憲法
非常勤講師を務める大学で先日、今年最初の授業がありました。手元にあった東京発行の新聞各紙の元日付け紙面を教室に持ち込み、それぞれの特徴などを解説しました。ロシアのウクライナ侵攻が続く中での新年であり、各紙の紙面を通じたキーワードが「戦争」…
岸田文雄政権は12月16日、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保関連3文書の改定を閣議決定しました。敵基地攻撃能力を「反撃能力」と呼び方を変えて保有を明記し、軍事(防衛)関連予算を2027年度に対国内総生産(GDP)比…
今年春から大学で「文章作法」の非常勤講師を務めていることは、以前の記事に書きました。授業では日々の新聞報道の比較、解説も行っています。先日の授業では、12月8日の太平洋戦争開戦81年の報道を取り上げました。 日本の新聞は戦前の統制で、いくつ…
自民、公明両党が12月2日、「敵基地攻撃能力」を日本が保有することを認めることで合意しました。敵国のミサイル発射拠点などを攻撃する能力のことです。政府、与党は、国際法に反する先制攻撃ではなく、専守防衛の基本方針に変わりはないと強調している…
9月27日に行われた安倍晋三元首相の国葬で、気にかかっていることがあります。自衛隊の役割です。 国葬当日、遺骨を載せた車は会場の日本武道館に向かう途中で、市谷の防衛省に立ち寄りました。庁舎前の広場を通ると、集まった約800人の自衛隊員らは敬…
安倍晋三元首相の国葬を巡る国会の閉会中審査が9月8日、衆参両院の議院運営委員会で行われ、岸田文雄首相が出席して質疑に応じました。国葬を行う理由や法的な根拠について、何も新しい発言がなかったのは予想通りです。到底納得できない、民意の多数の理…
先週末、8月20、21両日に実施された世論調査の結果を、備忘を兼ねて書きとめておきます。 岸田文雄内閣の支持率は急落の傾向が続いています。毎日新聞と社会調査研究センターの合同調査では、1カ月余りで支持率が16ポイントも下がりました。産経新聞…
安倍晋三元首相の国葬にわたしが反対であることは、何度かこのブログで表明しています。理由は①法令に規定がない国葬を内閣府設置法に基づき閣議決定で実施できるとするのは拡大解釈が行き過ぎており、法治を逸脱している②全額国費で賄うことは弔意の強制を…
安倍晋三元首相の国葬に対し、東京弁護士会が8月2日、反対を表明して撤回を求める会長声明を公表しました。弁護士会の反対声明は初めてのようです。 声明は反対の理由を、順序立てて挙げています。わたしなりに要約すると、以下の通りです。 ①国葬には法的…
【管理人注】この見出しは逆説です。国葬を天皇の国事行為に位置づけよ、という趣旨ではありません。わたしは国葬自体に反対です。 一つ前の記事の続きです。 安倍晋三元首相の国葬をめぐって、反対や異論の理由が「安倍元首相は功罪半ばする」「評価は定ま…
7月10日の参院選後にマスメディアが実施した世論調査の結果が報じられています。憲法改正について、岸田文雄首相が前のめりの姿勢をあらわにしていますが、各調査の結果からは、民意は早急な改憲を求めていないことが明確に読み取れます。参院選で自民党…
安倍晋三元首相の国葬に対して、地方紙を中心に社説、論説の掲載が続いています。ネット上の各紙のサイトでわたしが目にする限り、7月17日付以降は強い疑念と懸念を示す内容ばかりです。岸田文雄首相が記者会見で「国葬」を明らかにしたのは14日。この…
岸田文雄首相は、殺害された安倍晋三元首相の国葬を9月27日に行うことを、7月22日の閣議で決めると報じられています。このブログの一つ前の記事でも書いたように、国家としての葬送だから全額を国費で、ということは、主権者の国民すべてがその費用を…
耳を疑うニュースでした。岸田文雄首相は7月14日の記者会見で、参院選の街頭演説中に銃撃され殺害された安倍晋三元首相の国葬を秋に行うことを表明しました。当日14日付の産経新聞朝刊が1面トップで「安倍氏『国葬』待望論」と大きく報じていました(東…
参院選投開票直後の7月11、12日に実施された共同通信と読売新聞の2件の世論調査の結果が報じられています。憲法改正に対する民意が鮮明に示されていると感じますので、書きとめておきます。 共同通信の調査では「参院選で何をもっとも重視したか」を尋…
参院選は7月10日投票が行われ、11日にかけての開票で全議席が確定しました。自民党は改選前から8議席増の63議席を獲得し、単独で改選125席の過半数に達しました。大勝です。次いで、各党の獲得議席は以下の通りでした。 立憲民主党17議席(改選…
参議院議員選挙が6月22日、公示されました。 折しも、2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻は終わりが見えず、ロシアへの経済制裁は原油の高騰、物価高となって日本の社会にも跳ね返ってきています。ロシアは日本の隣国でもあり、不安を感じる人は…
沖縄の日本復帰50年を地方紙の社説、論説はどのように論じたのか。5月15日当日前後の掲載について、主な地方紙各紙を調べてみました。いつもはネット上の各紙サイトで内容が読めるものを対象にしているのですが、今回はそれ以外の新聞についても可能な…
沖縄の施政権が日本に返還されて、5月15日で50年を迎えました。東京発行の新聞各紙はいずれも、15日付朝刊紙面で関連の記事を大きく扱っています。日経新聞以外の5紙(朝日、毎日、読売、産経、東京)はいずれも1面トップ。日経も本記は1面です。…
5月3日付の地方紙、ブロック紙各紙に掲載された憲法記念日の社説、論説を、ネット上の各紙のサイトで読める範囲でチェックしました。ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵攻の真っただ中であり、やはり日本国憲法の平和主義の理念を堅持し、現実の外交…
ことしの5月3日、憲法記念日を、ロシアのウクライナ侵攻が続く中で迎えました。東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)の3日付朝刊紙面にも、そのことを意識した記事が目に付きました。特に全国紙5紙の社説では、日本国憲法の前文を…
この春、マスメディア企業に入社した新人たちと話す機会がありました。わたしが話したことの大意を書きとめておきます。将来の仕事として、組織ジャーナリズムが選択肢に入っている学生さんたちにも読んでもらえればうれしいです。 マスメディアの仕事につい…
4月も中旬に入りました。新しく社会人になった皆さんも、少しずつ勤務先の雰囲気に慣れてきたころではないでしょうか。そんな皆さんに参考になるのでは、と思ったツイッターのツイートと、ネット上の記事を紹介します。 https://twitter.com/i_yoshitatsu/s…
2019年の参院選で、街頭演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民を排除した北海道警の警察官の行為を、表現の自由の侵害と認めて道に損害賠償を命じた札幌地裁の判決に対して、被告の北海道は4月1日、控訴しました。北海道警が、判決のどこ…
一つ前の記事の続きです。 2019年の参院選で、街頭演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民を排除した北海道警の警察官の行為を、憲法が保障する表現の自由の侵害と認めて道に損害賠償を命じた札幌地裁の3月25日の判決について、地元紙の北…
2019年7月、参院選期間中に当時の安倍晋三首相が札幌市のJR札幌駅前で街頭演説をした際、「安倍辞めろ」「増税反対」などとヤジを飛ばした市民が、北海道警の警察官に片や腕などをつかまれその場から排除されたり、長時間にわたって付きまとわれたり…
ロシアのウクライナ侵攻に対する民衆の抗議行動が世界各地で続いています。日本でも2月27日の日曜日、各地で集会などが開かれました。このブログの一つ前の記事で書いたことですが、国際的な民衆の連帯でウクライナの人々を支えること、ロシア社会で戦争…
戦争が起きました。わたしがジャーナリズムの仕事に就いてから何度目になるのでしょうか。2月24日に始まったロシアのウクライナに対する軍事侵攻は、どのような大義が主張されようとも、どのような理屈付けがあろうとも決して容認できません。ジャーナリ…
2月13日(日)付の東京新聞朝刊5面(社説・意見)のコラム「新聞を編む」に、「言葉の作用 責任を痛感」の見出しで、同紙の大場司・編集局長(中日新聞東京本社編集局長)の一文が掲載されています。石原慎太郎・元東京都知事の訃報に対して、読者からた…
一つ前の記事(「慎太郎節」「石原節」が薄めてしまう実像~マスメディアの報道は歴史の記録)の続きです。故石原慎太郎・元東京都知事の足跡に関連して、もう一つ書きとめておきます。憲法のことです。 石原元知事は現在の日本国憲法への嫌悪感を露骨に表明…