、そのために多くの人が助かりました。黒焦げになったイチョウは、戦後数年して緑の芽を吹きだしたとのことです。
 神社へは東京メトロ半蔵門線、京成押上線の押上駅から徒歩で約5分。イチョウの傍らには「身代わり飛木の焼けイチョウ」の案内板があります。幹には黒焦げの跡を今もはっきりと見ることができます。訪ねた日は、まだ黄葉は半ばといった感じでしたが、旺盛な生命の力を感じました。
 このイチョウには、キツネのシルエットのように見える枝があります。いつもは葉に隠れて見づらいのですが、「今年はよく見えますよ」と神社の方に教えていただきました。写真にも、きれいに収めることができました。

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 年を追って、戦争体験の風化が危惧される状況が進んでいます。墨田区界隈も今や東京スカイツリーがそびえ立ち、かつて一帯が焼け野が原だったとは、見た目には分かりません。その中にあって生き続けるイチョウの木は、かつての惨劇を後世に伝え続けるのだと思います。

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「分断」から「結束」「協調」へ、多様性象徴 副大統領ハリス氏~米大統領選「バイデン氏勝利」を伝える在京紙の記録

 米大統領選は日本時間の11月8日未明、米主要メディアが民主党のジョー・バイデン候補の勝利が確実になったと報じました。バイデン氏も勝利宣言を行いましたが、共和党候補の現職、ドナルド・トランプ大統領は敗北を認めず、選挙に不正があったと主張し、連邦最高裁まで争うことを表明しています。しかし、その主張に具体的な裏付けはなく、説得力も感じられません。開票が進むにつれて得票が逆転したことは合理的に説明できるのに対して、トランプ氏の主張はあまりに不合理で恣意的です。
 日本の新聞で8日付朝刊に「バイデン候補勝利」の記事を掲載できたのはほんの一部でした。8日は新聞休刊日のため、大半の新聞は9日付朝刊の発行を休止しました。したがって、新聞各紙が豊富な分析や論評とともに、多角的にこのニュースを報じたのは10日付朝刊になりました。東京発行の6紙(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日経新聞、産経新聞、東京新聞)の10日付朝刊の紙面には、見出しに「品位」「結束」「団結」「協調」などのキーワードが並びました。それらはそのまま、新大統領が向き合う課題です。

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 4年前にトランプ氏が勝利した大統領選では、東京発行の6紙はそろって「米大統領トランプ氏」の大きな見出しを掲げました。ここまで各紙の主見出しがそろったのは珍しいことです。劣勢との事前の予測を覆したこと、何よりも過激で差別的な発言を繰り返し、米国第一の保護主義的な政策を表明していたトランプ氏の当選に受けた衝撃の大きさがそのまま紙面に反映されたように感じました(ちなみに4年前も、トランプ氏の勝利を伝えたのは11月10日付の朝刊でした)。

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【写真】2016年11月10日付の東京発行6紙の朝刊1面

 今回と4年前と、二つの紙面を見比べながら、今さらながらにトランプ大統領が米国社会にもたらした分断の根深さ、深刻さを感じます。

 今回の選挙ではトランプ支持層がなお厚いことも明らかになりました。分断の克服は容易ではないようです。それでも安堵と期待を抱かせるのは、トランプ政治が終わるということに加えて、副大統領にアフリカ系、アジア系の女性、カマラ・ハリス氏が就くことがあります。多様性を象徴する出来事であり、10日付朝刊では6紙のうち5紙がバイデン氏とハリス氏が並んだ写真を1面に掲載しました。この写真を見ながら、多様性の尊重は日本社会にとっても大きな課題だと、あらためて感じます。

※参考過去記事
「『トランプショック』在京紙の紙面」=2016年11月12日
 https://news-worker.hatenablog.com/entry/20161112/1478958344

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 以下に、東京発行各紙の10日付朝刊のうち、1面と総合面、社説の主な見出しを書きとめておきます。

【朝日新聞】
▽1面
「『品位回復し、民主主義守る』/バイデン氏 米次期大統領」
「トランプ氏 敗北宣言を拒否」
「消えぬ『トランプ』生んだ土壌」沢村互・アメリカ総局長
▽総合面
2面「バイデン流 多難の道」
「議会運営 共和党の影/コロナ・温暖化対策に消極的」/「トランプ氏積み増し 7000万票超」/「『不正選挙』主張続ける」
3面「国際協調へ急転換」
「パリ協定・WHO復帰 バイデン氏明言」/「イランなど期待 中ロは沈黙」/「菅首相『同盟さらに強固に』祝意示す」
「『最初の大統領だが、最後にはならない』/ハリス氏演説 増す存在感」
▽社説
「米大統領バイデン氏当確 民主主義と協調の復興を」/多元主義どう回復/理念の尊重へ回帰か/日本の役割を描け

【毎日新聞】
▽1面
「『米国の結束誓う』/バイデン氏 勝利宣言/コロナ対策 最優先」
▽総合面
2面「対中外交は硬軟両様」
「日本、同盟深化を期待」安全保障/「自由貿易回帰は遠く」多国間経済/「失った信頼 回復急ぐ」国際関係
3面「分断修復へ険しい道」
「政策協力 機運乏しく」民主・共和党/「側近、敗北容認進言か」トランプ氏
▽社説
「バイデン氏が勝利宣言 内外の分断修復に全力を」/「二つの米国」が顕在化/多様性と復元力に期待

【読売新聞】
▽1面
「バイデン氏勝利/『分断でなく団結』演説/政権移行 準備始める」
「騒乱の時代 終止符を」五十嵐文・国際部長
▽総合面
2面「『日米』の安定期待」
「首相、早期訪米目指す」
「トランプ陣営敗北認めず/徹底抗戦構え 夫人『受け入れ』説得か」
3面・スキャナー「コロナ対策 最優先」
「早速、チーム結成/党派対立 政策の壁に」内政/「『国際協調』へ回帰」外交
▽社説
「バイデン氏勝利 米国の安定と威信を取り戻せ/国際協調体制の再建が急務だ」/コロナ対応が決め手に/分断をどう修復するか/同盟の結束を固めたい

【日経新聞】
▽1面
「米、国際協調へ転換/バイデン氏当確、政権移行加速/パリ協定・WHO 準備」
「民主主義再生 盟主に試練」菅野幹雄・ワシントン支局長:「米国の難路 バイデンの選択」上
▽総合面
2面「対中強硬路線、継続へ」
「ハイテク機器の禁輸など/日本製品 関税下げの可能性」
「トランプ氏 狭まる選択肢/高い訴訟費用 広がる得票差」
3面「米歳出 10年で1000兆円増/バイデン氏、経済再生急ぐ」
「インフラに巨額投資」雇用/「ITや金融 強化も」規制/「感染抑止へチーム発足」コロナ
▽社説
「バイデン氏勝利を秩序回復の契機に」/トランプ主義は根強い/日米同盟揺るぎなく

【産経新聞】
▽1面
「バイデン氏 政権移行急ぐ/米大統領選 勝利宣言/過半数獲得『分断でなく統合』」
「トランプ氏、敗北認めず 引き際焦点」
「米民主主義の試練 世界が注視」渡辺浩生・外信部長
▽総合面
2面「トランプ劇場に疲弊/急進左派との距離感 課題」黒瀬悦成・ワシントン支局長
「首相、会談と訪米『時機みて調整』/ツイッターで祝意」
3面「対中融和回帰に懸念」
「台湾、南シナ海 不安定化恐れ」・「バイデンの米国」上
「脱炭素社会へ大型投資/経済政策 就任後にパリ協定復帰」/「ワクチン無償接種検討/コロナ対策 検査会場倍増目指す」
▽社説(「主張」)
「バイデン氏勝利 強固な日米同盟の確認を 『分断』の克服に期待したい」/中国に毅然と向き合え/TPP参加を促す時だ

【東京新聞】
▽1面
「結束し民主主義守る/バイデン氏 勝利宣言」
「『最初の女性だが最後ではない』/ハリス氏 副大統領に」
▽総合面
2面・核心「バイデン氏『青い壁』再建」「ラストベルトの激戦3州奪還/白人労働者の支持回復」
3面「トランプ氏 求心力に陰り」「訴訟・再集計 逆転望み薄」
「日本政府 米軍と一体化維持へ」
「『米国第一』各国見切り」・「分断から融和へ 米大統領選 バイデン氏の課題」上
▽社説
「バイデン氏が勝利 米国の再生が託された」/対決から対話の政治へ/民主主義の立て直しを/重くなる同盟国の役割

「改革」の結集軸を失い存在意義が揺らぐ「維新の会」~大阪都構想 僅差で再度の否決

 大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都構想」は11月1日、大阪市民による住民投票で否決されました。「賛成」68万5729票に対し「反対」69万2996票。わずか約1万7千票の差でした。投票率は62.35%でした。構想を推進してきた大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は、市長の残り任期を務めた後は政界を引退することを表明。大阪府の吉村洋文知事は、自身が都構想に再度挑戦することはないと述べています。大阪都構想は、橋下徹氏が維新の代表を務めていた当時の2015年の住民投票でも否決されており、今回の投票結果は、維新の会による大阪都構想に終止符を打つと言っていいように思います。

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【写真】11月2日付の東京発行の新聞各氏朝刊

 この大阪都構想は維新の会の存在意義そのものでした。当時の橋下徹・大阪府知事と、自民党を離党した大阪府議、大阪市議、堺市議らによって地域政党「大阪維新の会」が結成されたのは2010年4月。翌2011年春の統一地方選挙で躍進し、同年11月には橋下氏が知事を辞職して大阪市長選に出馬し、知事選と大阪市長選の同時実施となったW選挙で知事に松井一郎氏、大阪市長に橋下氏が就きました。2012年の衆院選では国政政党「日本維新の会」が国政進出を果たします。その目的には、大阪都構想が実現可能になるよう法体系を整えることが挙げられていました。この維新の会の勃興から躍進の時期に、わたしは3年間(2011年3月~14年3月)を勤務先での転勤に伴い大阪で過ごしました。
 当時、間近で見た橋下氏の政治手法に代表される維新の会の政治は、わたしにはとても乱暴に思えました。意見が異なる相手とは、対話を尽くすよりは「民意がすべて」「選挙で選ばれた自分が正しい」という理屈でねじ伏せるような手法でした。「文句があるのなら、選挙で勝ってから言え」というのが基本的なスタンスだったように思います。特に、教職員に式典での日の丸掲揚、君が代の起立斉唱を義務付けた条例に代表されるような、自治体職員への過剰な規律の要求は、今も疑問に感じています。橋下氏は職員組合が過度に政治活動を行っているとして不満だったようですが、選挙で敵対候補を推して自分にたてついた職員組合を政敵とみなし、市長に就任後は力で屈服させようとしているように、わたしには見えました。
 しかし、そうした手法も含めて、橋下氏と維新の会は大阪の有権者の多数の支持を得ていました。「改革者」への支持だったのだと思います。その旗印が大阪都構想でした。維新の会は大阪都構想を実現するための政党であり、大阪都構想を掲げている改革者だからこそ、橋下氏や維新に乱暴さがあっても、選挙になれば支持を集めていたのだと思います。大阪都構想の内容は有権者に浸透していなくても、改革勢力として支持と期待を集めていた側面があったのだろうと思います。当時、大阪の街中で「大阪が強くなければダメだ。東京に任せていてはダメだ」という雰囲気を肌で感じることも少なくありませんでした。維新は、大阪が成長し国際的な競争力を持たなければならない、そのために大阪都構想が必要だと主張していました。維新の主張は、もともと東京に強い対抗意識を持つ大阪の気分、心象のようなものと相性が良かったのかもしれません。あるいは、「お上」意識が希薄だった大阪の気質が、さらに踏み込んで東京への対抗心へとかき立てられたのかもしれません。
 わたしは2014年春に大阪を離れ東京に戻りました。以後は、離れたところから大阪と維新の会を見ていたので、ざっくりとした感想のレベルです。2015年の住民投票で大阪都構想が否決された後、橋下氏は政界を引退したものの、松井氏は知事職に残りました。新たに吉村氏を国政から大阪市長に転身させて、大阪都構想は再び動き出しました。それもこれも、大阪都構想がなければ、大阪では維新の会の存在意義がなくなることからくる必然的なことだったのだろうと思います。泳ぎ続けていなければ死んでしまうと言われる回遊魚のように、大阪都構想を掲げて走り続けていなければ、維新の会もその政治手法も支持を得られないことを、維新創設以来の中心メンバーだった松井氏はよく分かっていたのではないでしょうか。
 大阪にいた当時、維新について「なるほど」と思う論評を耳にしたことがあります。一般には、維新の会と言えば橋下氏でした。しかし、それは皮相的な見方だというのです。いわく、維新の会とは自民党内から起こった都市型保守政党への脱皮運動であって、オーナーは松井氏だと。橋下氏はいわば雇われた看板のようなものにすぎない、ということでした。2015年の住民投票で大阪都構想が否決された後、橋下氏が特に未練も見せずに政界を去った一方で、残った松井氏が捲土重来を期したその後の経緯をみると、この論評はかなり当たっていたように思います。

 その松井氏も、大阪市長の残り任期限りでの政界引退を表明しました。維新の会が国政進出を果たしても大阪にとどまり、橋下氏が去った後は大阪にあって維新の会の代表を続けた松井氏をおいて、ほかに維新の何たるかをよく知り、代表が務まる政治家は得難いように思えます。何よりも、大阪都構想に終止符が打たれたことは、維新の会が政党としての結集軸を失ってしまったことを意味します。国政政党の日本維新の会も、大阪で維新の会が支持を集めていたからこそ成り立ち得た存在でした。国会の与野党の勢力模様にも影響があるはずです。このまま次の改革の旗印を見出し得ないようでは「維新の会」は早晩、沈んでいくしかないのかもしれません。「大阪都構想」に代わる結集軸となる「改革」の旗印も、そうは簡単には見出しがたいようにも思います。

 今回の住民投票は僅差で否決でしたが、もしも僅差で可決だったらどうなっていたか。「投票結果がすべて」と言わんばかりに、大阪市解体が強権的に推し進められ、大阪全体に深刻な分断が広がっていたかもしれません。かつてわたしも住民の一人だった地域が、そのような事態に陥らずに済むのは良かったと思います。

 この住民投票の結果は、東京発行の新聞各紙も1面で大きく扱いました。主見出しは「反対」と「否決」に二分されています。「否決」の見出しは、反対が多数を占めたとの現象面に加えて、そのことが持つ意味合いをも端的に表していると感じます。

組織ジャーナリズムと「負い目」の自覚~定年を機に

 この10月、満60歳となり、勤務先の通信社を定年退社しました。1983年に記者職として入社してから37年余り。マスメディア企業に所属し、組織ジャーナリズムにかかわることを仕事としてきた職業人としての生き方に、大きな区切りを迎えました。

 これまでの生き方と、これからの生き方を考える時に今、頭に浮かぶ言葉の一つは「負い目」です。2006年2月のことでした。わたしは職場を休職して新聞労連の委員長を務めていました。新聞労連の新聞研究活動で沖縄に行き、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する運動に取り組んでいる方々に、辺野古の現地で話を聞かせていただく機会がありました。その場で、作家の目取真俊さんが、わたしたち日本本土(ヤマト)の新聞人に向かって口にされた言葉を今も鮮明に覚えています。
 「沖縄の人びとがヤマトの新聞にどれだけ絶望したか考えてほしい。10年前までは、それでもヤマトのマスコミには沖縄への負い目があった。この10年でそれすら消えてしまった」
 沖縄に米軍基地が集中しているのは沖縄の事情ではない、それを求め、強いているのは日本本土の側だ。沖縄に基地を強いているのは日本人であり、日本全体の問題であることをメディアは忘れてしまっている。メディアが伝えないから、日本人の多くも忘れてしまっている。10年前までは、まだ負い目もあったが、それも今はない―。そういう指摘でした。
 ※このときのことは、当時運営していたブログ(「ニュース・ワーカー」)に記事を残しています。今もわたし自身、時折読み返しています。
ニュース・ワーカー「沖縄で『在日米軍再編』報道を考えた」=2006年2月13日
 https://newsworker.exblog.jp/3523538/

newsworker.exblog.jp

 以来、職場に戻ってからもずっと「負い目」という言葉は頭の中にありました。沖縄に犠牲を強いている「加害」の立場にいる一人として、そのことの自覚を失ってはいけないと考えてきました。

 沖縄の問題に限りません。マスメディアはよく社会的弱者という言葉を使います。弱者とは往々にして実は社会的な少数者のことであり、多数者の理解と自覚、支援があれば解決できることが少なくありません。多数者の無関心が、少数者を困難な立場に追い込んでいます。自分自身が多数者である問題では、やはり「負い目」を失うことのないようにしなければと、考えるようにもなりました。
 マスメディアの組織ジャーナリズムにとっては、何を伝えたかと同じように、あるいはそれ以上に、何を伝えていないかが問われます。さまざまな要因があるにせよ、それを乗り越えて、伝えるべきことを伝えるために、マスメディアの仕事に関わる人間にとって、自身の「負い目」を自覚できるかどうかはとても重要なことだと思っています。

 定年退社で区切りは迎えましたが、引き続き、雇用延長で当面は同じ職場で働きます。正社員としての働き方から、契約の更新を繰り返す非正規雇用に変わりました。身分が変わりながらも、報道労働者(ニュース・ワーカー)の一人として、このブログも続けていこうと思います。今までと趣きが変わるかもしれませんが、引き続きご訪問いただければうれしいです。

プロフィール写真を変更

 このブログのプロフィールの写真を変更しました。今年1月の撮影です。
 これまで使っていたのは2011年4月、大阪に転勤した直後に撮影したものでした。当時は50歳。10年近くが経過して、さすがに使い続けるのは無理だなと思い、今月で還暦を迎えるのを機に新しくしました。
 引き続き、よろしくお願いいたします。

f:id:news-worker:20201010224924j:plain ※以前のプロフィール写真(2011年4月)

 

2018年の政府見解、なぜ必要だったのか~「安倍政治」総括にもかかわる日本学術会議の6人非任命

 前回の記事の続きです。日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人が菅義偉首相から任命されなかった問題に対し、菅政権は詳しい説明を避けています。手続き論についても、加藤勝信官房長官が5日の記者会見で、日本学術会議法の解釈変更はしていないと述べ、6日には、政府が野党に対し、首相が会議の推薦通りに任命する義務はないとの見解をまとめた2018年11月13日付の文書を公開したと報じられています。

※47NEWS=共同通信「加藤官房長官、法解釈変更せず/学術会議、新会員候補の任命拒否」2020年10月5日
 https://this.kiji.is/685701175415161953

this.kiji.is

※47NEWS=共同通信「政府、任命拒否へ内部文書/秘密裏に作成、公表せず」2020年10月6日
 https://this.kiji.is/686159541324727393

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 このブログの前回の記事で触れた通り、1983年当時に政府は「形式的に任命行為を行う」と明言しています。今回は形式的な任命ではなく、6人を除外するという政権の判断が加わったのですから、法解釈に変更があったと受け止めるのは、ごく自然なことだと思うのですが、菅政権の主張は理解できません。
 ただ、はっきりしたのは、2018年11月当時の政府見解がこれまで公表されることなく、その経緯についても政府は説明していない、ということです。仮に法解釈の変更ではないとしても、1983年当時の国会答弁を踏まえれば、変更ではないということが極めて分かりにくい(というか、わたしには理解できないのですが)のは明らかですから、何らかのアナウンスがあって然るべきだったと思います。
 2018年当時は安倍晋三政権で、菅首相は官房長官でした。国会にも報告することなく、法の解釈を政府内だけでいじって、自らの行為が正当であることの理由にするその手法は、東京高検検事長の定年延長問題と同じ構図です。日本学術会議の会員候補6人の任命拒否自体は菅首相の判断だとしても、2018年当時の経緯まで踏まえれば、この問題は「安倍政治」に起源があると言えます。菅政権が「安倍政治」を引きずっていることをあらためて見せつけられている気がしますし、「安倍政治」をどう総括するのか、ということも問われるように思います。
 2018年当時の政府見解については、安倍政権下でどのような必要があってこの見解をまとめたのか、は重要なポイントだと思います。菅政権が説明を拒むのであれば、事実として追求するのはマスメディアのジャーナリズムの役割だと思います。